不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Battaglia nella notte fonda

2009-01-20 13:50:00 | Billy,Layla e Ciccino

ビリーとチッチーノの力関係は明らかに
ビリーに軍配が上がります。

体はちっちゃいけど、年は上だしね。

普段は仲良くしていますが、
チッチーノがしつこくするとビリーはキレます。
実際チッチーノもいい加減にすればいいのに
と思うほどしつこいことが多いので、
それはそれでビリーの気持ちもよくわかります。

特にビリーはじじぃになってから
できればずっと眠っていたいモード。
人間の子供だって安眠妨害されたら怒るのですから
ビリーだって安眠妨害されたら怒ります。
で、たぶんビリーが大好きだからなんだろうけど
チッチーノはタイミングとかも考えずに
自分が近づきたいときにスリスリしていきます。
で安眠妨害してビリーを怒らせることがしばしば。

昨夜私の左腕に顎乗せて体は羽毛布団に包まれて
すやすやと寝ていたビリー。
そこへチッチーノがやってきて
ビリーの顔の前でごろごろ言い出した(のだと思う)。
最初は唸り声をあげて威嚇して追い払おうとしたビリーですが
そんなことではびくともしないチッチーノ。
しばらく攻防が続いていましたが
堪忍袋の緒が切れたビリーが起き上がり
恐怖の噛み付き攻撃に切り替え。

体が重いせいか逃げ足があまり速くないチッチーノは
このビリーの噛み噛み攻撃の犠牲によくなっています。
とはいってもビリーも決して本気では噛んではいないので
流血沙汰になることはないですが
チッチーノの白い毛は毟れます(笑)。

昨夜はビリーの噛み噛み攻撃が
いきなり私の左腕の上で開始されたので
私は思わず止めようと思って左腕を上げたら
運悪く、怒り狂ったビリーが剥き出した牙の犠牲に…。

牙がぶつかっただけなので流血沙汰にはなりませんでしたが
ビリーの噛み傷って切り傷ではなく打撲のほうが痛いのです。
これまでも何度となくしつこくして
私自身がビリーに噛まれたことがありますが
切り傷の痛みではなく打撲の痛みのほうがひどいのです。

夜中4時過ぎの出来事だったので
自分が流血していないことを確かめると
そのまま反省させる意味でビリーを無視して
チッチーノだけを抱いてベッドに戻りやがて眠りにつきました。

朝目が覚めたら
ビリーとチッチーノは寄り添って
私の足元ですやすや寝てました。

なんだ仲良しじゃん。

私の左前腕部に妙な青痣だけが残る
真夜中の出来事でした。


Liberazione di Andromeda di Piero di Cosimo

2009-01-20 00:05:00 | アート・文化

1461年フィレンツェに生まれ1521年に生涯を閉じた
Piero di Cosimo(ピエロ・ディ・コジモ)は
Via della Scalaの桶職人の息子。

見習いとして1480年に
Cosimo Rosselli(コジモ・ロッセッリ)の工房に入り
非常に可愛がられ、師匠の名前をもらっています。

1481年には師匠とともにローマへ出向き、
システィーナ礼拝堂の装飾にも携わり
ローマ滞在中に多くの著名人の肖像画を製作しています。

精力的に活動した彼の、
最後にして最高の作品といわれているのが
「アンドロメダの救済」。

メデゥーサ(Medusa)を倒した帰り道、
若く美しい女性が囚われているのを見つけた
ペルセウス(Perseo)は
メルクリウス(Mercurio)から借りた刀で海獣を倒し、
アンドロメダ(Andromeda)を救出し
めでたく彼女を伴侶として迎えるというお話。

Andromeda

画面上に3つの時間が描かれています。
軽やかに空を舞ってくるペルセオ(画面右上)、
アンドロメダの前で海獣を倒すペルセオ(画面中央)、
そしてアンドロメダとともに祝福されるペルセオ(画面右手前)。

当時から非常にエキセントリックで
気まぐれだといわれていたピエロ・ディ・コジモ。
この作品にも彼らしい世界が描かれています。
ありえない形の山頂に立てられた木造の家、
両脇に描かれる男性の頭に巻かれたターバン、
存在しない楽器を奏でる人々、
何よりも瀕死のドラゴンは
非常にオリジナリティー溢れるものとなっています。

画面の左側はアンドロメダの安否を気遣い泣き崩れる人々、
一方右側はアンドロメダの無事を祝い
オリーブの葉をもって歓喜する人々が描かれています。
その間に何気なく描かれているのが
若芽を出している古い切り株と草むらに隠されたダイヤモンド。
そして草むらの上に珊瑚。

何の意味もないようなオブジェクトたち。

ペルセオはメデゥーサ退治の後なので、
本来ならばメデゥーサの頭を持っていることになりますが
画面にはあえて描かれていません。
しかし、この手前の草むらに珊瑚を描きこむことによって
メデゥーサとの関連付けもされています。
朱珊瑚はメデゥーサの首から流れ出る血が水との接触によって
固まってできたと言い伝えられています。

作品はフィレンツェの有力者Filippo Strozzi il Vecchio
(フィリッポ・ストロッツィ・イル・ヴェッキオ)の
依頼によるものであるとされていますが、
一時フィレンツェを追放されていたメディチ家の復帰を
記した作品であるとも言われています。
その暗示として描かれているのが
いくつもあるメディチ家のシンボルのうちの2つ。
若芽を出している古切り株とダイヤモンド。

水滴の一滴までも細かに描かれている作品の中に
何気なく隠されている時代背景も非常に興味深いものです。