近年の社会的要請事項として、どの様な企業体でもコンプライアンスが求められていています。大企業では、そのコンプライアンス専門部を要し、各部署にコンプライアンス責任者を配置する等、その達成に努めています。
ところで、ある企業におけるコンプライアンス教育の実態を聞く機会がありましたが、なんとも違和感を感じましたので紹介して見たいと思います。
その企業では、会議や研修等で集まる機会がある都度、コンプライアンス研修とか法令遵守委員会等の名称で、プログラムが組入れられているそうです。そのこと自体は、その様な教育や意識を強化する目的で実施しているのでしょうから違和感は感じません。しかし、その内容の実態を聞いて、なんとも違和感を感じました。その内容とは、部署毎のクレーム件数やFAX誤送信の集計表を配布するのが通例だというのです。その上で、名指しの非難こそしませんが、当事者に取ってはまな板の鯉状態に曝されるのだと云うのです。そして、この様なクレームやFAX誤送信を少なくしましょう等の言葉で締め括るのだと云うのです。この話を聞いてなんとも幼稚な研修だと感じざるを得ませんでしたし、一緒に聞いていたある労働問題の専門家も、「へーえ、そんなことやってるんですか!」と驚いていました。また、研修をやっているという実績作りだけのものとも感じられます。
当ブログの過去の記事でもコンプライアンスのことは何度か記して来ました。その中でも記して来ましたが、コンプライアンスとは法令遵守と訳されていますが、単に法令を守れば良いとするものでは決してないはずです。このことは、法令の背後にある社会的な要請に応えていくことがコンプライアンスであると「法令遵守が日本を滅ぼす」(新潮新書:郷原信郎著)では記している通りだと改めて思わずにいられません。社会における「企業倫理」としての教育が求められてるのではないでしょうか。
※当ブログ参考記事