燃えるフィジカルアセスメント

総合診療医徳田安春の最新医学情報集。問診、フィジカル、医療安全、EBM、臨床研究に強くなれます。

子供を死なせない4 連載 その53

2013-08-03 | 本の紹介

 今回も前回に続き健康長寿は子供から、親がいますぐできることの前回の補足です。

 ①の乳児を仰向けに寝かせることに関連して、頭の変形を防ぐために、乳児が起きているときには、親の監視のもと、うつぶせで遊ばせる時間をとることをすすめています。

 チャイルドシートに乗せたままなど後頭部を固定する時間を減らし、抱っこする時間を増やすこと。 さらに、仰向けに寝ている間は乳児の頭の向きを変えることにより頭の変形を防ぐこと。 とくに神経系の障害のある乳児や発達の遅れのある乳児には重要であること。 斜頭症(頭が極度に斜めに変形している)を認めたら矯正装置を必要とする場合があるので、早期に医師の診察を受けることが述べられています。

 同時に、これらのことを保護者教育として広めることが重要であると指摘しています。

 また、⑤の乳児は親と別のベッドで寝かせるに関して、2005年7月に小児科雑誌に発表されたスコットランドの研究をご紹介します。

 この研究では、123人のSIDSで死亡した乳児とSIDSでない263人の乳児を比べ、ベッド共有によりSIDSのリスクが増加することが改めて確認されました。 このリスク増加は、とくに生後11週以下の乳児で認められました。

 また、同研究では、両親の間に乳児が寝ることが、最もリスクが高いことが明らかになりました。 ベッドを母親と共有(添い寝)することは母乳育児を促進し、親と子供の「アタッチメント」の時間を増やし発育によい影響を与えるという研究報告がありますが、SIDSを防ぐという観点からは、添い寝をしないことによるメリットの方がより大きいと、現時点では結論づけられています。

 今回はこの辺で、短めでしたがどうしても補足したいので、次回は子供のあらゆる事故を防ぐことを考えていきましょう。

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