偶にはメーカーマニュアルを見るものだ
メーカーマニュアル(整備書)など、そんなものは見なくても作業はできるものだとうそぶくベテランも多いのだが・・・。
一方、昨今のマニアルを概観すると、これを記した者の実務レベル(実作業)の低さが透けて見える場面も多い。想像だが、車両メーカーは、整備書の作成を関連企業へ丸投げしつつ、そこでマニュアル作りに励むのは、およそ整備の実務系経験などない学校出たての坊ちゃん達が、CAD図だとか部品図などを基本にして、余程のことがない限り実作業で検証することも少ない中で、コンピューター画面内での話しとして、過去の慣習に沿ってマニュアル作りに励んでいるから、あの様な訳の判らない、取って付けた様な内容になってしまうのだろう・・・。
そうは云っても、様々なマニュアルがあり、多くは舌足らずで不足しがちな情報の場合が多いが、中には重要情報もあるから、頭から否定する考えもこれまた違うと思っている。
従って、一般の読書も同じだが、記した者の力量と、それを点検監督するするマネージャーの力量なども含め読み取って行くと云う思考して見ることも一興ではないのかと思う。つまり、これ再使用不可ボルトと記してあるけど、何でなのという思考が大事で、ただただ受け入れるだけの思考を権威主義というもので、私は否定する。
さて、恒例の前置きが長くなったが、最近見たBMWミニR56のワークショップマニュアルのブレーキ部分に、MINMUM(最小)のTH(THICKNESS:シックネス:厚さ)の計測というのがあり、非摩耗ディスク(新品)厚み22.0mmに対し該当部品のフロントはMIN.TH.20.4、リヤはMIN TH 8.4 MM なりの打刻がある。フロントは22.0 に対する20.4 だから、摩耗量は外内の合計で1.6mm、つまり片面で0.8mmが限度だと記している訳だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/c1/aec9c463e900faabf2983c86d0d7a97d.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/f6/bb212e581875f5c480b7c08c1ff5b94c.jpg)
ちなみに手近のR50でノギスで計測するが、パットの当たり面から凹状となっており、ノギス測定子両端の1円硬貨を挟んで計測したところ、そのノギス指示値は 23.0 だが、1円硬貨2枚の積層厚みは3.0だから、ほぼ 20.0 mmとなり、MINMUMを越えている摩耗だとH¥判る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/df/9494cdcb0b57c5eeaad1dc41efbd5905.jpg)
国産車だと、多くの乗用車系は、ディスクプレートが摩耗する車は少ない。ところが欧州系はパットとディスクはディスクの方が少ないが摩耗し、従来の感覚だとパット交換2回に1回はディスクも交換しなければならない様だ。
このディスクを減らさない日本の設計と欧州のディスクも摩耗させる設計だが、「低ダストパットに変えました」という記載が欧州車利用ユーザーに多いが、一概にお薦めできる選択ではないと思える。つまり欧州の思想は、耐フェード性能を重視しているのだろうと想像できる。つまり、ディスクを削り込み、ディスク(Fc鋳鉄)の高温摩耗粉をディスクから離すことでディスクの昇温を押さえるという考え方だろう。
なお、Fc鋳鉄ローターの場合、最高温度は600℃程が限界で、それ以上になると摩擦係数の低下の問題もあるが、ディスクの倒れ込み変形によりパットが逃げる様になってくると聞く。それを防止するのが、独立したハブベルにディスクをウェーブワッシャをサンドイッチして固定する2ピースディスクが高性能車には付く。
なお、レーシングカーは、C/C材というカーボン繊維を超高圧高温で焼成したカーボンディスクが利用されるが、これの適正な摩擦係数が得られる温度は400℃とかケタ違い高く、一般市販車に使用するには問題があった。これを解決したのが、C/C材表面にセラミックコート(溶射か?)して低温時の摩擦係数特性を向上させたものらしいが、このセラミック層が摩耗したときが、その市販用カーボンディスクの寿命となる様だ。
ここで。基準厚さ22mmのディスクプレートで、方側0.8(両側で1.6)が最小値としている理由について考察してみたい。一つは高温強度の視点があるのだろうということは想像できる。急制動高温昇温でディスクが破壊したら危険この上ないだろう。そして、もう一つは熱容量の減少、つまり連続制動などで放熱が間に合わない場合の昇温のし難さを表す値が下がることを考慮してものだろう。
熱量量のことは概念程度で詳しくはないが、同一部材ならその持つ体積(=重量)が大きい程、熱容量は相関することは確かだろう。ここで、今回のR56のブレーキローターから採寸した数値で、簡易的な計算でフロントディスクの摩擦体部のみの体積をベンチレーテット(通風部)をゼロとして、厚み22m最外径294mm、パット当り最小径87mmとして、摩擦部の重量はFe比重を8と簡略化して計算すると5.2kgとなる。ここで、外と内で1mm摩耗(合計2mm)した場合の重量はおよそ700gだ。これは、摩耗前より重量(=熱容量)として約14%のダウンとなる。
メーカーマニュアル(整備書)など、そんなものは見なくても作業はできるものだとうそぶくベテランも多いのだが・・・。
一方、昨今のマニアルを概観すると、これを記した者の実務レベル(実作業)の低さが透けて見える場面も多い。想像だが、車両メーカーは、整備書の作成を関連企業へ丸投げしつつ、そこでマニュアル作りに励むのは、およそ整備の実務系経験などない学校出たての坊ちゃん達が、CAD図だとか部品図などを基本にして、余程のことがない限り実作業で検証することも少ない中で、コンピューター画面内での話しとして、過去の慣習に沿ってマニュアル作りに励んでいるから、あの様な訳の判らない、取って付けた様な内容になってしまうのだろう・・・。
そうは云っても、様々なマニュアルがあり、多くは舌足らずで不足しがちな情報の場合が多いが、中には重要情報もあるから、頭から否定する考えもこれまた違うと思っている。
従って、一般の読書も同じだが、記した者の力量と、それを点検監督するするマネージャーの力量なども含め読み取って行くと云う思考して見ることも一興ではないのかと思う。つまり、これ再使用不可ボルトと記してあるけど、何でなのという思考が大事で、ただただ受け入れるだけの思考を権威主義というもので、私は否定する。
さて、恒例の前置きが長くなったが、最近見たBMWミニR56のワークショップマニュアルのブレーキ部分に、MINMUM(最小)のTH(THICKNESS:シックネス:厚さ)の計測というのがあり、非摩耗ディスク(新品)厚み22.0mmに対し該当部品のフロントはMIN.TH.20.4、リヤはMIN TH 8.4 MM なりの打刻がある。フロントは22.0 に対する20.4 だから、摩耗量は外内の合計で1.6mm、つまり片面で0.8mmが限度だと記している訳だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/c1/aec9c463e900faabf2983c86d0d7a97d.jpg)
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ちなみに手近のR50でノギスで計測するが、パットの当たり面から凹状となっており、ノギス測定子両端の1円硬貨を挟んで計測したところ、そのノギス指示値は 23.0 だが、1円硬貨2枚の積層厚みは3.0だから、ほぼ 20.0 mmとなり、MINMUMを越えている摩耗だとH¥判る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/df/9494cdcb0b57c5eeaad1dc41efbd5905.jpg)
国産車だと、多くの乗用車系は、ディスクプレートが摩耗する車は少ない。ところが欧州系はパットとディスクはディスクの方が少ないが摩耗し、従来の感覚だとパット交換2回に1回はディスクも交換しなければならない様だ。
このディスクを減らさない日本の設計と欧州のディスクも摩耗させる設計だが、「低ダストパットに変えました」という記載が欧州車利用ユーザーに多いが、一概にお薦めできる選択ではないと思える。つまり欧州の思想は、耐フェード性能を重視しているのだろうと想像できる。つまり、ディスクを削り込み、ディスク(Fc鋳鉄)の高温摩耗粉をディスクから離すことでディスクの昇温を押さえるという考え方だろう。
なお、Fc鋳鉄ローターの場合、最高温度は600℃程が限界で、それ以上になると摩擦係数の低下の問題もあるが、ディスクの倒れ込み変形によりパットが逃げる様になってくると聞く。それを防止するのが、独立したハブベルにディスクをウェーブワッシャをサンドイッチして固定する2ピースディスクが高性能車には付く。
なお、レーシングカーは、C/C材というカーボン繊維を超高圧高温で焼成したカーボンディスクが利用されるが、これの適正な摩擦係数が得られる温度は400℃とかケタ違い高く、一般市販車に使用するには問題があった。これを解決したのが、C/C材表面にセラミックコート(溶射か?)して低温時の摩擦係数特性を向上させたものらしいが、このセラミック層が摩耗したときが、その市販用カーボンディスクの寿命となる様だ。
ここで。基準厚さ22mmのディスクプレートで、方側0.8(両側で1.6)が最小値としている理由について考察してみたい。一つは高温強度の視点があるのだろうということは想像できる。急制動高温昇温でディスクが破壊したら危険この上ないだろう。そして、もう一つは熱容量の減少、つまり連続制動などで放熱が間に合わない場合の昇温のし難さを表す値が下がることを考慮してものだろう。
熱量量のことは概念程度で詳しくはないが、同一部材ならその持つ体積(=重量)が大きい程、熱容量は相関することは確かだろう。ここで、今回のR56のブレーキローターから採寸した数値で、簡易的な計算でフロントディスクの摩擦体部のみの体積をベンチレーテット(通風部)をゼロとして、厚み22m最外径294mm、パット当り最小径87mmとして、摩擦部の重量はFe比重を8と簡略化して計算すると5.2kgとなる。ここで、外と内で1mm摩耗(合計2mm)した場合の重量はおよそ700gだ。これは、摩耗前より重量(=熱容量)として約14%のダウンとなる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/d1/13a7fa5b62d1581c43ef38e187c0329f.jpg)