不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Omaggio per Genio Fiorentino da Mario Ceroli

2007-05-29 08:09:12 | アート・文化

Mario Ceroli(マリオ・チェロリ)は
1938年生まれのイタリア現代彫刻家。
ローマの美術大学で学び、
初期は陶器による彫刻の制作を手がけていましたが
70年代にアメリカのポップ・アートに影響を受け
それ以降はさまざまな素材を使った作品を発表しています。
特徴的なのは、ローマの近代美術館にある
「最後の晩餐(Ultima Cena)1965」や
「レオナルドの男(Uomo di Leonardo)1964」
「チャイナ(La Cina)1966」などの
木材を使った色彩のない輪郭だけの人物像や人物群像で、
その後はより立体的で色彩豊かな作品へと変化していきます。

1970年代以降はポルト・ロトンド(Porto Rotondo)の教会、
ローマのサンタ・マドレ・デル・レデントーレ・
ディ・トル・ベッラ・モナカ教会
(Santa Maria Madre del Redentore di Tor Bella Monaca)
などで教会の調度品なども手がけるようになり
また舞台美術家としても活躍。

1960年代から始まるイタリア芸術家の
新ジェネレーションの核をなす人物として
ヨーロッパをはじめ全世界で知られており、
1966年のヴェネツィア・ビエンナーレ
(Biennale di Venezia)で評価され
国際芸術の改革を行ったといわれる作家。
木材をはじめ、ガラス、鉄板、布切れなどの
素材への強い興味と試作は
非常に個性的で高く評価されています。
作品の中には過去の偉大な芸術家、
特にレオナルド・ダ・ヴィンチの作品の
新解釈とリクリエーションもあり
そうした作品の中で、
彼自身は受け継がれてきた素材と技術を再認識するとともに
よりシンプルで無駄のない造形を試みています。

フィレンツェのストロッツィ宮殿(Palazzo Strozzi)の前に
突如現れた巨大なブロンズ像はこの作家の作品。
後ろ足で立つ馬の背に小さな天使が乗っているもの。
因みにマリオ・チェロリのブロンズ馬像で
有名なものは1987年に製作された
「黄金の翼馬(Cavallo alato dorato)」。
現在、イタリアの国営テレビ局の本拠地前に置かれているので
テレビのニュースなどでお目にかかることも多くなっています。

「フィレンツェの天才(Genio Fiorentino)」のイベントの一環として
フィレンツェを中心に活躍した著名人への
オマージュとして作製された
もう一点の作品「Silenzio: Ascolate! 」は
大理石とレンガを使ったもので
著名人を二面的に表現してずらりと並べた人物群像。
中にはロレンツォ・イル・マニーフィコ、ボッティチェッリ、チェッリーニ、
ガリレオ、ダンテなどと並んでロベルト・ベニーニも。
こちらはフォルテッツァ・ダ・バッソ
(Fortezza da Basso)の前に置かれています。
この作品は半永久的にこの場所に展示となります。