クルマの未来は航空機からの流れを受けるものが多くあります。今回は、最新鋭の次世代商業ジェット旅客機であるボーイング社の787機と、エアバス社のA380機のコックピットの風景を見ながら、私見としてのクルマの未来のことを記して見たいと思 います。
ボーイング787は初号機が完成し、現在試験運航中とのことですが、そのコックピット風景を紹介してみます。大型航空機のインストルメントパネルは、ちょっと前まで、多数の丸形アナログメーターが並んでいる風景が一般的でした。しかし、写真を見てもらえば判る通り、インパネ正面には、15インチクラスの液晶ディスプレーパネルが4面(+1面がセンターコンソール部に)が並んですっきりしています。なお、操縦輪は従来機同様の形状のものです。
一方、エアバスA380のコックピットは更に斬新です。液晶ディスプレーパネルが10面が並んでいるのが判ります。そして、操縦輪で はなく、サイドスティックが採用されています。ボーイングの操縦輪もエアバスのサイドスティックもFBW(フライバイワイヤ)が採用されていますが、パイロットとのインターフェースに設計思想の差がある様です。
クルマの未来のことですが、バイワイヤ技術は益々取り入られつつありますし、メーター内に液晶ディスプレイを組み込んだものも既に登場しています。しかし、クルマの場合は航空機の様な多種の情報表示までが必要ありませんから、インパネが液晶パネルで埋め尽くされることはないでしょう。なお、各種メーター類とナビゲーションモニターとの統合等は考えられる方向だと想像されます。
さて、ステアリング自体のバイワイヤ化ですが、既にアクティブステアリング等で、ステアリングホイールとフロントタイヤ間の非線形化は進んでいますが、私はステアリングホイールがなくなることはないと想像しています。それは、どんなにバイワイヤ化が進もうと、最終的にはステアリングホイールからは路面半力が伝わり、それを感じ取る必要があるからを思うのです。確かに、単に運転するだけなら、エアバスの様なサイドスティックやハンドル形状をなさない二輪車のバーハンドル様のものを一定角度まで回転させる方式も実現可能でしょう。しかし、路面と対話しながら、ステアリング切り足し、切り戻すという行為は、楽しく安全にクルマを運転する一番大事な部分だと感じるのです。
追記
ボーイング787(ドリームライナー)は、1号機が次年5月に全日空に納品される予定ですが、半年程の遅れが出ている様子とのことです。機体のほぼ全体をカーボンファイバー(CFRP複合材)製としており、従来のアルミ合金製の旅客機より、客席窓も大きく余圧や湿度も高くして乗客に快適さをもたらすと云います。機体も軽くエンジンの改良と共に、燃費も20%改善しているのだと伝えられています。