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ジアコーサドライブとイシゴニスドライブとの違い

2022-06-02 | コラム
ジアコーサドライブとイシゴニスドライブとの違い
 前にも記したことがあるが、日本の車両部品等も多く出品されている某ネットオークションは、その出品写真を見ることで、過去の知識を実物として目にする機会を持てて勉強になるケースが多々ある。

 今回見た、元祖ミニ(クラシックミニ)のエンジンとトランスミッションの配置が良く判る出品だが、エンジンがあって、その真下にトランスミッションがあり、後部中央にトランスミッションのアウトプットとしてファイナルギヤ(デフ内蔵)が飛び出して、左右のドライブシャフト嵌合部があるという構造が良く判る写真を興味深く見た。



 元祖ミニは、未だFRとかRRが多い時代の中にあって、一時ホンダが提唱していたMM(マンマキシマム、メカメニマム)を最大限追求する中で、メカニカルデザイナーたるアレック・イシゴニスが採用したメカニズムだ。この場合、ラジエーターもサイドに置かれ、エンジンで廻すクーリングファンで停車時とか低速時のラジエータクーリングも行う。

 このエンジン配置を持ったFF車を別名イシゴニスドライブと呼ぶのだが、この登場を受けて、それまでRRエンジンで小型車を作って来たフィアット社のエンジニアである、ダンテ・ジアコーサは、FRと同様にエンジンとトランスミッションは直列で、それを横置きにして車両前面にラジエーターを配置するFF車を作り出した。これが、通称ジアコーサドライブと呼び、現在のFF車の大勢を占める方式になった。

 ここで、イシゴニスドライブが廃れ、ジアコーサドライブが主流になって理由を考えて見れば、その理由は幾つもあるだろうが、以下程度が主因だと思える。

・ジアコーサの2階建て構造では、エンジンとトランスミッションで同一のオイルを使用しなければならず、オイルの要求特性が異なり難しさがある。

・2階建て構造故に、エンジンとトランスミッションの上下高さが高くなり、ボンネットラインを下げられない。

・サイドラジエータ配置は、冷却効率上で良くない。

追記
 このエンジン下にトランスミッションを配置する構造は、スーパーカーで水平対向(もしかすると180度Vかも)のフェラーリ365GTB/4から512BBまでも同様の構造が採用されていた。写真はNetから転載した512BBのもの。

 512BB(元祖は365GTB/4)だが、フェラーリ初のMR配置車だが、そのスペースユーティリティ上からこの配置になったと想像するが、せっかくの水平対向配置なのに、エンジンを持ち上げてしまうことになってしまい、もったいない配置だと思える。まあ、似た様なことにスバルの水平対向も、エンジン下に触媒とか左右の排気マニホールドが配置され、思ったほどクランクプーリーの軸心は低くない。


#クラッシックミニ #エンジン・ミッションの2階建て構造


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