猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

「う・え・ろ」

2006年06月14日 22時50分18秒 | 日記
月曜の朝。
畑に行くと、隅っこにネギが10本落ちていた。

いや。
落ちていたのではない。
故意に、誰かが、何かを意味して置いて行った、という感じだ。

「誰が?」
「いったいなぜ?」

始めは、そうゴンザと当惑しつつも、すぐさま、天啓を受けたがごとく、
「これは、植えろということだな」
という結論を出し、なんだか可笑しくなりながら、二人で爆笑しつつそのネギを植える。

きっと、畑を貸して下さっている方が、そっと、まだ何も収穫出来ていない、始めたばかりの、素人丸出しの畑作りを可哀そうに思って、置いて行ってくれたのだろう。
その優しいご好意がとても嬉しくて、けれど、何も言わず、無造作にネギが10本転がっていることが、すごく可笑しくって。

ひたすら土をいじりながら、ゴンザと二人、離れたところでくすくすげらげら。
「嬉しいね~♪」
「有難いね~♪」

「植えろ!」
「う・え・ろ♪」
そう繰り返し言いながら、またくすくすげらげら。

実は、今回のネギ以前にも、隣の畑のお兄さんからはオクラの種をたくさん分けて頂き、二度目に顔を合わせたときにはサトイモの苗までちゃっかり頂いてしまった。
おまけに色々教えて頂いて、お兄さんのお父さんと思われるおじいちゃんとも、すっかり顔見知りになって。

畑で過ごす時間はあっという間で、朝早く、そこで吸い込む空気はすでに夏の匂い.....。
とても、懐かしい。

子供の頃。
母の郷里で祖母が摘んでいたインゲンや、
田んぼの中を通って叔母に連れて行ってもらった夏祭りの匂い。
蛍を捕まえると、畑に生えたネギの葉をちぎり、その空洞になった部分に蛍を入れて連れ帰ったっけ。
ほんのり、蛍の光を透過して、ボーっと光るネギの青は、とっても幻想的で臭かった。
あの蛍を、私はその後、ちゃんと逃がしてあげたんだろうか?

人は、土から生まれ、土に返る。
たぶん、きっと、そうなんだろう。
土をいじりながら、身にしみる他人の人情に、やっぱり生きるって素晴らしいと、ゴンザと二人、そっと呟き合う。

さてさて。
我々素人ファーマーは、皆さんのご好意にお応えして、無事に収穫ができるのであろうか。

毎日せっせと畑に通いながら、今は見るもの触るもの、懐かしかったり珍しかったりで、楽しくて嬉しくて仕方がない我々なのであった。
(腰は痛いけど)