不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Il Ritratto di Musico

2010-12-14 18:34:45 | アート・文化

イタリア統一150年であちこちでイベントが企画されていますが、
ローマのカピトリーニ美術館でも
2011年10月に関連イベント展覧会が予定されています。
「統一イタリア前のイタリア人たち(仮)」というタイトルで
ミケランジェロとレオナルドの作品を
それぞれ50点ほど集めるというもの。

この展覧会の前哨戦として
先日まではCASA BUONAROTTI(ブオナロッティの家)から
ミケランジェロの「Due Lottatori(2人の闘士)」が貸し出され
その後を次いで12月11日から
レオナルドの「Il Musico(音楽家の肖像)」が展示されています。
アルクス・アウレリウス帝の像を
絶賛していたレオナルドの作品が
その脇に展示されるというのは実に夢の競演ではあります。

1485年の製作といわれるこの「音楽家の肖像」は
数少ないレオナルドの肖像画作品の中でも
唯一男性を題材にした貴重な作品です。
ミラノにあるPinacoteca Ambrosiana
(アンブロジアーナ絵画館)に
1671年から所蔵される門外不出の作品で、
実際遠征貸し出しは今回が初めて。

誰の肖像画なのかという点については諸説色々あります。
19世紀にはLudovico il Moro
(ルドヴィコ・イル・モーロ)だといわれていましたが
その後の修復で上塗り部分が剥がされて
楽譜が描かれていることがわかると
音楽家であろうという説に流れていきます。
レオナルドと同時代のミラノで活躍した
音楽家の名前が挙がっていますが、
中でも親交の深かったとされる
Atalante Migliorotti(アタランテ・ミリオロッティ)
という説は今も根強く残っています。

この作品でも眼や視線が特徴的で
非常に細かいところまで描きこまれています。
遠くを見つめるような、というか視点の定まらないというか
そんな視線なのですが
レオナルドが、精神の動きを絵画で表現するために
外観を与えようと初めて試みた作品であるとも言われています。
つまり歌い終わったところで物思いにふける音楽家の
頭や心の中にある思いを
視線や表情に投影し表現しようとしているということです。

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この機会にローマでアウレリウスのどでかい像の脇で
小さな作品を見てみるのも面白いかもしれません。

Il Musico
会場:Musei Capitolini(カピトリーニ美術館)
    Esedra di Marco Aurelio
会期:2010年12月11日から2011年2月27日まで
開館時間:9:00-20:00、
       12月24日&31日は9:00-14:00
休館日:毎週月曜日、12月25日、1月1日
*12月27日、1月3日は特別開館予定。
入場料:11,00ユーロ