私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

新技術欲求への隘路・そこには壮大なムダがあり、すべてが消費者に転嫁されている!

2021-05-03 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 新技術として車両メーカーに主に燃費向上への指向はあって当然だろう。しかし鳴り物入りで投入した新技術だが、改めて思考してみれば、壮大なムダを行っているに過ぎなかったという実例を2つ書き留めてみたい。

1.BMWバルブトロニック機構
 吸入空気量の過多により出力制御するのは、ガソリンエンジンの基本的問題だ。ところが、低速軽負荷など、スロットルバルブ開度が少ない時、スロットルバルブ下流には高負圧が生じ、すなわち吸入行程でのポンピングロスとなるため、これを解消できないかが開発の眼目だったのだろう。そこで、スロットルバルブによる吸入空気の制御を止め、インテークバルブの開度により、吸入空気の制御をしようとしたのがバルブトロニックだ。BMWでは、このバルブトロニックのために、大幅な追加部品を組み込んでメカニズムを成立させた。そして、給気管負圧は高負圧になることもなく、ある程度の燃費改善効果は生まれただろう。
 しかし、結局のところインテークバルブで絞り損失は生まれている訳で、大した燃費向上効果はないと見るのが現在の意見ではないだろうか。

 そして、現在ではEGRという燃焼ガス(ほとんど空気のないほぼ不活性ガス)を還流させることで、スロットルバルブ機構はそのままで、高負圧によるポンピングロスを低減できることを実用化しているエンジンはあまたある。
 BMWがバルブトロニックを開発する時点で、EGRという技術は既にあった。しかし、多くの技術者は、給気管負圧を下げるためにEGRが使えるとまで、何故気が付かなかったのだろう。しかし、そんなことをやらかすのも人間の愚かさなんだろう。

2.アイドルストップ
 実際の道路運転環境で、余程長時間のアイドリングをしない限り、アイドルアップの燃費低減効果はほぼゼロかマイナスだろう。それはアイドルアップ装置が付くクルマで、車庫入れをするのを見ていると、バックして入り切らず停止しアイドルストップ、前方へ切り返し進行して停止しアイドルストップと、ヘタすりゃ4、5回アイドルストップしてはの再始動を繰り返している。暖機後のことなので、燃料噴射の始動増量はほぼないだろうが、バッテリー放電によるオルタネーターの発電負荷は確実に増えているだろう。

 なんで、こんな一定の技術者なら判る機構を取り入れたのだろう。これは、カタログに記載されるJC08モード燃費を、例え0.1km/hでも良くしたいという近視眼的な思考だけが、頭の中を占めていて、統括する上役も、そのことしか見てないことを示すものではないか。

 酷い目に遭うのは消費者だ。強化されたバッテリーやスターターモーターのコストを負担させられ、何ら実走行で効果のないインチキ商品を売り付けられた、ある意味詐欺商法の餌食にされている訳だ。

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