夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『君の名前で僕を呼んで』

2018年05月08日 | 映画(か行)
『君の名前で僕を呼んで』(原題:Call Me By Your Name)
監督:ルカ・グァダニーノ
出演:アーミー・ハマー,ティモシー・シャラメ,マイケル・スタールバーグ,
   アミラ・カサール,エステール・ガレル,ヴィクトワール・デュボワ他

TOHOシネマズ西宮にて、『となりの怪物くん』を観た後に。
この2本、趣が真逆の作品で、なかなか興味深いハシゴでした。

イタリア/フランス/ブラジル/アメリカ作品。
監督は『胸騒ぎのシチリア』(2015)のルカ・グァダニーノ。
脚本を巨匠ジェームズ・アイヴォリー監督が担当したという豪華さ。
第90回アカデミー賞の脚色賞を受賞しています。

原作のアンドレ・アシマンの同名小説は未読。
1冊丸ごとの映画化ではなくて、途中までが描かれているとのこと。
いいところで終わったと思っていたけれど、
続きがあるならこの先のふたりを知りたいような。
映画の続編も検討されているらしいので、それを待ってもいいか。

1983年。
ハイソでインテリの家庭に生まれ育つ17歳の美少年エリオは、
毎夏を両親とともに北イタリアの避暑地で過ごしている。
父親は考古学の教授、母親は翻訳家。エリオも知性に富む男子。
音楽の編曲が趣味で、ピアノの腕前も相当なもの。

父親は博士課程の学生を毎年ひとり、別荘に招待するのが常。
今年父親がインターンとして招いたのは、24歳の大学院生オリヴァー。
二枚目で自由奔放なオリヴァーは両親を含めて誰からも受けが良い。
そんなオリヴァーに最初は苛立っていたエリオだが、
彼に対する想いを次第に抑えられなくなり……。

客層が面白くて。
私はいつものごとくひとりで観たのですが、
若いカップルとか老夫婦らしきふたりが非常に多い。
内容を知っていて来られたのですかと聞きたくなる。
エリオとオリヴァーの絡みがかなり生々しいので、
こういう内容だと知らずに観に来たとしたら悲惨かも。

1983年って、同性愛にこんなにも寛容だっただろうかと思ったら、
原作の設定は1987年なのだそうです。
エイズが社会問題化する前の物語として描きたかったゆえ、
少し早めて1983年としたとのこと。

おそらく自分の性的嗜好について考えたことなどなかったエリオ。
自分に気がありそうな女子を見れば普通に「ヤリたい」と思い、そのとおりに。
何でも手に入れてきたはずなのに、オリヴァーにはなかなか素直になれません。
何もかも見抜いている両親のまなざしが優しい。
エリオに父親がかける言葉は出来すぎだけど、泣きました。

男と女か、男同士か、そんなこと関係ないように思います。
初恋は初恋、喜びや切なさはどんな恋にもある。
心の痛みを葬るな。

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