ゆるい感じで。

「スレイヤーズ」のガウリナメインの二次創作ブログサイトです。原作者様、関係者様には一切関係ございません。

吊りあがった唇(ゼロシル)

2015-07-03 00:32:32 | スレイヤーズ二次創作
ゼロシルでまた書いちゃいました……。これもぷらいべったーに上げたものを再掲。
苦手な方はバック推奨!

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 彼が来るのはいつも唐突で、そしてあまりありがたくないタイミングに図ったように現れる。それはきっと意図的なのだろう。魔族というものはそういうものだ。彼と知り合ってしまってから、私はそれを痛い程思い知った。
「おやおや、シルフィールさん。お休み中でしたか」
 体調を崩してベッドの上に伏せっている私を見て、彼はわざとらしく驚いてみせた。明るい日差しが窓から差し込む中、彼が現れた途端に部屋の明るさが一段下がった気がする。
 寝間着をはおっただけの、あまりにも無防備な自分に内心歯噛みした。いくら万全な体調で、きちんと装備を整えたところで、この男に敵うわけではないのだけれど。
 圧倒的な力の差。魔族と、人間の差。そんな事は分かっている。それでも、彼に媚びへつらう事など、選びたくはない。

「……ゼロスさん。今日は、何の用でしょう?」
 静かに起き上がり、努めて冷静にそう返した私に目の前の魔族は小さく肩を竦めてみせた。
「冷たいですねえ。少しシルフィールさんの顔を見たいなあと思っただけですよ」
 彼の軽口には、心が揺れる事など無い。そんな事は彼とて分かっているはずなのに、相変わらず、彼は甘ったるい言葉を操る。
「そしたら、まさか昼間から病に伏せっているとは思いませんでしたよ。お加減いかがです?」
 にこにこと、あまりにわざとらしい言葉をかけられて、私は小さく嘆息した。
「……貴方のせいで余計に体調が悪くなった気がします」
「おや、それは残念です」
 彼は小さく眉をひそめて、躊躇いなく私の額に手を伸ばした。
「!?」
 さらりと前髪を掻き分けられて、手袋の上からでも分かる、その冷たい手が私の額に触れる。
「確かに、少し熱があるみたいですねえ。……人間というのは、難儀な生き物ですね」
「な、にを……」
 予想外な彼の行動に、思わず声が上擦ってしまった。不覚にも、少し赤くなってしまったかもしれない。
 そんな私に、彼は顔を思いきり近づけて、至近距離で唇の端を吊り上げた。
 思わず、その唇に目を奪われる。
「貴女は、可愛らしい人ですね」
 口説き文句のようなその台詞に、何も言い返すことは出来なかった。いつもの軽口とは、また違うトーンの言葉。
 甘さなど、欠片も感じさせない冷めた声音。
「僕の事が嫌いなのに、優しくされると無下には出来ない。魔族にも言葉は通じるかもしれない、どこかでそう思っている。とても愚かで哀れです」
「……!」
「ほら。また、僕の言葉で貴女は簡単に傷つく。僕の言葉など無視してしまえば良いものを。……とても美味しいですよ、その負の感情。貴女は確かに愚かで哀れだが、だからこそ愛しい」
 そう言って、魔族はにこりと微笑んだ。
 背筋がぞくりと震える。その「愛しい」という言葉が表すものは、人と人の間にある感情と同じものなのか、それとも『獲物』に対するそれなのか。

「帰ってください」
 震える声で、言葉に出来たのはそれだけだった。
「ええ、そうしましょう」
 特に何の感情も見せずに、彼はそう言った。
 私の額から手を離した彼は、その手で私の髪を弄ぶ。体調を崩したせいで一昨日から清めていない髪は、普段よりも指通りが悪いのだろう。不満そうな顔で手を離して、彼は私から背を向けた。
「……やっぱり、元気な貴女の方が面白いですね」
「ゼロス、さん」
「弱っている貴女では、いじめ甲斐がありませんから」
 最後まで魔族らしい台詞を吐きながら、彼はその場から消えた。

「もう、来なくて良いです」
 溜め息をついて、私はまたベッドに身体を横たえた。もう、会いたくなんかない。その言葉に嘘は無い。
 そのはずなのに。
 彼が再び現れることを、心のどこかで期待してしまっている自分が居ることに、私は頭が痛くなった。


人肌を求めて(ガウリナ)

2015-07-03 00:28:15 | スレイヤーズ二次創作
めちゃくちゃ久しぶりにガウリナ更新しまっす。ぷらいべったーにあげた奴なのですが……。
これからちょくちょく何かSSあげられれば良いな…!とりあえず、子世代は書けるようになるまで延期ということで(汗

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 人の死というものは、何度経験したって慣れるものではない。

 今日もまた、下級魔族の一匹によって命がひとつ失われた。
 目の前で鋭い爪によって引き裂かれた男は、傭兵になってまだ日が浅いと話していた。
 駆け寄ったあたしの腕の中で、徐々に男の体温が失われていく。
 ガウリイの剣技によって軽々と屠られた魔族もまた、あっけなく息絶え、消えた。

 それを黙って見つめていたあたしは、既に息を引き取った男の亡骸を抱えて顔を伏せる。
「リナ……」
 振り返り、物問いたげに呼びかけて来たガウリイに、何も言わずに首を横に振ってみせる。
 それだけで伝わったらしく、ガウリイは静かに頷いた。
「……そうか」

 すべての終わりはあっけない。あたしだってガウリイだって、何度もあわやという場面に遭遇した。いつ、どちらが死んでもおかしくはない。そんな旅路を続けている。
 そんな事は百も承知である。
 それでも、何故かとても虚しくなった。命のはかなさに、震えそうになる。
「……ガウリイ」
「なんだ?」
「……分かってるつもりなのよ。人がいつか死ぬってぇのは。あたしだって、盗賊を殺したり、何匹も魔族を倒してきた。……それでも、どうしたって慣れないものよね。こうして、目の前で誰かが死んじゃうっていうのは、さ」
 以前、短い間共に旅した二人のトレジャー・ハンターを思い出した。今目の前で息絶えた男は、二人程親しくなったわけではないし、今日初めて会ったばかりの、ほとんど他人だ。
 それでも、彼が笑顔でガウリイと交わした会話も、あたしに分けてくれた水も、きっとずっと忘れることなんか出来ない。

「リナ」
 名前を呼ばれると同時に、右手に温かい何かが触れた。ガウリイの手だ。
「良いんじゃないか? 慣れちまったら、きっとおかしくなっちまう。慣れないから、命を大切に出来る」
 そう言って、彼はあたしの手をぎゅっと握った。その優しい熱で、あたしの中で冷え切っていた何かが少し溶けだしたような気がした。
「……ん、そうだね」
「な。そいつ、近くの教会まで運んでやろうぜ」
 教会なら、きちんと墓を作ってくれるだろう。祈りの言葉だって必要だ。
 人の命はあっけなく消えるけれど、それでも、生きていた証は必ず残る。彼の持っていた熱も、失われる瞬間まで、確かにあたしの腕の中にあった。その残滓が残っている。


 彼を近くの教会まで運び、きちんと埋葬してもらってから、あたしとガウリイは近くの宿まで歩き始めた。
「ね、ガウリイ」
「ん?」
「腕、組んでも良い?」
 珍しいあたしの提案に、ガウリイは少し躊躇った。
「……良いけど、お前さんも汚れちまうぞ?」
 彼は男の埋葬作業を手伝っていたし、魔族との戦闘の余波か少なからず血で汚れていた。その血は彼の血でもあり、亡くなった男の血でもある。
「良いの」
 構わず、ガウリイの腕にしがみついた。
 今のあたしには、彼の人肌が必要だった。温かくて優しくて、涙が出そうになる、ガウリイの人肌が。


25周年記念イベント決定。

2015-07-03 00:09:49 | 趣味
どもですあきらです!
めちゃくちゃお久しぶりですー!!!

皆さん知ってます??
スレイヤーズが25周年ということで、記念のイベントが7月に開催されるんですよ!
原画とかが展示される展示会と、そして神坂先生とあらいずみ先生のトークショー……!

凄いですよねー。アニメ放送からこんなに経っても、本編の連載も終了して凄く経ってるのにも関わらず、
ここまで勢いの衰えない作品も珍しいのではないでしょうか??

トークショーのチケット、手に入れるの完全に諦めてたのですが、
神の如し優しさを持つフォロワー様のご厚意で譲って頂ける事になり、
なんと参加出来る事になりました……!!!嬉しすぎる……!!

そして、twitterで交流のあったりなかったりする方々との
ぷちオフ会みたいなものに参加させて頂ける事になりました。うわー!!
5年くらいスレイヤーズのファンやってますが、実際にファンの方々とがっつり会うって初めての経験なので、
今から凄く緊張してます。ふええ、粗相の無いようにせねば…!

色々と今から楽しみです!
このブログも、トークショーの当日である7月19日にむけて、少しだけ更新活発化させようと
画策中であります^^