グループZAZA

「君が代」不起立処分大阪府・市人事委員会不服申立ならびに裁判提訴当該15名によるブログです。

根津公子の都教委傍聴記:エリート育成・「愛国心」刷り込みの教育にさらに乗り出す

2014-02-17 20:06:08 | レイバーネット

そもそも教育委員会会議は広く市民に公開が保障されているはずです。にもかかわらず傍聴者を排除するなど東京都教育委員会は、もう一度、教育委員会制度の原点に立ち戻らなくてはなりません。

しかし、今回の傍聴記、根津さんが最後に、「短時間のあいだに、都教委や国の教育が≪エリート育成及び非エリートの日本人としてのアイデンティティ確立・治安維持としての「愛国心」の刷り込み≫であることを見せつけられた定例会であった。」と記されているように、何の疑問も持たず格差拡大社会を肯定するかのような教育政策に唖然とさせられる思いです。

レイバーネットHPより転載します。

根津公子の都教委傍聴記(2014年2月13日)

エリート育成・「愛国心」刷り込みの教育にさらに乗り出す

 

 非公開議題の人事案件(校長の任命と懲戒処分)を除くと、議題は2件、①「教育庁処務規則の一部を改正する規則の制定について」と②「教職員研修センター処務規則の一部を改正する規則の制定について」のみだった。議事自体は30分もかからず終了したが、そこから見えたことは表題の通り、弱肉強食・新自由主義の教育施策であった。教育委員の誰一人異論を挟まないことに、身の毛のよだつ思いだった。

 ―――*―――*―――  ―――*―――*―――  

 定例会の冒頭、木村委員長は次の文章を読み上げた。
「7月より退場命令を出さざるを得ない事態が生じている。前回1月23日の定例会で、傍聴者の一人は過去2回妨害をして3度目に誓約書を出して傍聴となったにもかかわらず、前回3度目の議事妨害をし、(委員長は)退場命令を出した。極めて遺憾である。今後も議事妨害があれば、必要に応じて法的措置をとることもあると心得てほしい」(要旨)と。

 定例会の最後に事務局は傍聴者に次回定例会の日時を告げている。1月23日の定例会についても、1月9日の定例会で「次回は1月23日、10時から」と告げたにもかかわらず、23日都庁に行くと、「定例会は9時30分から」に変更していた。それについて傍聴者の一人、Fさんが理由を質したところ、木村委員長は謝罪をすべきなのにそれはせず、「議事妨害」とし「退場」命令を出し、さらに先週末、Fさんの自宅に「次回の定例会は傍聴させない」と内容証明郵便を送りつけてきたのだった。

 この決定を、合議を建前とする定例会で行ったのか?!この対応をまずいと意見した教育委員は一人もいなかったのだろうか。

 私はこの件について「比留間教育長、木村教育委員長、各教育委員、教育施策課長」宛に「質問と謝罪要求」書を出し、きょう、2月14日までに回答を要求している(14日としたのは、定例会で全教育委員が一堂に会するから)が、14日現在、回答は届いていない。

 議題の①は、社会教育委員の権能を生涯学習審議会の権能に追加するために、地域教育支援部生涯学習課の分掌事務である「社会教育委員に関する規定」を削除し、東京未来塾の閉塾(昨年3月28日教育庁配布)に伴い、指導部指導計画課の分掌事務である「東京未来塾に関する規定」も削除するというもの。

 議題の②は未来塾閉塾に伴い、教職員研修センター処務規則の研修部教育開発課の事務分掌「東京未来塾に関すること」を削除するというもの。

 議題は、後述する「グローバル人材育成入試」が推薦入試なのかを確認するための質問が、木村委員長から出されたのみで、承認された。

 東京未来塾についてことばとしては知ってはいたものの、実態は知らなかった。今回、議題となり、資料を読んだことで全体像が分かった。

 「参考資料2」をご覧いただきたい。「首都大学東京と高等学校等との連携を通して、日本の将来を担い、改革型リーダーとしての資質を持つ人材育成」のために2004年度から始めた東京未来塾は、「形成16年から24年までに首都大学に312名が進学した」等の成果が上がったが、他方、「大学卒業後を見据え、高校生のうちから海外留学等の体験学習を通して、世界的な視野やより高い教養を身につけさせることが必要」との課題が残った。そこで、東京未来塾を閉塾し、海外留学経験者など、グロ-バル人材の育成に向けて、未来塾の趣旨を生かしながら「次世代リーダー育成道場」へ発展的に統合する。それに伴い、首都大学東京は来年度から「未来塾特別推薦入試」に替えて、「グローバル人材育成入試」を開始する。「国際社会で活躍したいという意欲のある者に受験資格を付与する予定」という。

 インターネットで「次世代リーダー育成道場」を調べてみたら、「都立高生の留学支援が主な役割で、2012年7月設立。2013年9月に第1回研修が行われた」「都立高等学校生徒、都立中学校生徒及び都立中等教育学校生徒 200 人 ただし、A(冬出発)コース 留学(平成 26 年 1 月から約 1 年間)を希望する生徒 100 人 B(夏出発)コース 留学(平成 26 年 8 月から約 1 年間)を希望する生徒 100 人を募集(済)」とある。受講料は60万円(総費用は300万円、20パーセントが自己負担。食費を含む。)

 都立高(中等学校を含む)の一部エリートにはふんだんに公金をかけるということだ。11月の定例会で2014年度の教育予算が提案された際、高校生の留学費用が突出しているのが気になったが、使途はこれだったのだ。一定の教育予算の多くをエリートに使い、「非エリート」の定時制高校や「底辺校」は統廃合し、教育予算を低く抑える。これぞ、新自由主義の教育であり、教育再生実行本部の「成長戦略に資するグロ―バル人材育成部会提言」(2013.4.8)の先を行く。

 ところで、「参考資料2」の図柄とロゴにお気づきであろうか。「2020年オリンピック・パラリンピックを日本で!」とある。内容と関係なくても数多く見せることで人心をコントロールする狙いがあるのだろう。

 さて、議事が終了したところで竹花委員が、「議事にはないが」と断って、次の質問をした。

「オリンピック組織委員会が立ちあがった。教育委員会としても施策を考えたいが、都教委の中にそれに対応する組織があるか」と。それに対し、事務方は、「都と都教委がやるべきことを分ける。子どもたちの意識涵養、ボランティアについては教育委員会がやる」「山口委員が以前提案した、海外から来るオリンピアン、パラリンピアンの学校派遣を、オリンピック推進校300校に対し準備している。年々増やしていく計画だ。」「総務部にオリンピック担当課を来年度設置する」と答えた。インターネットで調べると、今年1月1日付でオリンピック準備のための人事異動がすごい数、行なわれていた。

 「日の丸」の小旗を振り、沿道のゴミ拾いにいそしむオリンピック・ボランティアに参加する中で、子どもたちが「愛国心」を持つのは必然だ。2020年だけでなく、前回の東京オリンピック誘致騒ぎの時から東京のすべての学校の玄関にはオリンピック誘致の旗が立てられてきた。オリンピックを讃える旗は、学校の風景の一部となっている。この先、2020年を迎えるまで、それがエスカレートするのであろう。「愛国心」の刷り込みが不断に行われ、さらに強まることに、どうしたら歯止めをかけることができるであろうか。

 大人は、とりわけ子どもと接する教員は、異なる考え方のあることを子どもたちにしっかり話していきたいものだ。

 短時間のあいだに、都教委や国の教育が≪エリート育成及び非エリートの日本人としてのアイデンティティ確立・治安維持としての「愛国心」の刷り込み≫であることを見せつけられた定例会であった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ウルトラ減給処分取消訴訟第3... | トップ | 「君が代」不起立処分提訴~Z... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

レイバーネット」カテゴリの最新記事