私の思いと技術的覚え書き

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三角窓の変遷

2011-09-08 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 三角窓とは、フロントドア・ウインドウ前部に付く、三角形型ウインドウガラスのことです。この三角窓ですが1970年頃まで、どのクルマにも付いていたものでした。その理由は、ドアウインドウは、取り囲むサッシュのコの字型チャンネルに沿って上下開閉できる仕組みですが、ドア前部はフロントピラー傾斜に合わせるため、そのままではリヤ側チャンネルとフロント側チャンネルが平行でなくガラス保持ができません。そのためデビジョンバー(区切り棒)としてフロント側に専用チャンネルを組み込み、余りの余白を前方視界確保のために三角窓としたということによります。

 この様な三角窓でしたが、その後ドア内部にガラス保持用のレールを組み込むことにより、三角窓はほとんどの車両で消え去ってしまいました。しかし、この消え去った三角窓ですが、当時のクルマはエアコンが普及していなかったこともあり、ベンチレーションとしての機能も有用なものがあったと思いだされます。それは、三角窓は上下に回転ピンを持っており、クルッと反転させることで、走行中の外気を室内に送風できる効果があったからです。

 さて、しばらくの期間(30年程か)消え去った三角窓ですが、近年のクルマには、三角窓付きのクルマが増えました。これは、急傾斜したフロントウインドウとボンネットスラント(傾斜)を直線化した、いわゆるクルマのモノフォルム(一塊)デザインとしての流行にあるのだろうと思います。なお、このデザインは比較的小型車に多い訳ですが、衝突安全ボデーとしてのキャビン剛性の確保にも理由はあろうと想像されます。

 なお、復活した三角窓はドアには付かず、フロントピラー側に装着され、しかも開閉不可能な嵌め殺しである点は大きく異なるところです。しかし、実測上の有効視界はともかくとして、運転者として視界内に斜めに長くフロントピラーが入るこの手合いの視界感は、個人的には好きになれないものと感じ続けています。

※写真はマツダR360クーペ(1960年代初期)のもの。



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