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「パントマイムの神様」マルセル・マルソーの忌日

2009-09-22 | 人物
マルセル・マルソー(Marcel Marceau)はフランスのパントマイム・アーティストであり、人間の哀感をとらえた詩的な人物造形、優れたリズム感覚は、大道芸のパントマイムを芸術の域にまで高めたといわれ、近代パントマイムでもっとも有名な人物の1人。「パントマイムの神様」「沈黙の詩人」とも呼ばれている。
マルソーの初来日公演は1955(昭和30)年のことだそうであるが、その後、度々日本公演に来ている。冒頭の画像は、1994(平成6)年来日のときのもので、読売新聞・読売テレビ主催により9月14日~15日に大阪厚生年金会館中ホールで公演(演目 パントマイムの神様 マルセル・マルソー)されたときのチラシである。この時、マルソー71歳。もうこれが最後の日本公演だと思っていたら、その2年後にも来演(マルソー・ワンマンショー)、これこそ最後?だと思っていたら、1998(昭和63)年、新作のマイム劇「山高帽」をひッ下げて来演ししている。この後の日本公演」はよくわからない・・・。彼の演技は日本のテレビでもよく放送されたので、何度か見せてもらったが、彼のパントマイムは練り上げられ、磨きぬかれ不運に耐えて不滅の輝きを得たいわば古典といえるものだ。その完成された至芸は、何時まで経っても古さを感じさせない。それは、チャップリンの映画やディズニーのアニメと同様である。
彼の個人的な生い立ちなどは、よく知らないので、彼が亡くなったときのマスコミ報道やフリー百科事典Wikipedia』に頼るしかない。
彼は、1923年3月22日、フランス北東部のストラスブールユダヤ系の家庭に生まれ、出生名は、「Marcel Mangel(マルセル・マンジェル)だったという。しかし、16歳のときフランスが第二次世界大戦に突入し、まやかし戦争と呼ばれるにらみ合いの後、1940(昭和15)年5月にはドイツ軍のフランス侵攻が始まると、、本名マンジェルを仏風のマルソーに変え、ナチス・ドイツからの迫害を逃れ、レジスタンス(抵抗運動)に身を投じるが、彼の父はゲシュタポによって捕らえられ、1944(昭和19)年にアウシュビッツ強制収容所で亡くなるという悲劇に見舞われるが、この時、彼自身はフランス南西部に逃れたという。
しかし、このような、ナチスドイツからの迫害を逃れるために沈黙を迫られるという悲劇を味わった彼は、戦後、無意識のうちに沈黙の演劇を選択したのかもしれないという。
大戦後、彼は、サラ・ベルナール劇場の演劇学校生徒となり、現代パントマイムの草分け的存在と言われるエチエンヌ・ドクルーに師事し演劇や身体を使ったパフォーマンスを学ぶ。このとき、第二次世界大戦中、ヴィシー政権下で、製作されたフランス映画史に残る古典として知らぬ者のない名作「天井桟敷の人々」のパディスト役で世界的に有名になったジャン=ルイ・バローもまたドゥクルーの生徒だった。この映画が作られた当時、パリをはじめとするフランスはナチス・ドイツの占領下にあり、多くの監督がそんなフランスから逃げだしているとき、マルセル・カルネ監督はナチス・ドイツの非占領下であった南仏のニースの撮影所に巨大なセットを建設し、総勢2000名にも及ぶエキストラを使用して、2部構成、3時間以上にも及ぶ傑作を撮りあげた。正にフランス人の反骨魂が作り出した映画ともいえる。この映画は、一人の魅惑的、神秘的な女性を取り巻くパントマイム役者バティスト(バロー)や、シェークスピア役者のルメートル(ピエール・ブラッスール。以下参考の※Yahoo!百科事典:ブラッスール参照)等4人の男達の愛憎と嫉妬の物語である。戦前にはカット、カットで切り刻まれて上映された外国映画が、敗戦後完全版で再輸入され、続々と日本の銀幕を賑わしていた時代、1952(昭和27)年に、日本でも公開され話題になった。映画の中でバローの演じるアルルカン(道化役者)が白塗りの顔に、長い白い衣装、哀しげな目をして見せるパントマイムは見ものであった。見ていない人には是非見てみることを薦める。以下参考の※:「天井桟敷の人々」では解説と共に予告編が見れる。
映画出演後、バローが立ち上げた劇団に参加した、マルソーは、1946(昭和41)年、マイム劇「パディスト」の道化役(これはバロー自身が『天井桟敷…』で演じた役)でデビュー。この道化役で好感触を得たことを機会に、バローが映画を中心とした活動をするようになったことから独立し、翌、1947(昭和22)年、横縞シャツに花つきシルクハット姿の白塗り道化師「ビップ(Bip)」というキャラクター(冒頭画像参照)を創造した。
彼は幼い頃からハリウッドのサイレント映画黄金時代の無声映画の主人公であるチャールズ・チャップリンバスター・キートンたちを敬愛していたというが、これら無声映画の主人公たちは、音声を発しない分、顔や服装、それに身体全体使って表現するパントマイムの芸に独自のユニークなスタイル作りに腐心していた。チャップリンは山高帽に窮屈な背広それに、ブカブカのズボン。どたばた喜劇のキートンは、カンカン帽。ペチャンコに押しつぶされてもいつも無表情な彼の顔と帽子といった具合。マルソーは、「天井桟敷の人々」でバローが拵(こさ)えた全身白塗りのアルルカン「バティスト」を原形にチャップリンやキートンの帽子や演技を参考に、彼らとは似ている様でまるで違う、横縞のシャツを着込み、帽子には赤い花を飾った「ビップ(Bip)」というキャラクターを作り上げた。
「ビップ」というキャラクターを作り上げた同・1947(昭和22)年、彼自身の劇団を主宰しフランス・パリを中心にさまざまな劇場で活動するが、彼の芸を世界中の人に知ってもらうため、1955(昭和30)年にはアメリカでデビュー。ニューヨークでの大絶賛を受け以来、世界各地で公演をし、「20世紀のピエロ」と賞賛された。
彼は舞台のほか映画などにも、結構出演しているらしいが、映画のことはよく知らない。
1978(昭和53)年にはパリに自身が主宰するパリ国際無言劇学校を創設。1996(平成8)年には無言劇の振興のためのマルソー財団をアメリカ合衆国にも設立しているそうだ。
パントマイムの第一人者として半世紀以上活躍したマルソーがフランス・カオールの自宅で死去したのは2007(平成19)年9月22日の今日、84歳だった。
マルセルのパントマイム技法は世界のいろいろな人に影響を与えているが、アルバム『スリラー』(Thriller)の 記録適大ヒットで世界的な歌手となるも世界中の人から惜しまれながら今年亡くなった(2009年6月25日)、アメリカのマイケル・ジャクソンの前に歩いているように見せながら後ろに滑る「ムーンウォーク」(月面歩行)として知られる有名なダンス技法もマルソーの動きがヒントになったとも言われる。又、日本のパントマイム役者にも大きな影響を与え、マルセ太郎 (故人)も、マルソーの舞台演技に影響を受け、彼にちなんだ芸名でパントマイム芸人としての活動を始めたという。
以下では、パントマイムが2つ。ムービーは10分と長いが、それだけの面白さがある。チャップリンのような歩き方、ムーンウオーカーのヒントになったかもとを感じさせるようなダンスシーンなども見られる。彼の演技を私などがいろいろ説明するより、見られたほうが良くわかるだろう。他のも関連動画も多くあるので、懐かしい彼の華麗な芸を見てみよう。
YouTube - Marcel Marceau
http://www.youtube.com/watch?gl=JP&hl=ja&v=_lF0XMCssG0
(画像は、コレクションのチラシより、1994年来日時の「大阪厚生年金会館中ホール」での公演予告チラシ)
参考
マルセル・マルソー - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%BC
パントマイム、マイムのページ
http://www.officeww.com/mime/about/history.html
lMarcel Marceau (マルセル・マルソー) - goo 映画
http://movie.goo.ne.jp/cast/22923/
[ 早稲田大学演劇博物館現代演劇上演記録データーベース
http://www.enpaku.waseda.ac.jp/db/enpakujoho/index.htm
SADAHIKOのシネマ道楽19
http://www.din.or.jp/~grapes/doraku/file19.html
※:天井桟敷の人々
http://homepage2.nifty.com/e-tedukuri/LesEnfants%20du%20Paradis.html
天井桟敷の人々【映画情報】ムービーネット
http://www.movienet.co.jp/movie/opus01/tenjousajiki/index.html
※Yahoo!百科事典:ブラッスール
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%AB/
サイレント映画 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E5%A3%B0%E6%98%A0%E7%94%BB
E-Magazine:バックナンバー
http://sv3.inacs.jp/bn/?2007090085659263010848.7777

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