私の思いと技術的覚え書き

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悲惨な交通事故とクレーン車のこと

2011-04-21 | 技術系情報
 先日、鹿沼市で生じたクレーン車事故ですが道路右側に逸脱し、登校児童の列に突っ込み、家屋を損壊下というものです。登校児童6名もの命が失われるという悲惨なものだった様です。どうやら事故原因は、運転の「てんかん」の発作により失神してしまったことにある様です。
 しかし、親にしてみれば、「なんでこんなことになのだ!」とやり切れない悲嘆に暮れていることでしょう。また、当該重機屋さんの社長にとっても、「なんていう事故を起こしてしまったのだ!」と狼狽しているのではないでしょうか。
 このクレーンですが、現代の建設、土木、重工業などには、欠かせぬ大事なものです。クレーンには、造船所や高層ビルの建設で使用される固定式クレーンや、工場建屋や広大な敷地内を移動レールで動く天井クレーン、そして今回事故を起こしたような、自走可能な移動式クレーンに分類されれるのだろうと思います。特に、走行の際にクローラ(履帯)でなくタイヤで移動するものは、登録番号を取得して路上走行可能です。従って、比較的小型の建築物などの工事に利用されることも多く、路上でも見掛けるクレーンの種類だと思います。
 この路上走行可能な移動式クレーンを、さらに細分類すると、トラックの荷台に部分にクレーン本体(上部旋回体と呼ばれる)を乗せた様なトラッククレーンが当初は多かった訳です。しかし、今回事故を生じたクレーン車の様に、専用のシャシ(下部走行体と呼ぶ)の上に上部旋回体を乗せ、走行時の運的席がクレーンのオペレーター席と同一となっているものを、ラフテレーン・クレーンと呼び、50トンクラスまでのクレーン車の主流となっています。
 このラフテレーン・クレーンには、クレーンの吊り上げ能力により15トン~50トンクラスまでがあります。大径タイヤと4WD+4WS機構により、比較的荒れた山道や狭い曲がり角も通過できる等、使い勝手が良いこともあり、路上走行可能な移動式クレーンとしては一番多くのシェアを占めていると思います。
 今回事故の写真を見ますと、どうやら事故を起こしたクレーン車は、一番小型の15トンクラスのものと思われます。それでも、クレーン車というものは、上部旋回体の後部にカウンターウェイトという重りを付属させたり、車両全体としてもある程度の重さを増やしていると感じます。これは、クレーン作業中の安定性を確保するためなのです。しかし、この重さは、運動エネルギーはm・v(質量×速度)で表せることからも判る通り、衝突事故を起こせば大きな破壊力を生み出すのです。 



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