“JAPANOLOGY”と言う番組からの受け売りの続編。
カリフォルニアのプライスコレクションは、
世界的に有名な江戸絵画のコレクションであることと、
「独自の光の方法論」を、以前ご紹介した。
本文では、ジョー・プライス(以下、“JP”と略す)氏の審美眼(見る目)と言うものについて、書いてみる。
JP氏は、気に入れば、それが彼にとって、名品なのである。
二十代から一貫して、自分が美しい・気に入った作品のみを収集している。
彼のメッセージを、引用する。
“私がコレクションを始めたのは、ただ江戸時代の絵画から受ける視覚的なアピールが素晴らしかったからです。
・・・ (略)
・・・ 言い換えれば、人に言われて買うのではなく、自分が欲しいと思ったものを収集してきました。
このとき、日本語の読み書きができないことは私にとってメリットとなりました。
なぜなら落款や印章ではなく、画家の腕だけを頼りに屏風や掛軸を選ぶことができたからです。
今でも、絵を見つけたときに作者の名前を尋ねることはめったにありません。
作品は質が素晴らしければ、それは偉大な画家が描いたものと言えるからです。 “
誰の作品であるかは、全く問題にしないのである。
若い頃から、名品を見分ける目を備えていたのであろう、贋作は殆ど無いという。恐るべき、審美眼の持ち主である。
こういう、鑑賞法こそ本物であろう。
おまけ;
JP氏談より、印象に残ったこと
1. 最近、日本画(特に、院展などで)の多くに、油絵のように、顔料を幾層にも厚く塗り重ねている作品がある。
それなりの質感・量感があって、面白いのであるが、JP氏は、こんなことを言っていた。
「巻物(掛け軸)にする関係で、日本の絵は、薄く一層の顔料のみで描いている」と言う。
こんな見方もあるのかと、鋭い観察に恐れ入ったのであった。
2. 展覧会では、多くの場合、保護の目的で、ガラスを通して見なくてはならない。
JP氏は、「日本画は、大変繊細であるので、ガラスなしで展示し見てもらいたい」と言う。
もっともである、多くの場合、自分の姿が映りこんで、実に見難いものである。
彼は、次のように、観賞の方法をアドバイスしている。
作品をベストの状態で観るには、ポイントが4つある。
「近くで、遠くで」
「1枚ずつ」
「ガラスなしで」
「自然光の変化の中で」 の4点。