電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形Q第36回定期演奏会で、モーツァルト、ハイドン、バルトークを聴く

2010年07月27日 06時18分10秒 | -室内楽
土曜出勤の代休で、運良く休日となった月曜の夜、週末農業の続きを済ませ、山形市の文翔館議場ホールで、山形弦楽四重奏団第36回定期演奏会を聴きました。本日の曲目は、

1. モーツァルトの弦楽四重奏曲第11番変ホ長調K.171
2. ハイドンの弦楽四重奏曲ハ長調Op.74-1
3. バルトークの弦楽四重奏曲第1番Op.7,Sz40

というものです。アンサンブル とも's がハイドンの弟ミヒャエル・ハイドンの「ヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ第1番」を演奏している間に会場に到着、ちょいと遠慮して入り口付近の席に腰を下ろし、演奏を聴きました。代わってプレ・コンサート・トークにヴィオラの倉田さんが登場、「モーツァルトは何の天才か?」と問いかけます。倉田さんの答えは、模倣し自分のものにする天才だ、とのこと。確かに、大バッハの息子のJ.C.バッハや先輩ハイドンなどの作品を模倣し、自分のものにしていった作曲家なのかもしれません。モーツァルトとハイドンに限らず、当時の作曲家たちは、互いに影響しあいながら対抗意識をもやし、さらに優れた作品を書こうと努めていたのでしょう。でも、ベートーヴェンの、特に後期のカルテットを知ってしまうと、ロマン派の作曲家たちは、その呪縛から逃れることはできなくなります。メンデルスゾーンは6曲、シューマンとブラームスは3曲だけ。20世紀になって、バルトークが6曲の弦楽四重奏曲を書き上げます。今日の第1番は、曲想としてはロマン派と現代曲の中間にある曲、とのこと。

山形弦楽四重奏団は、今年、結成10周年を迎えたとのこと。第1ヴァイオリンの中島光之さんは、ダークブルーのシャツを腕まくりで、第2ヴァイオリンの駒込綾さんは、ガバッと肩の開いた黒のドレスで。ヴィオラの倉田譲さんは、長袖のシャツにサスペンダー、チェロの茂木明人さんは、黒の長袖に楽器には白っぽいハンカチ、というスタイルです。


第1曲目は、モーツァルトです。少年モーツァルトの姿を彷彿とさせるような、チャーミングですが、けっこう演奏効果のある曲です。第1楽章、アダージョ~アレグロ・アッサイ。第2楽章、メヌエット。第3楽章、アンダンテ。弱音器を付けて、それまでの明るく親密な雰囲気とは一転して、ちょいと悲しげな気分が漂います。第4楽章は、弱音器を外して晴れやかにヴィヴァーチェで、フィナーレです。約20分。

第2曲目は、ハイドン、Op.74-1です。あー、やっぱり大人の音楽だな~、と感じます。快活で、聴きごたえのある作品。第1楽章、アレグロ。第2楽章、アンダンティーノ・グラツィオーソ。フレーズごとに対比するように強弱を付けて奏されるヴィオラやチェロがいい味を出します。チェロからヴィオラ、第2ヴァイオリン、第1ヴァイオリンへとエコーのように繰り返されるほのぼのとした味も、いいですね~。第3楽章、アレグロで。メヌエットのリズムに体も揺れて動き出しそう。思わず調子を取りたくなります(^o^;)>poripori
第4楽章:フィナーレ、ヴィヴァーチェ。チェロの持続する低音の響きに乗って、ヴァイオリンとヴィオラが活発に動き回ります。やがてチェロもめまぐるしく動き始め、複雑な動きが交錯して、それでもしっかりとハーモニーになっていて。見せ場が多い、聴かせどころいっぱいの作品、といった感じです。約25分くらいかな。

およそ15分間の休憩のあとは、バルトークの第1番です。
第1楽章:第1Vnに第2Vnが加わり、不思議な響きで始まります。いいなぁ!バルトークの音だ!そしてVcが入り、Vlaが続き、高弦2人と低弦2人が対照的な動きを見せます。迫力のチェロにヴィオラがこれも迫力で迫るとき、二つのヴァイオリンはひそやかに。最初のところが再現されて、四人の動きは速度を増していきます。いつの間にかアタッカで第2楽章:アレグレットに入っていました。第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ。古典派やロマン派のヴィヴァーチェとはちょいと違いまして、目玉をしっかり見開き、口をヘの字に結びながら、でもしっかりヴィヴァーチェです。モーツァルトやハイドンでは地味だったチェロが雄弁です。バルトークのリズムは実に活力に富み、青白い天才の痙攣しそうな繊細さではありません。演奏時間は、およそ30分といったところ。

ふだんCDで(小音量で)聴いているときにはそれほど感じなかったのですが、この曲では、モーツァルトやハイドンに比べて、チェロの役割がとても大きいのだな、とあらためて思いました。響きの土台だというだけでなく、エネルギー感や迫力の土台としての役割。茂木さんのチェロは、倉田さんのヴィオラと共同しながら、バルトークらしさをアピールしていたと思います。

アンコールは、ドビュッシーの弦楽四重奏曲から、第3楽章。弱音器の効果がはっきりわかります。弱音器を外してから発散してくる光の照度が何倍かに強まったように聞こえます。再び弱音器を付けて、くぐもった声のように静かに終わりました。

次回は、10月11日(月)、体育の日です。文翔館議場ホールにて18時30分開演、曲目は、生誕200年の R.シューマンの弦楽四重奏曲第3番、田中知子さんをゲストに迎えてモーツァルトの弦楽五重奏曲第5番、全曲演奏に挑むハイドンの弦楽四重奏曲は、作品20ー6、いわゆる「太陽四重奏曲」から。さっそく前売券を購入して来ました。気が早いですが、気分はもう秋を待っています(^o^)/
夏はこれからが本番なんですけどね~(^o^)/
いやいや、その前に8月4日の山形交響楽団第207回定期演奏会があります。黒岩さんを迎えて、ベートーヴェンのカンタータ「静かな海と楽しい航海」、ブラームスの「運命の歌」、ベートーヴェンの「英雄」交響曲の三曲です。
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