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米ユナイテッド航空が超音速機調達計画

2021-06-15 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
米ユナイテッド航空が超音速機調達計画
 米ユナイッテッド航空が超音速旅客機を調達する計画を明らかにしている様だ。計画では2029年年に就航予定で、調達先の製造企業は明らかにされていないが、米国ならボーイング以外に選択肢はないだろう。

 関連した記事を読むと、新造機はマッハ1.7程度の超音速で飛ぶと云う。軍用戦闘機などでは、ロッキードF104以降、超音速機はマッハ2.0~2.5程度が最高速となっているが、これはエンジン出力の限界から生じる限界ではない。アフターバーナーなどのエンジン出力増強装置を付加し十分なエンジン出力を与えれば、ロッキードSR71みたいにマッハ3.0を越える機体もできるが、それでもこれはSR71のエンジン出力から得られる限界速度ではないという。つまり、速度限界は、機体が空気摩擦で昇温することにより、アルミ系素材の強度低下が生み出していまうことが限界を決めると云う。

 また、従来、音速を超える飛行は、アフターバーナーという本来のジェットエンジン後方でさらに燃料を燃やして出力を、本来出力の50%程度上げることでのみ得られたそうだが、これを行うと千KL単位の燃料を数十分で消費してしまうと云う。つまり、熱効率が極端に低下してしまうのがアフターバーナーの大きな欠点なのだが、戦闘機などでは極短時間の目的地へのインターセプトとか空戦に限定することで許容できた。しかし、かつての旅客機で初めてアフターバーナーを装備してマッハ2.0の超音速を実現したコンコルドは、ロンドンもしくはパリからニューヨーク間の航空運賃が、豪華客船クイーンエリザベスの1等船客費なみの工学運賃だったという。だから結局、乗ろうという需要も少なく、当初の第1期製造計画の16機のまま、増備されることもなく、最後の事故を機に退役となったのだと聞く。

 ところが、最近戦闘機でも、アフターバーナーは持っているが、それを使用しない状態でも、マッハ1.7程度の超音速状態で飛べる戦闘機体が出てきている。代表的なものとしては、ロッキードF22などになるが、このアフターバーナーなしで高効率のジェットエンジン状態だけで超音速飛行を行うことをスーパークルーズと呼んでいる様だ。

 しかし、幾ら高効率なジェットエンジンを使用しようが、消費する燃料エネルギーは、速度の自乗で消費するし、空気抗力を低減するするため細い胴体断面と少ない客室定員は、一人当りの運行コストをコンコルドほどでなくても引き上げることは確かだろう。

 こうして見ると、今建設を始めたというリニアモーター列車に似ていると思わざるを得ない。

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超音速機が大空に帰ってくる、米ユナイテッド航空 29年就航予定
6/4(金) 12:47配信 ロイター

 米ユナイテッド航空は3日、米航空機ベンチャー、ブーム・スーパーソニックから超音速機「オーバーチュア」15機を購入する合意を結んだと発表した。2003年に引退した「コンコルド」以降で初めて、超音速旅客機が世界の空に復活する見通しとなった。
 合意では、安全性や運航、持続可能性に関する米国の基準をクリアし次第、15機を購入することになっており、35機を追加購入する権利も得た。
 超音速機は音速以下の速度で飛行する亜音速機に比べて乗客1人当たりの燃料消費が多いとして、環境活動家から批判されている。
 ユナイテッドは2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにする目標を掲げており、新たな超音速旅客機は2029年に見込まれる就航当初から、持続可能な燃料(SAF)のみで運航するとした。
 オーバーチュアの座席数は65─88席で、料金は当初、ビジネスクラス並みに設定される見通し。大西洋横断の飛行時間は現在の半分の約3時間半に短縮される。
 超音速機は騒音を理由に、過去に陸域上空の飛行が禁止された経緯があり、米連邦航空局(FAA)が陸域上空の超音速飛行を認めるかどうかが焦点となる。空港運営会社などからも、飛行音を亜音速機と同程度に抑えるよう圧力がかかるとみられる。
 ユナイテッドは購入額を明らかにしていない。広報担当者によると、契約が結ばれ、保証金が既に支払われた。


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