私の思いと技術的覚え書き

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インドの衝撃を読んで

2021-04-04 | コラム
 図書館で借りだした「インドの衝撃」という本をザラッっと流し読みした。この本は、諸事不審を感じるNHKが出している本だが、これだけの世界情勢をサーチする能力がある。しかし、それを恣意的に視聴者に還元し役立たせようとしない姿勢が不審を呼ぶのだろう。
 インドという国は、人口が9億とか10億とは云われているが、正確には把握されていないらしい。何れにしても12億と云われ現在世界1の中国に次ぐ世界第2の大人口国だ。おそらく10年後には中国を抜き、世界最大の人口国になると云われている。しかも、国策的に1人っ子政策を強要した中国と異なり、平均人口がぜんぜん若い。それだけに、持てるポテンシャルは極めて高い国だろうけど、一般的な日本人として、インドの諸情報は少なく、遠い国と感じつつ、どんな国なんだろうという興味が、図書課の書棚から同本を抜き出す動機になった。
 インドには最高学府としてインド工科大学(IIT)というのがあるそうだ。幾つかの分校をあり、総学生数が25千名はどらしく、政府の補助もあり学費も安い。しかし、ここの入試倍率は60倍であり、米MITで10倍くらい、日本の東大で3倍に比して、ここに入るには相当の智力がないと困難だという。つまりインド政府は、将来のインドを見据え、IITで育てたインドの超秀才達で、インド経済の発展を促したいという戦略を持っている様だ。
 遠い国とインドのことを表したが、予てインドが世界経済で知られるのは、私の専門ととの認識を持つ、タタグループというのを知る。同グループはクルマだけではないが、クルマで云えばタタモータースは、同国最大(商用車部門で世界5位)の規模を持ち、英国のジャガーランドローバーグループを買収し傘下においている。インドには、このタタ財閥の他に、ビルラ財閥、リライアンス財閥という3大財閥が予て(イギリス植民地時代から)より、インド経済を引っ張って来た。
 イギリスから独立して以来、インドは共産主義ではないが、いわゆる社会主義として、政府が強い関与を行いつつ行政を仕切ってきた。それが限界を迎え、現在は資本主義自由経済に大きく舵を切ったところだ。そんな中での、インド政府の目論見は、IITに代表される徹底的な智力集団の育成により、国家経済を維持しようと云うものらしい。
 もう少し具体的に記せば、日本の様に物作りを目指す製造業の育成でなく、智力を生かしたソフトウェア産業を国家の根幹に据えようと云うことらしい。そんな中、マイクロソフトなどは既に、開発拠点を米国に次ぐ地として、インドに設置済みだという。
 ソフトウェア産業といえば、いわゆるコンピューターを駆動するプログラムのことを指すのだが、プログラム自体はコーディングと呼ぶ、コンピューター言語による記述で作成される。ただし、このコーディング以前に、全体のプログラムの流れ、条件判断、解析などの大枠としての順序を思考する能力が極めて核心のことになる。これをアルゴリズムとか、具体的に表したのがフローチャートと呼ばれるものだが、求められる主要な能力としては数学の能力にある様だ。いわゆる、各種方程式、因数分解、微分、積分などの各種数学的能力だという。IITの講義も、基礎実験も行うが、あくまでも基本原理を知る意味でのものであり、そこから導かれる数値的な論理性とか相関性を頭の中で整理する訓練が中心という様に説明されていた。
 現在のところ、PCにしてもモバイル機器にしても、米国製のマイクロソフトだとかグーグル、アップル辺りが世界を席巻している訳で、そのあくまで下請けとしての業務をインドは担っている。しかし、インドの飽くなきソフトウェアに掛ける国策が成功した暁には、インド発の新しいOSが世界のスタンダードになる日が来る可能性もある。しかし、これは日本もかつてトロンOSで潰されたが、世界の覇権を握る米国と対立する問題に発展する可能性がある様に思えてならない。

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