不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

500 anni di Possesso di Palazzo Antinori

2007-05-08 07:28:36 | アート・文化

フィレンツェの同名の広場に面して建つ
ルネッサンス様式の宮殿。
同時代の宮殿の中でも
最も美しい宮殿のひとつとして挙げられる傑作。

Antinori_facciata_02

1400年代半ばからフィレンツェの街で
急速に力をつけていったのは新興の商人階級。
メディチ家、ピッティ家、ストロッツィ家などに代表される
フィレンツェのこうした新勢力は次々に
一族の富と権力を象徴する、威厳のある
エレガントな宮殿を競って建設しました。

アンティノーリ宮殿と呼ばれている建物は
1461年から1469年にかけて
Giuliano da Maiano(ジュリアーノ・ダ・マイアーノ)が
Giovanni di Bono Boni(ジョヴァンニ・ディ・ボノ・ボーニ)の
依頼で建築したもので
その後、1475年には
Lorenzo il Magnifico(ロレンツォ・ディ・メディチ)が購入、
Martelli(マルテッリ家)を経て
1506年にAntinori(アンティノーリ家)の所有に。
アンティノーリ家の所有になってから
Baccio d'Agnolo(バッチョ・ダーニョロ)の手により
いくつかの改築が行われて、裏庭を含めほぼ現在の形に。
アンティノーリ家所有になってから500年が経ち、
今なお同家の人々が暮らす宮殿。

Antinori_facciata_01
典型的な「フィレンツェ様式」で
非常に荘厳な雰囲気を漂わせるこの宮殿。
一階部分はほとんど窓がなく天井も高く作られています。
正面はバルコニーなどの突起もなく平坦で
装飾も控えめとなっているため
よりいっそう建築的な技術による美しさが強調されています。

宮殿の中央に回廊をもつ造りはメディチ・リッカルディ宮殿を
モデルにしているともいわれ、
自然採光の回廊の中庭にはアンティノーリ家が所有する
トスカーナ一帯に広がるブドウ畑などの
農地の模型が置かれています。
現在一階部分の手前広場に面した部分は
アンティノーリ家のワインをメインに楽しめる
「Cantinetta Antinori(カンティネッタ・アンティノーリ)」。

現在のアンティノーリ家の主要なビジネスである「ワイン生産」。
一族のブドウ栽培&ワイン生産の歴史は
非常に古いといわれていますが、
元々この一族がかかわっていたのは「毛織物・絹織物」産業で
ワイン生産に携わり始めたのは1385年から。

17世紀頃からフィレンツェの有力商人・貴族たちは
一族が手がけるワインを
宮殿の一角を利用して、一般庶民にも販売を行っていました。
宮殿の一部にワインを貯蔵する蔵をもち、
そこに近い部分に小さな穴を開けて
限られた時間だけわずかな使用人を働かせて
自家製ワインの販売を行うようになります。
Antinori_buchetta
現在もアンティノーリ宮殿の正面右手の小道
(Vicolo del Trebbio:トレッビオ通り)に
その当時の面影をわずかに残す
ワイン販売用の小窓が残っています。

フィレンツェにはこうしたワイン販売用の
小さな窓を持つ宮殿は珍しくなく、
小さなアーチ型をして木扉がつけられた窓が
その宮殿の歴史を物語っています。

この宮殿所有500年を記念して
アンティノーリ宮殿では
7月13日まで小さな展覧会が開かれています。
また通常は一般公開されていない
小さな手入れの行き届いた裏庭が
5月13日のToscana Esclusivaの一環で
一日だけ一般公開となります。
Antinori_posteriore

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