私の思いと技術的覚え書き

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材料の機械的性質のこと

2019-05-25 | 技術系情報
 最近読んだ本で材料の機械的性質のことで、改めて認識することについて触れてみます。
 金属だろうが樹脂だろうが、材料に与えられる応力の関係には、図の応力歪み線図に相当する関係があります。ただし、一部の金属や樹脂などは明確な降伏点が見られず、弾性域と塑性域が緩やかに変化する場合があるでしょう。しかし、何れにしても、弾性限界があり、引っ張り強さ(最大許容応力)の限界があるのは当然です。

 ところで、金属、樹脂、無機質のガラスや陶器でも、長短はあるものの、応力を受け続ける限り寿命があるのです。端的に寿命の短さを感じる材料に樹脂があろうかと思います。ちょっと古いクルマで、樹脂部品が思いもしない脆化を生じていることにビックリすることがあります。しかし、鋼板とか金属でも、寿命の長さはあるものの、永遠の寿命ということはないのです。その理由の一つに材料の「疲労」という問題があります。許容応力の遙か下の環境で使用し続けても、繰り返し応力の回数に無限に耐えることはできず、最大応力の遙か下で破断することがあるのです。

 それと、どんな高品質で高精度な材料であっても、一つの製品を作る場合に、一切の欠陥を生じず作ることは困難だという問題があります。本で知る内容ですが、ガラスの強度は、素材の物性から計算される強度に対して、実際の強度は1/100とか1/1000しか発揮できないのが一般的だと云います。それは、ガラス表明の目に見えない僅かなキズだとか、内部に生じている見えない気泡だとか、様々な欠陥に起因すると云います。この様な欠陥があることにより、その欠陥に応力が集中することで、スペックとしての材料が持つ本来強度を遙かに下回る実効強度しか持ち得ないんのが現実の問題だと云います。

 ここで出てきた応力集中という問題は、クルマの設計や製造においても、留意しなければならない問題なのですが、これを端的に示す身近な事例を記してみます。菓子などが入っているビニール袋の容器に「開け口」の表記と共に、僅かな切れ込みが入れられている場合が多いと思います。袋を指で切り開くとき、この僅かな切れ目に力を与えることにより、大した力でなくとも容易に袋を切り開くことができるでしょう。もし、切れ込みがない場所を、切ろうと力を与えても、袋は容易に切れないことは誰もが経験することでしょう。



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