私の思いと技術的覚え書き

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プレロードとは

2011-08-31 | 技術系情報
 プレロード(もしくはプリロード)とは、言葉の意味はプレが事前の、ロードが荷重となりますから、事前の荷重との意味となります。

 クルマ用語としてのプレロードには、幾つかあることが思い当たります。その内の二つを以下に記してみましょう。

 一つは複数のベアリングの組み合わせにおいて行うプレロード調整でしょう。ベアリングの型式によっては、垂直荷重と水平荷重の両方を受け持つモノがありますが、この様なベアリングでは適切なプレロードを与えることにより、初期摩耗によるガタの防止を図ると共に、過荷重によるベアリングの焼き付きを防止するために行われています。

 具体的なベアリング型式とIしてはテーパーローラーベアリング(ローラーが斜めにセットされ転がるベアリング)となります。例えば、FR車の前輪ハブベアリングはこの方式ですが、セットアップの仕方としては、ベアリング組み付け後、①ベアリング締め付けナットを規定トルクで締め付ける、②ハブを前後に数回以上回転させベアリングを落ち着かせる、③ナットと十分緩める、④ナットをボックスレンチソケットだけを手で握って一杯まで締め付ける、⑤ハブボルトにバネ計りを付けて回転時の起動荷重が許容範囲であることを確認する。

 なお、最近のクルマでは、FF乗用車やFR乗用車でも前輪は、テーパーローラーベアリングに変わり、ダブルアキンギュラ・ベアリング(複列ボールベアリング)が使用されています。この方式では、セットナットを規定トルク(相当大きなトルク)で締め上げることで、プレロード調整は完了となります。

 さらに、テーパーローラーベアリング使用ヶ所について追記しますが、ファイナルギヤにおける入力軸となるドライブピニオンギヤの前後を受け持つテーパーローラーベアリングの組み合わせのことを記してみます。この場合前後のテーパーローラーベアリングの中間には、塑性変形スペーサーという予め座屈変形し易い形状に成型したスペーサーが挿入されます。そこで、セットナットを規定トルクで締め上げることで、スペーサーが塑性変形すますから、適当なプレロードが与えられるということになります。この場合にも、プレロード計(超小型のトルクレンチ)により、起動時のプレロードが基準値内であることを確認します。

 二つ目のプレロードですが、サスペンションスプリングにおけるプレロード(セット荷重といえる)を記してみます。サスペンションの設計において、フルリバウンド(伸びきった状態)においても、スプリングには荷重が作用しています。この荷重を変化させることで、サスペンションストローク初期の特性に影響すると云われています。レース車両だとか、それに準じた通称「車高調」と云われるサスペンションキットには、スプリングシートの上下に位置可変のアジャストを持っており、同一車高でも、プレロード(セット荷重)を変化させることができるモノがあります。



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