不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Tra la mente e il cuore 01.12.2012

2012-12-01 23:42:00 | Tra la mente e il cuore
世の中のすべての偶然は必然である。
私はそう信じている。
たとえどんな偶然に見えても
すべては仕組まれた必然なんだと。

もう一年以上も前に
日本で行われた「ブクブク交換」に
提供されていた一冊の本。
「チョコレート・アンダーグラウンド」
チョコレート・アンダーグラウンドチョコレート・アンダーグラウンド
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:2004-05

気になったので、すぐに注文して手元にあったのに
ずっと本棚の片隅に隠れていた。
それを突然3日前から読み始めた。

それはただの偶然かもしれない。
たまたまそこにあったから手に取ったのかもしれない。
でも一年以上、そこにあったのに
手に取らなかった本に引き寄せられる理由は
やはり「偶然」なんかで説明はできないよ。

なにをもって「必然」だと思ったかというと、
読み始めてまだ50ページも進んでないけれど、
こんな一節に出会ったから。
一節といながら、以下、かなり長い抜粋ですが。

「わかんないよ、母さん」帰宅したハントリーは言った。
「どうして、大半の人に支持されていないのに、
選挙に勝って国を動かすことができるの?」
母さんはちょっと考え、
間をおいてからこう告げた。
「アパシーね、ハントリー」
(ところで、母さんにまでハントリーという
ニックネームで呼ばれてはいるが、
出生証明書に記載された本来の名前は
リチャードだった)
ハントリーは、アパシーの意味がよくわからなかった。
「無気力とか怠慢という意味よ」と
母さんは教えてくれた。
「つまり、多くの人が、
投票所に行って投票する手間をかけなかったの。
だれもが『ほかのみんなも、
あの党に反対にちがいないから、
自分がわざわざ行くことないさ』って思ったのね。
ただ、ほかのみんなも同じことを考えてた。
わかる?」
「うん、まあ」
ハントリーは言ったが、ほんとにわかったかどうか自信はなかった。
「で、それって、なんて言うんだっけ、母さん?」
「民主主義よ。
気に入っても気に入らなくてもね、
今は健全健康党が権力を握っているの。
あと五年は与党として政治を動かすし、
野党がどんなに反対してもむだ。
だから、あの人たちがチョコレートは体に悪いと決めたら、
そうなるの。
砂糖は禁止と決めたら、砂糖はダメ。
座り込みしても抗議の行進をしても、変えられない。」


これを読んできて、感じた必然とは。
一年以上も眠っていた本を、偶然手に取った必然。
今、読まされているという気がしてならないのよね。

都知事選及び衆院選の前の日本。
子供向けに書かれている本ではあるけれど、
書かれている内容は
現在の世界のあちこちで起きていること
もしくは起きようとしていることを示唆するもので
非常に興味深い。
簡単な語り口の物語から、色んなことを汲み取れる。
ただし汲み取ろうという意思をもって読めばの話だけれどね。

誰か任せにしないで、ちゃんと自分の意見を表明しないと
取り返しのつかないことになりそうな今の日本。
どこも似たり寄ったり、政権握ればどこも同じと
私も考えていたこともあったけれど、
最近は、
そうではないんじゃないかと思うようになった。

たとえ消去法で選んで行くしかなかったとしても、
それでも自分の出した結論であることに違いはない。
「少なくともほかよりはマシだろう」
と思える党や候補者に票を投じる方が
なにもしないでいるよりも、ずっと積極的。
なにもしないことが一番危険なんだろうなって。
そうまさに
「アパシーの危険性」ということなんだろうなって。

この本、投票権を持つ多くの人に読んでもらいたいなぁ。


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2012-12-01 18:04:05 | Tweet Log