健康長寿は子供から、親がいますぐできること、と題して考えてきました、今回は教育について考えていきましょう。
健やかで知性あふれる子を育てることも、将来、健康長寿の大人になるためには重要だということもわかってきました。 教育を受けた年数が長い方が、そうでない者よりさまざまな病気の予後がよいという研究報告や、高等教育の有無が冠動脈疾患や脳卒中の危険因子に影響を与えているという報告もあり、親の責任は重大です。
さらに、モラ医師らが発表したアメリカ人の調査では、1998年の時点で25歳の人の平均余命は、男性では大卒者のほうが高卒者より7.1年長く、女性では4.1年長くなることが明らかになりました。
原因として高卒者の場合、未保険率が高い、病院受診率が低い、健康への関心が薄いなどいろいろ推測されてはいますが、それだけでは説明がつかず、明らかな原因はわかっていません。 健康長寿になるためには、肉体的なことだけにとどまらず、精神的・社会的な要素もかかわり、単純ではないということです。 健康で知性あふれる子供を育てるために、親は今なにができるかを考えてみましょう。
とくに、妊娠中の喫煙、飲酒、コカイン・麻薬などのドラッグの使用は胎児の脳の発達に有害な影響をもたらし、成長後の子供の学習能力や行動に問題を起こすことが明らかになっています。 ですから、子供への健やかな教育は子宮のなかからはじまっているといってもよいのです。
妊娠中にもう一つ重要なのが、十分な栄養素を含んだ食事摂取です。 とくに葉酸は重要で、実際に脳の発達がはじまる妊娠初期に最も必要とされます。 妊娠に気がつく前にその時期が過ぎてしまっていることがあるため、妊娠がわかる前から妊娠希望者には葉酸のサプリメントが推奨されています。
また、魚などに多く含まれるオメガ3脂肪酸も脳の発達には重要で、2003年にノルウェーのへランドらの研究によれば、妊娠18週以降にドコサヘキサエン酸(DHA)を摂取した母親から生まれた子供のほうが摂取しなかった母親から生まれた子供より4歳の時点での知能テストでスコアが高かったという報告があり、妊娠中はとくに魚を含めオメガ3脂肪酸を多く含む食品を摂取することがすすめられます。
今回はこの辺で、次回も健康長寿は子供から、親がいますぐできること、について考えていきましょう。