みなさん、こんにちは。
Choosing Wiselyとは、診断や治療の選択において、エビデンスに基づいた医師・患者対話を促すための世界的キャンペーン活動である。
2011年にキックオフし、その後日本を含めた世界約20か国に急速に広まっている。
有害な過剰診断・診療などの価値の低い医療介入を減らすように呼びかけている。
各国の臨床医学系メジャー学会が、それぞれ推奨リストを挙げ、一般の人々に向けて公開している。
今回から順に、主要な推奨リストを紹介する。
まずはCanadian Cardiovascular Societyから下記に示す。
表: Canadian Cardiovascular Societyの推奨リスト
【1】Don’t perform stress cardiac imaging or advanced non-invasive imaging in the initial evaluation of patients without cardiac symptoms unless high-risk markers are present.
心血管リスクの低い無症状患者に対して最初から負荷心臓イメージング検査や高度非侵襲的イメージング検査を行うな。
(心血管リスクの高い患者では行ってもよい。それは、40歳以上の糖尿病、末梢動脈疾患、1年以内の冠動脈イベントのリスクが2%を超えるひと、などである)
【2】Don’t perform annual stress cardiac imaging or advanced non-invasive imaging as part of routine follow-up in asymptomatic patients.
心血管リスクの低い無症状患者に対してルーチンフォローとして負荷心臓イメージング検査や高度非侵襲的イメージング検査を行うな。
(ルーチン検査を行うと不必要な侵襲的手技や放射線被曝の可能性が高まるというエビデンスあり)
【3】Don’t perform stress cardiac imaging or advanced non-invasive imaging as a pre-operative assessment in patients scheduled to undergo low-risk non-cardiac surgery.
心血管リスクの低い無症状患者に対して低リスクの非心臓手術の術前ルーチンフォローとして負荷心臓イメージング検査や高度非侵襲的イメージング検査を行うな。
(低リスクの非心臓手術の例は白内障手術など。このような状況での検査は患者のマネジメントやアウトカムを変えないというエビデンスあり)
【4】Don’t perform echocardiography as routine follow-up for mild, asymptomatic native valve disease in adult patients with no change in signs or symptoms.
症状や所見の変化がない軽度弁膜症の成人無症状患者で、ルーチンのフォロー心エコー検査を行うな。
(軽度の自己弁膜症患者では症状が出現するまで数年~数十年も経過する)
【5】Don’t order annual electrocardiograms (ECGs) for low-risk patients without symptoms.
無症状の低リスク患者に対しては毎年の心電図検査を行うな。
(10年間で冠動脈イベントのリスクが10%未満の低リスクの人々の心電図をみてもアウトカムを変えることはないというエビデンスあり)
写真:南城市
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