ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2013.6.26 出産・子育てと闘病に通じるもの

2013-06-26 21:25:40 | 日記
 読売新聞医療サイトyomiDr.に連載されている宋美玄先生の「ママライフ実況中継」は、今や高3になった息子の赤ちゃん時代を思い出しながら、懐かしい気持ち一杯で愛読している。
 本日の最新号は「ゆる出産・ゆる子育てをしよう」というテーマ。
 読みながら、これは出産・子育てだけに限ったことではない、病との共存も同じではないか、と膝を打った。
 以下、転載させて頂く。

※  ※  ※(転載開始)(前略)

 先日、読売新聞の本社にお邪魔し、「女医が教える ゆる出産、ゆる子育て~ウソ? ホント!~」というテーマでセミナーを開催させていただきました。妊娠中の方や子育て中の方に参加していただきたかったので、子供が遊べるスペースなどをつくっていただきました。そのおかげでたくさんの方が小さいお子さんを連れてきてくださり、にぎやかな会になりました。

経験者やネットの情報、見極めは難しい
 妊娠・出産・子育てを経験する女性は多いのですが、数回経験するとすべてが分かった気になって後輩ママにあれこれアドバイスしたり論評したりしたがったりする人がいるのがなかなか厄介です。あれこれ口出しするのは必ずしも経験者とは限りませんが、経験者が言うことの方が重く受け止められやすいのは事実だと思います。しかし、その内容は「○○の食べ物は体を冷やすから食べてはいけない」とか「○○を怠ると自然出産できない」のように根拠がないデマに近いものや根性論など結果的に害のあるものも混じっています。
 また、疑問に思ったことがある時にインターネットで調べものをする人が多いですが、インターネットでの情報量は非常に多く、その中から正しい情報を見極めるのはなかなか難しいものです。私もちょうど昨日、娘が夜に泣き叫ぶ中、1歳児の癇癪について検索してみたところ、甘いものばかり食べていると癇癪をおこすから玄米食にしたほうがいいなどということが書いてあるサイトがあり、私は「また食事が与える影響を誇大に吹聴するサイトか」と思いましたが、信じたりわらにもすがる気持ちで試してみたりする人もいるんだろうなと思いました。診療で接する妊婦さんの中にはこういった情報を山ほど集めて振れ幅の大きい食生活をしている方が時々おられ、長い時間をかけてお話しすることがあります。

スルー力が重要
 セミナーではそのようなことを具体例を交えてお話しし、「情報や印象操作にまどわされない」「勉強や仕事と違って、努力すればコントロールできると思わない」「スルー力が重要」ということが妊娠中から最も大事であるということをお話ししました。
 嬉しかったのはみなさんが結構笑ったり反応してくださったりしたことで、とてもお話ししやすかったです。私自身の子育てについての際どい質問もあり、盛り上がりました。こういうイベントはいいですね。

(後略)(転載終了)※ ※ ※

 標題がなく、見出しの2つだけだったら、これは出産・子育ての話題とは思えない。「経験者やネットの情報、見極めは難しい」も「スルー力が重要」も、それぞれそのまま闘病の姿勢に通じるではないか。

 患者会等での話はあくまでもその人の経験談。患者が100人いればがんの性質や病状、辿る経過も百人百様だから、それを自分にあてはめて一喜一憂することはない。逆の立場で見れば、相手から訊かれれば答えても、自分からあれこれ口出すことは差し控えるべきだなと思う。自分が言ったことを思いのほか相手が重く捉えて大きな決定をしてしまうとしたら・・・こちらとしては、責任をとることが出来ないからだ。気持ちの切り替えの仕方等、気持ちの持ちようなどは参考になるかもしれないけれど、副作用の出方も全て自分とイコールではありえない。
 そしてネットの情報もしかり。ちょっとネットサーフィンしてみると、それはもう玉石混交の情報が山盛りで、時には無意味どころか、却って害をなす情報に翻弄されることもある。
 日々の時間が限られていて、良かった、と正直に思う。これでもしずっと家にいて、好きな時間に好きなだけネットサーフィンが出来る状況だったら、ちょっと考えただけでも恐ろしいと思う。その見極めは本当に難しい。

 だからこそ、“スルー力”である。とりわけ「勉強や仕事と違って、努力すればコントロールできると思わない」には本当に納得した。そう、妊娠も出産も子育ても、自分の思う通りにコントロールなど出来るものではなかった。
 そして、病との共存もしかり。今のところ、再発治療も5年半を過ぎ、主治医には上手にコントロールして頂いていることを感謝している。こうして細々とだが働き続け、日々普通の生活が送れているのだから、万々歳である。
 だからこそ、適当に(いい加減に、ではなく良い加減に、適切に)外野からの雑音をスルーしながら、頑張りすぎずに自分をあまり追込み過ぎずに病と共存していくことこそ、しぶとく長生きの極意なのではないか、と思う。

 今日は朝のうちは小雨だったが、昼前から予報通りのザーザー降りになった。いよいよ梅雨も後半を迎え、これまでの少雨を取り返すかのような降り方だ。
 今週末のイベントも傘マークの予報。+αで雨対策をしなければならないのが、ちょっと憂鬱である。そんなわけで今週もあと3日。ようやく折り返し点である。
コメント (2)
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