不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Vista l'arno

2004-10-22 17:51:08 | 日記・エッセイ・コラム
フィレンツェの町の真ん中を悠々と流れるアルノ川。
1966年11月4日には氾濫を起こして
街中水浸しにしたアルノ川。
普段は水位も低くて穏やかな流れです。

ポンテ・ヴェッキオ(Ponte Vecchio)を渡って
左手に行ってすぐのところにあるお店。
昔はなんだか冴えないツーリスト向けのこてこてな食堂だった。
そのイメージが抜けていなかったので
足を運んだこともなかったのだけれど、
きれいに改装されておしゃれなお店になっていました。

Bar,Bistrot, Ristrante。
「Open Bar Golden View」。
典型的なトスカーナ料理ではなく
創作料理といったほうがいいかな。
味は薄味で日本人観光客向けかもしれません。
お店からの眺め。
immagine22.jpg
眺めは最高です。
向こう岸に見えるのはウフィツィ美術館。

immagine24.jpg
こちらは我が家の近くからのアルノ川の眺め。
ヴェスプッチ橋(Ponte Vespucci)の脇に
ちょっとした張り出しがあって
ベンチも置かれているので
お散歩途中のおじいちゃんやおばあちゃんが
よく腰掛けていたりします。
そこから眺めると真下に堰が。
その昔、仲の悪かったピサの海軍が
アルノ川を伝って上ってきて
フィレンツェに攻撃を仕掛けるのを防ぐために
こうした堰がアルノ川のあちこちに作られたのだそう。
今はフィレンツェ市民の格好の
日光浴場&釣り場となってます。


Corridoio vasariano

2004-10-22 13:49:35 | 日記・エッセイ・コラム
ヴァザーリの回廊。
めったに入れないところの一つ。

Palazzo VecchioからPalazzo Pittiまでを結んで
地上に一度も降りる事なく
仕事場と自宅を行き来するために
メディチ家が作った回廊。

1565年に Giorgio Vasari
(ジョルジョ・ヴァザーリ)が設計・建築。
当時たったの五ヶ月で作り上げたという代物。

immagine19.jpg
光が入りすぎて飛んでしまった写真ですが、
ヴァザーリの回廊・ポンテヴェッキオの上部から
アルノ川下流を見下ろす窓。
この窓は反対側(上流を眺める)の窓よりも
一段と大きくなっています。
ムッソリーニ全権の時代に
ヒトラーとのフィレンツェ会見があったときに
その威厳を見せるために(?)
ヴァザーリの回廊内の窓を
いくつか大きく改装させているのです。
因みにヴァザーリの回廊の窓は
現在はセキュリティの面から全て2重窓。
それも鍵がまちまちでなかなか開けられないらしいです。

ポンテ・ヴェッキオの南側部分で
ヴァザーリの回廊はちょっとだけ迂回します。
今もその形が残っていますが、
建設当時ここにはMannelli(マンネッリ家)の塔が聳えていて
どうしてもメディチ家の人がその塔を突き破って
回廊を作るのが気に食わなかったので
最後まで拒否し続け
痺れを切らせたメディチ家は
その塔を取り巻くように回廊を作ることで妥協します。
橋の方に張り出した形になっている部分がそれにあたります。

immagine20.jpg
内部からその塔の辺りを見ると
そこが確かに塔の外部であった印が残っています。
フィレンツェの古い建物の外壁によく見られる
鉄の留め金がちゃんとついています。

なかなか入れないヴァザーリの回廊ですが、
嬉しい裏情報(どこが…?)。
現在ウフィツィ美術館で行われている
「20世紀の肖像画展」。
この特別展覧会の延長として
ヴァザーリの回廊も特別公開。
金・土・日曜日の午後2回づつの公開ですが
(確か13:00と16:30)
当日のウフィツィ美術館のチケット
(特別展料金も含まれている)を持って
出口付近にあるブックショップの前に設置された
予約受け付け所で
チケットにスタンプを押してもらって予約をすれば
ヴァザーリの回廊に入場できるそうです。
1回30人限定なので
予約には早めに行くといいでしょう。
因みにヴァザーリの回廊特別公開は
上出の展覧会開催期間のみ。(2005年1月9日まで)

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Chiesa di S.Felicita'

2004-10-22 13:43:25 | 日記・エッセイ・コラム
私は基本的にやっぱりルネッサンス美術が好き。
だからポントルモあたりになると
どうも苦手意識も出てきます。
マニエリズム。
あの不自然な色使いやら
プロポーションの崩れが気になって仕方ないのです。

ポンテヴェッキオを渡ってピッティ宮殿に向かう途中
左手にある小さな教会が
Chiesa di S.Felicita'(サンタ・フェリチタ教会)。
教会入ってすぐ右手のカッポーニ家礼拝堂に
有名なポントルモ(Pontormo)の
「キリスト降架(Deposizione)」があります。
immagine17.jpg
この作品の右端にうつろな瞳の男性が描かれていますが、
これが作者ポントルモの自画像。

immagine18.jpg
同じく礼拝堂内にある
「受胎告知(Annunciazione)」もポントルモ作。
こちらのほうが私は好き。

この教会は
メディチ家がヴァザーリに依頼して作り上げた
ヴァザーリの回廊(Corridoio vasariano)」の
一部に組み込まれているのでも有名。
メディチ家の人々が一般の目に触れることなく、
この教会の上段に設けられた席で
祈りをささげることができるように設計されています。
immagine21.jpg
ヴァザーリの回廊側から見るとこんな感じ。
昔はもちろん回廊側から出入りができるように
小さな扉がつけられていたのですが、
現在は警備上の問題ですっかり塗りこめられてしまい
回廊側からのアクセスは不可能になっています。
かといって教会側からも一般人は
見上げるだけしかできませんけどね。

ちょうどポントルモの作品の前あたりに小さな机を出して
おばあさんがお土産物やガイドブックを売っています。
2年前に亡くなった旦那さんが
当時教会の管理人だったのだそうで
そのままおばあさんはその仕事を引き継いでいるのだそう。
「もう50年以上もこの作品を毎日見続けているわよ」
というおばあさん、ちょっと鼻高々って感じでかわいらしい。
末永くお元気で。