どもです!SS更新であります。
最近twitterでスレイヤーズワンドロ(ワンライ)が開催されました。
超めでたいですよね!主催様ありがとうございます!!!
……そんなわけで、記念すべき第一回目に参加させて頂いたときに書いた60分クオリティのSSに、ちらっと加筆をしました。お題が「スレイヤーズの好きなキャラ」だったので、ガウリイについて語るキャラたち…!
※キャラは皆アニメに寄ってます。うっすらですが、ガウリナ要素ありです。
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「――ガウリイさんですか?」
黒髪を肩のあたりで切りそろえた少女は、その大きな瞳で何度か瞬きしてから、腕組みをして首を傾げた。
「……そうですねえ。なんというか、天然ボケというか、でも妙に話の核心を突いて来たりとか。なんとも掴みどころが無い人ですよね~」
うんうん、と一人で何度も頷いてから、彼女はその同年代の少女よりは少し大きめの胸をぐっと張る。胸元の宝珠がきらりと光った。
「でも、正義の心を持っているのは間違いないと思いますよ! 何しろ、あの『光の剣の勇者』の末裔なわけですし! 仲間として、彼の心に正義の炎が燃えている事はわたしの目にははっきりと分かりますっ!!」
そして彼女は拳を握りしめ、ガッツポーズを決める。
「……はっ、そうだ! リナさんの『保護者』! これが一番大事でした! だって、あのリナさんとずーっと一緒に旅するなんて、あの人くらいしか出来ないですもん」
ふふふ、と面白そうにそう笑った彼女は、そのまま手を振って仲間の元へと駆けて行った。
「……ガウリイの旦那?」
何故そんな事を聞く、と問いたげな瞳を向けられる。その硬質な輝きは他の人間とは違う何かを感じさせる。肌の色からしても、この青年は普通の人間とは違うのだろう。……興味深いが、今はその話題は置いておこう。
「――そうだな。剣の腕は凄いな。……俺も剣の腕には自信があったが、奴の腕には正直驚いた。俺のように魔道を使う事は無いが、だからこそ剣の道を極められたのかもしれん」
そう言って、彼はフードを深く被り直した。
「だが、正直に言ってあいつはお人よしが過ぎるな。騎士道精神は傭兵稼業では命取りだ。……まあ、それが良い所でもあるんだろうが」
ふっ、と皮肉な笑みを漏らした彼は、一体何を思い出したのだろうか。俺とは違う、とでも言いたげである。
「あとはまあ、リナの旅の連れなんて……よく出来るなと、俺は思うがね」
最後にそう付け加えて、彼は目を伏せて笑った。その笑みは、先ほどの皮肉な笑みとは違って、酷く柔らかかった。
「んー、ガウリイさんですかー……」
ふむ、と口元に手を当てて、その柔和な笑みの青年はしばらく黙り込む。
「……彼、よく分からないんですよねー。言動が読めないっていうかー。なんか、僕苦手かもしれないです」
あっけらかんとした顔で、彼はそう言った。まるで自然なその調子にこちらも少々戸惑ってしまう。手袋をはめたその指先で、彼は手に持ったカップを弄ぶ。中身のミルクが、ゆらゆらと揺れて零れそうで零れない。
「僕は、分かりやすい人の方が好きですね。例えば? そうですね、ゼルガディスさんとか。――だって掴みどころが無い人って……利用しづらいじゃないですか。ねえ?」
にっこりと、彼はそう言って笑う。その笑みにどこかうすら寒さを感じて、しかし返す言葉が見つからない。こちらが黙りこむと、彼は困ったように眉を下げて微笑んだ。
「やだなあ、冗談ですよ。本気にしないでください。……さっきは苦手と言いましたが、彼のあらゆるものに対する寛容な視点は、嫌いじゃないですよ?」
――それじゃあ。そう言って、彼はこちらに背を向けさっさと歩き出してしまう。その後ろ姿をしばらく眺めていたのだが、彼は、こちらが瞬きをした瞬間にどこかへと消えていた。
「ガウリイ様について、ですか」
その名を聞いて、彼女はそっと目を伏せる。淡く色づく頬に、緩む口元。その表情を見ただけで、彼女の『彼』に対する想いが透けて見えるというものだ。
「……彼はとても素敵な人ですわ」
言葉少なにそう言って、彼女はその長い黒髪を耳にかけてたおやかに微笑んだ。艶やかな黒髪がさらりと背中を流れる。男なら、くらりと来るであろうその仕草。
「なにより、ガウリイ様は私にとって『恩人』なんです。今は亡き、私の父にとっても」
彼女の過去に何があったのか。それ以上、彼女はその件ついては言及しなかった。
「そして彼は優しい。凄く優しいんです……少し残酷なくらいに。ね」
こぼれる苦笑。そのほろ苦い笑みに隠された意味は。こちらが邪推する前に、彼女は会釈と共にその場を去った。
「ガウリイについて……? なんで?」
その少女は、旅の連れについて聞かれてきょとんとした顔をした。まあ、当然といえば当然か。彼女はしばらく考え込んでから、軽く笑う。
「まあ、脳みそに一体どんな柔らかいモンが詰まってんのよ、とはいつも思うわ」
何を思い出したのやら、彼女はくすくすと笑いだす。
「なんか話してもすーぐ忘れるわ、そのくせ変な事ばっか覚えてるし。天然な割に妙に真面目だし……あいつと居ると気ぃ抜けんのよね」
彼女は肩を竦めて、その長い栗色の髪をなびかせる。黒いマントはゆらゆらと揺れる。
「でもま、戦う時は頼りになるし。あの野生動物的なカンとか、剣の腕とか。凄い時は凄いっつーか……旅の相棒としては、悪くは無い、かな?」
なんてね、と言ってはにかんだ彼女は、珍しく年齢相応な表情を見せた。その白い頬がうっすらと赤く染まる。
「――あいつはさ、すぐにあたしの『保護者』って言うのよ。それがなんか、よく分かんない。……何考えてんのか、一番分かんないのが、あいつ」
先ほどよりも一段声を低くして呟いた彼女の言葉の真意は、こちらには分からない。だが、彼女はこちらが何か言うよりも先にハッとしたように目を見開いた。
「あ、や、やっぱり何でもないっ! 今の嘘っ!!」
叫んでから、足早に去って行ってしまう。
そんな彼女を黙って見送ると、ふと背後に気配。
「……で、なんでアンタはオレの事聞きまわってるんだ?」
振り返れば、笑顔の青年が立っていた。
最近twitterでスレイヤーズワンドロ(ワンライ)が開催されました。
超めでたいですよね!主催様ありがとうございます!!!
……そんなわけで、記念すべき第一回目に参加させて頂いたときに書いた60分クオリティのSSに、ちらっと加筆をしました。お題が「スレイヤーズの好きなキャラ」だったので、ガウリイについて語るキャラたち…!
※キャラは皆アニメに寄ってます。うっすらですが、ガウリナ要素ありです。
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「――ガウリイさんですか?」
黒髪を肩のあたりで切りそろえた少女は、その大きな瞳で何度か瞬きしてから、腕組みをして首を傾げた。
「……そうですねえ。なんというか、天然ボケというか、でも妙に話の核心を突いて来たりとか。なんとも掴みどころが無い人ですよね~」
うんうん、と一人で何度も頷いてから、彼女はその同年代の少女よりは少し大きめの胸をぐっと張る。胸元の宝珠がきらりと光った。
「でも、正義の心を持っているのは間違いないと思いますよ! 何しろ、あの『光の剣の勇者』の末裔なわけですし! 仲間として、彼の心に正義の炎が燃えている事はわたしの目にははっきりと分かりますっ!!」
そして彼女は拳を握りしめ、ガッツポーズを決める。
「……はっ、そうだ! リナさんの『保護者』! これが一番大事でした! だって、あのリナさんとずーっと一緒に旅するなんて、あの人くらいしか出来ないですもん」
ふふふ、と面白そうにそう笑った彼女は、そのまま手を振って仲間の元へと駆けて行った。
「……ガウリイの旦那?」
何故そんな事を聞く、と問いたげな瞳を向けられる。その硬質な輝きは他の人間とは違う何かを感じさせる。肌の色からしても、この青年は普通の人間とは違うのだろう。……興味深いが、今はその話題は置いておこう。
「――そうだな。剣の腕は凄いな。……俺も剣の腕には自信があったが、奴の腕には正直驚いた。俺のように魔道を使う事は無いが、だからこそ剣の道を極められたのかもしれん」
そう言って、彼はフードを深く被り直した。
「だが、正直に言ってあいつはお人よしが過ぎるな。騎士道精神は傭兵稼業では命取りだ。……まあ、それが良い所でもあるんだろうが」
ふっ、と皮肉な笑みを漏らした彼は、一体何を思い出したのだろうか。俺とは違う、とでも言いたげである。
「あとはまあ、リナの旅の連れなんて……よく出来るなと、俺は思うがね」
最後にそう付け加えて、彼は目を伏せて笑った。その笑みは、先ほどの皮肉な笑みとは違って、酷く柔らかかった。
「んー、ガウリイさんですかー……」
ふむ、と口元に手を当てて、その柔和な笑みの青年はしばらく黙り込む。
「……彼、よく分からないんですよねー。言動が読めないっていうかー。なんか、僕苦手かもしれないです」
あっけらかんとした顔で、彼はそう言った。まるで自然なその調子にこちらも少々戸惑ってしまう。手袋をはめたその指先で、彼は手に持ったカップを弄ぶ。中身のミルクが、ゆらゆらと揺れて零れそうで零れない。
「僕は、分かりやすい人の方が好きですね。例えば? そうですね、ゼルガディスさんとか。――だって掴みどころが無い人って……利用しづらいじゃないですか。ねえ?」
にっこりと、彼はそう言って笑う。その笑みにどこかうすら寒さを感じて、しかし返す言葉が見つからない。こちらが黙りこむと、彼は困ったように眉を下げて微笑んだ。
「やだなあ、冗談ですよ。本気にしないでください。……さっきは苦手と言いましたが、彼のあらゆるものに対する寛容な視点は、嫌いじゃないですよ?」
――それじゃあ。そう言って、彼はこちらに背を向けさっさと歩き出してしまう。その後ろ姿をしばらく眺めていたのだが、彼は、こちらが瞬きをした瞬間にどこかへと消えていた。
「ガウリイ様について、ですか」
その名を聞いて、彼女はそっと目を伏せる。淡く色づく頬に、緩む口元。その表情を見ただけで、彼女の『彼』に対する想いが透けて見えるというものだ。
「……彼はとても素敵な人ですわ」
言葉少なにそう言って、彼女はその長い黒髪を耳にかけてたおやかに微笑んだ。艶やかな黒髪がさらりと背中を流れる。男なら、くらりと来るであろうその仕草。
「なにより、ガウリイ様は私にとって『恩人』なんです。今は亡き、私の父にとっても」
彼女の過去に何があったのか。それ以上、彼女はその件ついては言及しなかった。
「そして彼は優しい。凄く優しいんです……少し残酷なくらいに。ね」
こぼれる苦笑。そのほろ苦い笑みに隠された意味は。こちらが邪推する前に、彼女は会釈と共にその場を去った。
「ガウリイについて……? なんで?」
その少女は、旅の連れについて聞かれてきょとんとした顔をした。まあ、当然といえば当然か。彼女はしばらく考え込んでから、軽く笑う。
「まあ、脳みそに一体どんな柔らかいモンが詰まってんのよ、とはいつも思うわ」
何を思い出したのやら、彼女はくすくすと笑いだす。
「なんか話してもすーぐ忘れるわ、そのくせ変な事ばっか覚えてるし。天然な割に妙に真面目だし……あいつと居ると気ぃ抜けんのよね」
彼女は肩を竦めて、その長い栗色の髪をなびかせる。黒いマントはゆらゆらと揺れる。
「でもま、戦う時は頼りになるし。あの野生動物的なカンとか、剣の腕とか。凄い時は凄いっつーか……旅の相棒としては、悪くは無い、かな?」
なんてね、と言ってはにかんだ彼女は、珍しく年齢相応な表情を見せた。その白い頬がうっすらと赤く染まる。
「――あいつはさ、すぐにあたしの『保護者』って言うのよ。それがなんか、よく分かんない。……何考えてんのか、一番分かんないのが、あいつ」
先ほどよりも一段声を低くして呟いた彼女の言葉の真意は、こちらには分からない。だが、彼女はこちらが何か言うよりも先にハッとしたように目を見開いた。
「あ、や、やっぱり何でもないっ! 今の嘘っ!!」
叫んでから、足早に去って行ってしまう。
そんな彼女を黙って見送ると、ふと背後に気配。
「……で、なんでアンタはオレの事聞きまわってるんだ?」
振り返れば、笑顔の青年が立っていた。