私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

心向きと偏心の違い(力の与える効果)

2019-07-12 | 技術系情報
 世にコリジョン(衝突)の生ずるものごとは多い訳です。個人的な意見の衝突から、ハンマーなどによる打撃、事故による衝突などの物理的なものまで種々あろうかと思いますが、ここでは事故の場合の物理的な問題を記してみます。

 クルマで云えば、衝突による力が作用するベクトルが、重心を通るものを心向き衝突と、重心を外れた衝突を偏心衝突と表現する場合があります。図に記してみると下記の様なイメージになるでしょう。すなわち心向きとは重心を作用する力のベクトルが重心を通る衝突、偏心とは重心を通らない衝突との違いです。ここで、作用する力が同じと仮定した場合、心向きの方が、より深部まで力は作用することを意識しなければならないでしょう。偏心の場合は、作用する力が、クルマを回転させる様に働くことで、変形させ様とする力が逃げることによります。

 このことは、何らかの加工や作業、例えばボールジョイントの勘合部をハンマー打撃で取り外そうとした場合、ボーズジョイント勘合部の大きさ太さなどその重量に応じたハンマーヘッド重量を選択することと、真心を打撃する正確な打撃の2つが求められることからも理解できるでしょう。太いボールジョイントを軽いハンマーで幾ら打撃を繰り返しても、表面をボコボコに加工するだけでしょうし、真心をズレるとまともな力は作用しません。

 ところで、クルマの場合は、車両の前後をある程度潰す構造を加減することで、衝撃の際に生じる減速度を弱める対策が取られています。しかし、側面については、その寸法的な制限から、その様な構造が取り難いことがあります。しかも、近年欧州から始まり、現在我が国でも行われる様になった、ポール側面衝突試験を行っています。これは、可動鋼板上に乗せた試験車を横スライドさせ、32km/hで電柱に模した鋼製ポールに運転者頭部付近を衝突させるという大変厳しいものです。これが為に、昨今のクルマは車幅が増えて来た理由の一つの要因とは私見です。

心向インパクトの破壊力 2017-01-29 記載
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/add21093f35fc0dbce09670a9119fa4c

余談
 サイドドリフトによる高速度心向き衝突は、その他物体が電柱だとか構築物など頑丈な地に足の付いた物である場合、巻きつく様に車体が変形するという凄まじいものになります。これは、過去のブログ写真や、今回載せた Civic TypeR やJR福知山線の車両の如く凄まじいものになります。特に福知山線は、通勤ラッシュでギュウギュウ満車の状態で、これだけの車体変形ですから、これは正になんとも悲しい地獄絵図です。






最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。