不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Bronzi Per Michelangelo

2010-12-28 13:05:03 | アート・文化

2011年春、ミケランジェロがアメリカに。
ラスヴェガス、ニューヨーク、ミッソーリなどをまわった後
メキシコを経てアジアへも。
ミケランジェロの89年に及ぶ長い生涯を
彫刻作品でみるという企画で
大理石彫刻をブロンズ彫刻で複製し、
世界巡回となります。

Buonarottiscala
1490年15歳になるかならないかのころに
製作したといわれる
「Madonna Della Scala(階段の聖母)」のレリーフから
1564年に89歳で亡くなる前夜まで
彫り続けていたと伝説の残る
「Pieta' di Rondanini(ロンダニーニのピエタ)」まで、
「Bacco(バッカス)」、「Mose'(モーゼ像)」、
「Tondo Taddei(トンド・タッデイ)」
「Tondo Pitti(トンド・ピッティ)」などの
11点の作品のうち2点を除いて
すべて原寸大のブロンズで複製されています。

ミケランジェロは絵画も手がけていますが、
生涯自分では「大理石彫刻家」であることを主張しています。
ブロンズ像も手がけることはほとんどありませんでした。
ちなみに、そんなミケランジェロがユリウス2世の命で
1500年代初めに作ったユリウス2世のブロンズ像は
1508年2月にボローニャのBasilica di San Petronio
(サン・ペトローニオ教会)の前に設置されましたが、
3年後に教皇庁に反対するボローニャ市民によって
粉々にされてしまい跡形も残っていません。
そのブロンズ像の記憶は
現在サン・ペトローニオ教会の後陣の裏にある
建物の正面に掲げられた記念碑に刻まれているだけです。

今回ブロンズ複製を手がけたのは
フィレンツェの有名な鋳造工場
Fonderia Marinelli(マリネッリ鋳造)です。
第一次世界大戦後にフィレンツェ郊外で始まった工場で
現在3代目。
なかなか残っていないといわれる
各著名彫刻のオリジナル鋳型などもいくつか所有する老舗です。
たとえば、
シニョリア広場のLoggia Di Lanzi(ランツィの開廊)にある
Cellini(チェッリーニ)のペルセウスの台座のブロンズ、
ヴェッキオ橋の袂にある
Giambologna(ジャンボローニャ)のバッカス像、
ヴァチカン美術館の螺旋階段の手すり、
サン・ピエトロ寺院の聖なる扉などは
Marinelliで修復鋳造したものです。
もっとも有名なのは
フィレンツェのMercato Nuovo(メルカート・ヌーヴォ)にあるイノシシ。
Pietro Tacca(ピエトロ・タッカ)の作った
大理石彫刻のブロンズ複製ですが
これも長年の愛撫により鼻が擦り切れていたものを
Marinelliが所有しているオリジナル鋳型を使って
修復鋳造したのです。

今回アメリカの会社の要請で鋳造複製された11点の作品は
世界巡回の前にフィレンツェのCasa Buonarrotiで公開中です。

Bronzi Per Michelangelo
会場:Casa Buonarroti (ブオナッロティの家)
    Via Ghibellina 70 フィレンツェ
会期:2011年1月10日まで
開館時間:10:00-17:00
休館日:火曜日
入場料:6,50ユーロ
インフォメーション: www.casabuonarroti.it