私が社会人になった頃、自動車関係の愛読誌として毎月「モーターファン」(三栄書房)という雑誌を購入していました。この月刊誌は、今思い出しても中々に志および質の高い内容であったと感じます。それは、一切の虚飾を廃した客観的データとしての「ロードテスト」の掲載であったり、中村良夫さんや兼坂弘さんのコラムや論評等を含めてです。中村良夫さんのことは過去にも記していますので、今回は兼坂弘氏のことを記して見ます。
兼坂弘氏は元「いすゞ」のエンジンデザイナー(設計者)の方で、退職後はエンジンコンサルタントおよび評論家として活躍された方です。月間モーターファン誌でも「毒舌評論」として、各メーカーのエンジンを正に独特の毒舌として、手厳しく論評していた記述が思い出されます。この方の論評を見て、私のエンジン技術に対する知見は深まったと感じられます。
さて、この兼坂弘氏が「究極のエンジンを求めて」という単行本を出されており所有していますが、今から20年以上以前に記述されたものですが現在見直しても面白く、興味深く見られる内容と感じられます。当時、いすゞ等で盛んに喧伝されていたセラミックエンジンのことを熱効率改善にならないものと切っています。また、現在2000気圧の噴射圧力に達しようという噴射システム(いわゆるコモンレール式噴射システム)でディーゼルエンジンに欠かせない燃料噴射システムの優位性について記されたりしています。そんな兼坂弘氏も2004年11月に冥界に旅立たれています。
追記
上記の「モータファン」誌ですが1996年に惜しくも廃刊となってしまいました。その後は、三栄書房の雑誌では新型車の解説書としてニューモデル速報(・・・のすべて)を興味あるクルマについて購入し続けて来ました。そんな三栄書房ですが2006年末より「モーターファン・イラストレーテッド」という月刊誌を発刊し始めています。個別のクルマというより特徴あるメカニズムをテーマとして、豊富な写真とその解説で展開するという内容で編集されています。この様なテーマでは、早々に限界が訪れることも予想されますが、現在20巻目が発刊されていますが、興味深く見ているところです。