前回に引き続き三大死亡原因の今回は脳卒中について考えていきましょう。
脳卒中とは、脳の血管がつまったり(脳梗塞)、破れたり(脳内出血、クモ膜下出血など)して、その先に栄養が届かなくなり、脳の細胞が死んでしまう病気です。 がん、心臓病に次ぎ、現在日本の死亡原因の第三位であり、冠動脈疾患(CAD)同様、動脈の病気として、生活習慣病がその発症要因となることが多いこともわかっています。
生活習慣病の増加とともに、沖縄26ショックの要因として、脳卒中死亡率の減少速度の鈍化について書きました。 高齢化社会に伴い、全国でも脳卒中患者は増加し、2020年には300万人に達するともいわれています。 さらに、問題なのは後遺症で、2020年には脳血管性認知症(痴呆)患者が100万人をこえるとみられています。 私たちは寝たきりや認知症のない健康長寿を達成したいと願っていますが、脳卒中はそれを阻む最大の敵となっています。
脳卒中は、前触れとして一時的な麻痺やしびれ、言葉が出てこなくなったり、ものが二重にみえたりする一過性脳虚血発作が起きる場合があります。 大きな発作の前に治療することもできますので、気づいた場合は必ず受診してください。
とくに、一過性脳虚血発作の症状として、片麻痺、ろれつがまわらないという症状が1時間以上持続した場合には、その後の大きな発作(脳梗塞)に移行する可能性が高いことがわかっています。
一過性脳虚血発作に対しては、脳梗塞をいきなり発症したときと同様に、CTやMRI、頚動脈の検査、心臓に血栓がないかどうか調べ治療法を決定していきます。
心臓に血栓(塞栓症)がある場合には血栓をつくりにくくする治療(抗凝固療法)や、頚動脈が明らかに狭くなっている場合には血管内手術をすることもあります。 そのほか血栓の原因となる血小板凝集を抑制する、アスピリン(一日一回75~162mg)を使用することも多くなっています。
今回はこの辺で、次回も脳卒中について考えていきましょう。