私の思いと技術的覚え書き

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労災事故多発に思う

2023-03-09 | コラム
労災事故多発に思う
 近年、交通事故死は減っているのだが、業務中の事故とかで命を失う労災事故が増えている様にも感じられる。また人の負傷はないにしても、事業もしくはプロジェクトの失敗という事例も目立つ様に思える。

 この実例では、近日の日本のロケット発射で、当初は発射初段階のブースターが点火できなかった問題から、原因修正後に再度打ち上げたら、2段目ロケットの点火ができなく自爆させたと云う。このロケット失敗は、どこかの損保で、数百億の保険金支払いが生じていることとは思う。しかし、多段ロケットとは、云うなれば北朝鮮が繰り返し試験発射しているICBMと実態は類似するもんだろうが、これじゃ北朝鮮ICBMの方が信頼性が高い様にも思えてしまう。

 しかし、小さな問題でも、厚板鋼板を組み立てる工場で、仮組みした厚板鋼板が、クレーンでの吊り荷が当り、仮組み中の多数枚の厚板鋼板が倒壊して何名もの死人が出たとか、整備工場で大型車のリフトでの昇降中に挟まれて死亡とか、労災死亡事故を聞くことが多い昨今だ。

 ロケット失敗から、整備工場の事故まで、それぞれを問題の細部まで知り得る立場にないのだが、我ながらの過去の事故絡みの知見で思考すると、関わる労働者の連携不足とか指揮監督者の責任放棄という言葉が思い浮かんで来る。

 ここで、考えなければならないのが、現在の労働環境において、非正規職員50%という問題があり、正規と非正規の職員間で安全への教育だとか指揮命令が十分だったのだろうかということを想像してしまう。ロケットの問題も、さまざまなサプライヤーが個別部門を担当しているのだろうが、それを統括する指揮官が何処まで全体を統括しきれているのかということを思う。

 バブル崩壊後、企業は原価抑制として教育に金を掛けなくなったという事象が、さまざまな業種で見られるが、その代わり安直なマニュアルは普及したのだが、このマニュアルとは、得てして学校出たての実務を知らない者が作っている場合もあり、あまりにも安直で価値ないマニュアルであったりする場合がある。つまり、どうしたら事故が起きないと云うより、起きた事故の責任を安易に決め付け、その罪により作業ミスを諫めようというする思考と云っても良いだろう。

 それと、リーダーたる者の識見とか事故を起こさない、安全サイドに立った眼力というのが欠落しだしている様にも感じている。ある作業、これは労働だけでなく思考的な作業でも同様だが、「段取り8部」という言葉がある。つまり、全体の作業プロセスを見通し、十分な段取りを取り、実際の運営をスタートするのだが、緻密なリーダーは失敗した時のことも忘れず、また不足の事態に備え、隷下の部員に対し、その姿勢にまで目を配りつつ開始命令を下す。


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