猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

人生何がどうなるか.....

2005年09月14日 23時51分56秒 | ルーツ

実は私、高校卒業後に歯科助手として1年働き、その後は美容専門学校へ行っていた。

当時は、歯科助手に何の資格がなくてもなれる時代。

今でこそ、皆さん専門学校など出ておられるようだけど、
その頃はただのアルバイトも多かったもので、
履歴書を持って面接を受けるだけで、割と簡単に採用して貰えた。

この歯科勤め、専門学校へ進むための学費を貯めるためで、
私の人生で唯一、毎日決まった時間に出勤する仕事だったのだけれど、
大変に楽しくやりがいのある仕事でもあり、
受付業務を兼任していた私は、それこそ医院内を走り回って仕事をしていたものだ。

患者さんの「ありがとう」の言葉。
それが最高に嬉しかった、充実した日々。

そうやって1年間の歯科助手生活を経て、
私は貯蓄に励んだのだが、
実際は専門学校へ進むだけの金額には程遠く、
もうしばらくは歯科勤めを続けなければ、と考えていた。

だが、なんと有難い事に、当時付き合っていた年上の彼が
足りない分の学費を出してくれると言うので、
私はめでたく、19歳で美容学校に入学することが出来たのだ。

当時の私はヘアメイクの仕事をしたいと思っており、
そのためには美容師の資格も必要だと考え、進学したのだが.....。

努力だけでは、センスというものは磨けないと初めて知ったのもその頃だ。

「美的センスを必要とする仕事で成功する人は「魔法の手」を持っている」
それはその学校で担任の先生が教えてくれた事だが、
まさにそんな実例を私はすぐに目の当たりにすることになるのだ。

私の後ろの席には、踊りの先生を母に持つ青年が座っていたのだが、
彼の手がまさに魔法の手。

必死に努力をする不器用な子より、
入学当初からずば抜けていた彼のセンスは何をやっても光り、
先生も教える事など何もないほどの器用さで課題以上のものをこなし、
踊りの師匠を母に持っているのだから納得できなくもないが、
先生より上手に女生徒に着物を着付けては見事に帯を結びあげた。

また彼は授業終了後に別のメイク学校にも通っており、
私も何度かモデルを頼まれ、一緒に出かけていった。

もちろんそこでも、彼の実力はずば抜けていて、
先生も文句のつけようがないほどだったが.....。

今頃彼は何をしているのだろう。
噂ではフランスに渡ったと聞いたけれど。

そしてその、美容学校通い、
彼のメイクモデルを手伝った事こそが、私がモデル業界に足を突っ込む、
間接的なきっかけとなったのである。

同級生たちからの
「友人のヘアメイクさんが雑誌に出るのでモデルをしてあげて欲しい」
「知っているカメラマンが作品撮りのためのモデルを探している」

そんないくつかの頼まれ事が、私の人生を大きく変えた。

そう。
いつしか私は、そうやってカメラの前に立ったり、
見られたりすることに、とてつもない快感を覚えるようになったのである。

結局、美容学校卒業後。

ある、小さな美容室チェーンに就職した私は、
そこの社長に入って早々「君さえその気なら、店を数件任せてもいい」と、
暗に愛人になれと迫られ、すぐにそこを辞めた。

詳細はいつかまた書くが、バブル華やかなりし時代の話だ。

そして、撮られる快感を思い出し、
「私は誰かにメイクするよりされるほうが向いている。
 今まではタダでモデルを引き受けてきたけど、これからは仕事にしよう」
と考えたのである。

それもまた短絡的な考えだったと今では思うが.....。

しかし、売れないモデルとはいえ、おかげで、色々な経験をさせてもらったし、
この仕事はおばあちゃんになってもボチボチ続けたいと思っているから、
そんな事に出会えた事を、私は天に感謝しなければならない。

そうだ!

人生何がどうなるかわからない。

その時「夢が破れた」と思っても、後々にはそれが幸いしたりする。

そしてこれからも.....

人生何がどうなるかわからない。

だから、楽しいのだ。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
楽しく読んでいます (省さん)
2005-09-15 06:52:41
erimaさん  おはようございます。

いや~erimaさんの人生の回顧・人生航路を

読ませてもらって懐かしく思い出したり又

楽しみが湧いてきました。それにしても

erimaさんの毎日のブログを読んでいると

何か教えられる事ばかりですよ。私は出来るだけ過去は思い出さないようにしていますが

良かった事や淡い想いでは頭の何処かにおいて

おきたいです。
返信する
夢が持つ底力 (t-cat)
2005-09-16 19:55:25
せっぱ詰まった時、

下支えをしてくれるのは、

実力でも自信でもなく、

牽引してくれる「夢」なのだと思います。



実力は視点を変えると変化しますし、

自信なんて、もっとあやふや。

自信喪失なんてしたらもう…(自虐)



夢は、すこし先の未来の自分を

イメージさせてくれます。

夢がなくなると……お先真っ暗、

はい上がるのは結構辛いです~~。



(って、ちょっと愚痴入ってる??)



erima様の逞しさを見習えればホントによいのですが…
返信する
思い出の繰り返し (erima)
2005-09-16 21:57:05
省様



省様こんばんは♪

いつも読んで下さってありがとうございます。



なぜか最近、過去の事を思い出すことが多くなりました。その時は哀しかったこと、大変だったことも、今では良い思い出だと、ようやく思えるようになってきた、ということでしょうか。

よく考えれば、現在の私を形作っているのもこれまでの思い出ですし、これからの私を形作って行くのは、これから作る思い出なのだと思えば、一瞬一瞬を大切に生きなければなぁ、などと改めて思います。

とはいうものの。人生には何かと辛い思い出のほうが多かったりしますから、その合間にある、良い思い出、淡い想いはなおさら大切ですね。

明日の良い思い出のために今日頑張る、というのも素敵かな~、なんて思いました。
返信する
人生挫折の繰り返し(私の場合) (erima)
2005-09-16 22:19:38
t-cat様



「夢」....



本当は私、はっきりした夢を抱いてなどいなかった

のかも、なんて、今となっては思います。

本当にどんな事をしてでも叶えたい夢なら、

這ってでも、そうしただろうと思うからです。



思えば、ヘアメイクを志したときも、

モデルになってからも、わりとあっさり現実を

認め、諦めてきたんですよね、私。

私が目にした人たちには

「這ってでも」「何を捨てても」みたいな人が

いましたから、「とてもかなわないなぁ」なんて

思ってしまって。



モデルの世界なんて凄いですよ。

プロデューサーに顔を覚えて貰いたいがために、

わざとスタジオで「財布を失くした」と

騒いでみたり(実は鞄の中にあった)(笑)

年齢、経歴はおろか、すごいウソをたくさん

ついたり.....

でも実際夢を本当に叶えたいなら、必要な悪も

あるんですよね。



私なんてヘタレだから、初めて時代劇の仕事に

行った時、某大女優が今まで大口開けて

笑っていたにも関わらず、

直後の哀しいシーンでいきなりポロポロ涙を流すのを

見て、すぐに「私は女優には絶対なれない」

なんて思っちゃいました(笑)

それでも自分のスタンスでやっていければいいかと、

「夢」まではいきませんが、大切なものとして

そこに関わっていければいいかな、と、

そう思って続けてきた感じです。



でもきっと、これからの人生においてまた、

「夢」みたいなものも出てくると思うんです。

それが淡い、ささやかなものでも.....

私が逞しいのは、いつも「タダじゃ転ばねぇ」

と、貧乏人根性を持っているからかも。

あと、根性なしですから、這い上がろうとせずに

すぐに方向転換しちゃうとか(笑)

お調子ものですからね、基本が。



褒められたもんじゃないですがね。
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