私の思いと技術的覚え書き

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官僚達のこと

2008-03-07 | コラム

 官僚と云えば一般的に国家公務員を思い浮かべます。しかし、官僚制という組織構造は、ある程度以上の規模を持つ企業・組織体で一般的なものです。企業組織で云えば、本社組織と出先組織に分けることができますが、本社組織は間違いなく官僚制組織そのものであります。この官僚制そのものは、他に代替えとなる合理的な組織体を見出すことはできず、優秀なものを参謀たる官僚として据えるという思想そのものは間違ったものでないと感じます。
 しかし、官僚組織は放置すれば自己増殖して行く宿命にあり、組織セクションの自己の存在価値の実現のために意味のない現場の仕事だけを生み出して行くという負の側面がある場合もあることを感じることがあります。この様な意味を含んで、小さな政府が求められるという声が上がる訳ですし、民間企業体でも同様のことが求められていると思います。

 また、官僚制とも関係しますが、ゼネラリストとスペシャリストのことがあります。政府官僚であれば、国家公務員上級職(いわゆるキャリア)と技官との違いに近いものがあると思います。民間企業であれば、総合職に対する専門職となるのでしょう。今般事故を生じたイージス艦絡みの問題でも、自衛隊内での背広組(キャリア)と制服組(専門職)との、連携不足が表出している様にも感じられます。

 一般的な民間企業体では、ゼネラリストが経営の中枢を担う場合が多いと思います。専門職出身者が社長にまで上り詰める企業も中にはありますが、一般的には希な企業であると思います。そういう意味では、ホンダという企業は、故本田宗一郎さん以来、代々の社長は専門職出身者が継続しております。しかし、惜しいかな初代以後は宗一郎さんの補佐役であった故藤沢武雄さんの様な、戦略的な経営力のある補佐役に恵まれていないのではとも想像されます。

 ところで政府の官僚機構も、ある時代まではその存在価値があり、実に優秀で国益を考える志を持った優秀な官僚達が居たのであろうと思います。そのためもあって高度成長の基礎を成し遂げてきたという側面も一部では聞かれることがあります。昔読んだ本で城山三郎氏の「官僚達の夏」という本があります。当時の通産省官僚達が特振法の成立に向かい、志高く活躍して行くという現実を元にしたドラマです。しかし、この特振法は立法化は見送られることなりますが、正しい世の流れであったと思います。クルマ関係では、当時4輪車の製造販売に乗り出そうとして居た本田宗一郎さんは、何度も当時の通産省に怒鳴り込んでいたと伝わります。そんな活躍が、その後の高度経済成長を成し遂げる原動力となったのだと感じます。


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