東京タウンウォッチング情報 & 経営コラム 「経営コンサルタント・安岡裕二」の情報とヒント

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ミニ経営戦略論 「顧客中心主義とは?」

2007-07-28 12:55:04 | ミニ経営戦略・戦術論
 「顧客中心主義とは?」
良く使われる「顧客第一主義」の意味は、極めて曖昧なものだと思う。いわゆる(お為ごかし)の臭みを感ずる。広辞苑によれば、「表面はお客の為になるように見せかけて、実は自分の利益を図る」…とある。典型的なものが、会員制ポイントカード。貯まると割引したりすることで、お客を惹きつける(逆に言うと、貯まらないと骨折り損する仕組み。ポイント残高が膨大になって、社会的な問題になった事がある)。自店の買い物客を固定化して他に逃がさないように囲い込み、買い上げ記録からタイムリーな販促、提案に繋げて、自分の利益に誘導する。本質は、企業の立場に立った利益主義だ。他を排除する事が、果たして顧客第一か。顧客に選ぶ自由があるのが、真の「顧客中心主義」ではないか…と思う。
 車販売は、長年車種グループ毎に、販売店系列が分かれてきたが、トヨタではテコ入れのため、トヨタブランドの全車種を揃える新業態店を出店する(埼玉、横浜)。これ、1つの顧客中心主義の現れではないかと思う。お客は、高級、中級、大衆ランクのどれでも比較して選べる自由さがある。ひとりのお客様が、或いは家族が、遠出用、近回り用と使い分ける時代だから、値段ではなくて目的別に好みのデザイン、スタイルで買う…顧客中心主義に近づいていると思う。
 ポイントカードでは、ビッグカメラの仕組みが解りやすい。ポイントは、溜めても使ってもいい仕組みなので、安売りに直結している事が明快で気分がいい。顧客の気持ちと店の都合を両立させている。
 家電量販店は、全メーカーの全機種を揃えてお客様が選べるようにしている。一見、顧客中心主義の理想に近い。しかし、これにはカラクリがある。メーカーの派遣社員が店員になりすまして、自社商品にはりつきお客に推奨する。店は、メーカー同士を競争させ、タダで店員を雇っている都合の良いシステムだ。さすがに公取委からお灸を据えられて自前で販売する事になったが…。
 平たく言えば、顧客中心主義とは、「お客様に選ぶ自由をどこまで与えられるか」だと思う。その代表的成功例が、JRのスイカと私鉄・地下鉄のパスモの共通化だ。それぞれの線が顧客を囲い込むのではなく、お客はどちらを選んでも良い仕組みで競争し、電子マネーのような使い勝手の良さで進化した仕組みを追求する。以前は考えられなかった便利さが顧客に支持されている。縄パリを壊し、顧客が主役として選べる仕組みを創りだした、「破壊と創造」の典型的イノベーションだ。
 
コメント (1)
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