今年は初めてタブノキを染めてみました。
わがマンションの庭木の一つで、今まで「染めたらきれいなんだ」と聞いていたのです。
『タブの木』だと思っていたら『タブノキ』だと染色図鑑に書いてありました。
図鑑によるとこの木は銅媒染が合うとのこと。
それで、すべて銅媒染にしようと、まずは染め液で染めました。
とっても綺麗なピンクに染まり、それは息をのむほど(大げさではなく)でした。
糸は左からシルク平巻糸1/6 2綛、真ん中はタッサーシルク1500d/片 1綛、右はシルク真綿糸巻スラブ1/6 1綛
タッサーというのは柞蚕糸のことで、山繭に似ています。
非常にツヤツヤとしていてやわらかい糸で、繊細な織りができます。
ですが、すべてがこんなに美しいピンクに染まったものを銅媒染するのは
本当に嫌だったんですが、このままでは無媒染なので、後媒染をしなければなりません。
ということで 染色図鑑を参考にして 酢酸銅で媒染をします。
この酢酸銅という化学物質は劇薬で、免許証だけでは売ってくれません。
免許証のほかに印鑑を求められます。
そんなものを使って媒染するので、キッチンの排水口に捨てるわけにはいきません。
なら、どうするか・・・それは・・・ちょっと・・ね?
媒染後は、最初の染め液に戻して、例の「化学のままで終わらない」です。
そして、乾かすと
こんな風になっちゃいました。ちょっとガッカリです・・・
が、それなりにいい色ではあるんです。特に左3本のキラキラ感は素晴らしい。
まだまだタブノキはいっぱいあるので、次の日に媒染を変えて染めました。
ミョウバン媒染されて濡れそぼっている糸クンたちです。
「ボクたち染められるのを待ってるんだよ」と言ってる気がします。
左から真綿糸巻スラブ1/6 1綛、 平巻糸1/6 2綛
タブノキの染め液はこんな色です。これに入れて染めます。
沸騰後 弱火で30分煮て翌日まで、そのままおきます。
翌日 染めた糸を洗って干しています
朝日に輝いてきれいですが、これで乾かすと、薄黄色にしかなりません。
ですので、2度染めしました。
そして干しているところです。
どうですか、ずいぶん違うでしょう?
乾くとこうなりました。
ただ、赤茶色のようですが、垂らして揺らしてみると、その陰にピンクが仄見えします。
実にいい色になりました。上品です。
自画自賛しているようですが、今回でタブノキは止めにしようと思いました。
1回で染めきらない、私には好ましくないです。