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クルマの将来的なPU未だ未定が本音のところ

2021-12-10 | コラム
クルマの将来的なPU未だ未定が本音のところ
 今や、近未来のクルマのPU(パワーユニット:動力源)はEVに確定となったというのが頭の悪い評論家共の言説だが、はなはだ信用ならないものと拙人は思考している。

 確かに、欧州諸国は英国を筆頭に、政府指針としての2030年~2040年辺りの全EV化と内燃機関廃止ということを打ち出してはいる。しかし、全EV化した場合の電力供給が足りるのか、そしてその不足を補うために原子力発電を増やすことはとても国民の同意を得ることはできないだろう。また、太陽光など再生可能エネルギーの限界も日本だけでも各地で出始めていることが見えて来たが、これは世界で見ても同様だろう。これ以上、太陽光パネルを地表に並べることは自然破壊をもたらし、今や限界を迎え様としている。太陽光以外の風力とか地熱に至っては、設置地域が限定され過ぎるし、とても主力電源にはなり得ない。そして、火力発電を増やすにしても、CO2発生が石油や石炭より少ないLNGを使うにしても、早々増やすことはなんのためのEV化か意味を失うだろう。

 以上述べた以外に2つ程の新電力の未来の姿がある。一つは核融合で近く実験用プラントが作られると云う報も聞く。しかし、何処まで安全・安定性を持って、安定的な原子力と同等の大規模発電が行える核融合炉ができるがとなると、未だ未知の世界だろう。

 もう一つは、宇宙空間の衛星軌道に太陽光パネルを設置し、高周波(マイクロ波)で電力を地上に送電すると云う構想がある。その構想に目を通すと、太陽光パネルは2km x 2kmの大きさで、まったく天候の影響を受けずに100万kwの電力発電が行えると云う。その電力をマイクロ波(GHz帯電波)で送電するのだ。しかし、電子レンジは2.4GHzのマイクロ波で食品に含まれる水分子を振動させることで加熱するから、超危険なのではないかと思うが、ある程度ビームを広げ直径2kmの太いビームに拡散することで、太陽光と同等の単位面積のエネルギーとして危険を取り去ると云う。しかし、これも未だ構想の範囲で、実証実験すらできていない技術なのだ。

 前置きが長くなたっが、クルマの近未来の話に入ろう。果たしてCO2が本当に地球温暖化に相関しているのか、もしくは温暖化という現象が本当に進んでいるのか、いささか疑問を思うところはあるが、今回はそのことはひとまず除外して思考したい。

 ここで、欧州各政府は英国を筆頭にその他EU諸国も未だ正式表明こそしていない国も多いが、英国に続く様相を示しているのだろうか?

 それと不思議は、最初にZEV(ゼロエミッションビークル)という言葉を作った米カルファルニア州を含め、米国は未だ全EVなどとは少なくとも政府表明はしていない。

 ところで、ZEVには、BEV(バッテリーEV)だけでなく、FCVもあり得るし、ハイドロジェン燃焼内燃機関もあり得るのだが、何故か各国政府は、そのことを知っているはずだが、一切そのことを触れないのは何故か?

 このFCVだとかハイドロジェン内燃機関は、FCVについてはトヨタが完成車を市販しているが、市販はしなかったが、かなり深く研究していたのはホンダやダイムラー(ベンツ)で、ホンダなどはクラリティという名まで付して、ほぼ完成の域に達していた様子だ。ハイドロジェンエンジンについては、最近今更と云う感じで、トヨタのあの軽い社長がレース車に使い出してアピールしているが、過去にBMWとかマツダがロータリーエンジンと組み合わせた試作車を公開していた。しかし、ホンダは開発中止を正式表明しているし、ダイムラーその他も、ぜんぜん感心を持っている様に見えない。これはどうしたことが理由なのだろうか?

 これについて拙人の理解は以下の通りだ。
 FCVにしてもハイドロジェン燃焼についても、水素を如何にコスト安で作るかというところに問題があると思える。地球上に水素は無尽蔵に近くあるが水素単独で存在していることはない。つまり、多くは水を電気分解などして水素を作り出す以外にないが、これには大電力が必要になる。しかも、トヨタの市販車ミライは、ガソリンエンジンと遜色ない航続距離を得られたが、これにはかなり高い高圧水素ボンベが必用になるし、その高圧ボンベに水素を充填するステーションも、通常のガソリンスタンドの10倍ほどのコストを要する訳で、インフラとしての水素ステーションの拡大が難しい。それと、車体装着の高圧水素ボンベも、高圧容器法で4年毎の定期検査が必用(通常の整備工場では不可能でそれなりの認可を受けた専門事業所でないと不可)ということと、製造後15年が限界使用期間となり、それ以上使う場合は交換が必要になる。水素ボンベも、超高圧に耐えしかも重くならない様に炭素繊維樹脂を巻き付けるなど、それなりにコストを要しており、結構高い製品となるだろう。こんな理由から、水素を使ったFCVもハイドロジェン燃焼エンジンも、とても将来性がないと見切りを付けたのがホンダやダイムラーだろうし、世評としてのオワコン(終わったコンテンツ)との見方もあながち間違っていない様に思える。

 さて、EVの未来だが、政府指針は示されつつ、欧州メーカーは量産を始めたし、日本メーカーでも量産に向けた研究に拍車が掛かっている。ただし、ホンダの内燃エンジン専門工場であるパワートレインユニット製造部(栃木県真岡市)を2025年中に閉鎖すると発表するまでしたメーカーは、欧州メーカーにはないと云うところが面白い。つまり、欧州のVW、ダイムラー、BMWなど、各自動車メーカーはEV車を開発販売してラインナップを拡充しつつあるが、そこには何時EVが息詰まっても内燃機関エンジンに戻れるべき保険を掛けているのだ。そういう点では、ホンダのアホさ加減が判ろうというものだ。たぶん、往時の藤沢武雄氏に相当する逸材が存在したら、こういう早とちりの決断は下すまい。

 それと、この欧州のEV化一直線の動きは何故始まったかを考える必用があるだろう。それは、VWの米国でのディーゼル詐欺が端緒になったのだが、多かれ少なかれ欧州の車両メーカーはターボ付きディーゼルに内燃機関最後の命を掛けており、たまたまVWがやり玉に上げられることになったが、その他メーカーでも類似の限界はあったのだろうと思える。つまり、CO2(=燃費)では、トヨタの純HVに敵わず、子供だましのPHVしか作れないことがあった故だろう。今やトヨタはHVのパテントを無料公開している訳だが、それを使いトヨタ方式のHVを作ることは、ボッシュでは対応できないし、プライドからも到底許せることではなかったと云う見方をしているのだ。その思いがEV化として政府指針を出させたが、そんな欧州メーカー自身が、果たしてEVが100%成功するとまでは信じていないと云うのが現実だろう。


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