不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

I mai visti 2013

2012-12-12 22:48:06 | アート・文化
私の中ではフィレンツェの街中にイルミネーションがともり、
そして、ウフィツィの恒例の「I MAI VISTI」が始まると
いよいよ今年も終わりだなという思いが募ってきます。
そして、毎回、あぁもう一年経つのかと感慨深く思ったり。

フィレンツェ美術監督局と
ウフィツィ友の会(gli Amici degli Uffizi)が
フィレンツェ市民と観光客のために毎年用意する
クリスマス時期の展覧会「I MAI VISTI」は今年で12回目。
例年通り、ウフィツィの西翼地上階の
Reali Posteで行われます。
毎回テーマに沿って、
普段は展示されていない
ウフィツィ&その他の美術館所蔵の作品を展示しています。
今回のテーマは「L’Alchimia e le Arti(錬金術と芸術)」。
ウフィツィ内にあった鋳造工房の歴史とその業績に焦点を当て
芸術と科学、魔術と技術の関わりについて
まとめた展示となります。
絵画、彫刻、版画、手稿本、
古くから伝わる民間療法や薬事の本など
60点の作品で16世紀から17世紀のメディチ家長たちの
錬金術への情熱を垣間見ることができます。

メディチ家のコジモ一世によって
ヴェッキオ宮殿内に初めて鋳造工房が設置され、
その後サン・マルコに移され
そこには芸術家、職人、蒸留工、錬金術師などが集い、
秘薬の製造や磁器の製造方法、水晶の溶解実験、
硝子や石灰岩、斑岩の溶解成形実験などに
明け暮れていたといわれます。
1586年には、そのうちの薬剤蒸留部門が
フランチェスコ一世の要望でウフィツィ内に移されます。
現在ティツィアーノやヴェロネーゼの作品が
展示されている部屋がその工房だったそうです。
フランチェスコ一世は若い頃から、
宮廷を訪れる著名人たちからいろいろな話を聞き
化学や薬物製造にかなりの興味を持っており、
ヴェッキオ宮殿内に
自分の研究室(Lo Studiolo)も構えるほどでした。
500人広間に隣接したこの小さな部屋は
壁面に様々な化学へのオマージュが描かれており、
彼のひたむきな情熱を窺い知ることができます。

フランチェスコ一世と関わりの深い
錬金術についての手稿本や
鋳造工房の編み出した製法で作られたという
フランチェスコ一世の磁器の肖像なども展示される予定です。
メディチ家統治時代の科学技術の紹介ということで
フィレンツェ自然科学博物館からは動物の剥製も展示され
ミイラの石棺なども展示されるようです。

I MAI VISTI 2013 L’Alchimia e le Arti
会場:Reali Poste (ウフィツィ美術館西翼)
会期:2012年12月15日-2013年2月3日
休館日:毎週月曜日、12月25日、1月1日
入場料:無料