電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

斎藤孝『文系のための理系読書術』を読む

2014年03月19日 06時03分41秒 | -ノンフィクション
魅力的な題名にひかれて、斎藤孝著『文系のための理系読書術』を読みました。2013年11月に集英社インターナショナルから刊行された単行本です。著者は『声に出して読みたい日本語』というベストセラーを出した方だということまでは承知しておりますが、実際の本を読むのは初めてです。本書は、次のような構成となっています。

第1章 生物と進化のフロンティア
第2章 体の不思議
第3章 科学者のひらめき
第4章 数学は人生の役に立つ
第5章 化学と物理を学びなおす
第6章 理系読書をどう活かすか

それぞれのテーマについて、著者が読んで良かったと思える本を紹介しています。たとえば第二章の「体の不思議」では、次のような本が紹介されています。

■『患者はだれでも物語る~医学の謎と診断の妙味』リサ・サンダース著、松村理司監修、塚本明子訳、ゆみる出版。核心にせまる質問をするスキルについて、など。
■『まんが 医学の歴史』 茨木保著、医学書院
■心の免疫力を高める「ゆらぎ」の心理学』雄山真弓著、祥伝社新書
■『瞑想する脳科学』永沢哲著、講談社選書メチエ
■『脳には妙なクセがある』池谷裕二著、扶桑社

当方は、どれも全く読んだことがありませんので、どれほど有益なものか、判断できませんが、「核心にせまる質問をするスキル」などは興味深いものがあります。ただし、他の人が有益だと判断したものが、実際に自分にとって有益かどうかは、読んでみないとわからないものです。図書館などで実際に手に取ってみて、いくつかを眺めてみたいと思います。

ところで、第5章「化学と物理を学び直す」のところで、明らかな誤りを見つけました。

「酸素を例にとってみましょう。酸素分子が1モルであるとすると、その重さは酸素分子の分子量が16×2gなので32gとなります。そして同温・同気圧の状態では、1モルの気体の体積はすべて22.4リットル。」

ここで、「分子量が16×2なので」ならば正しいですが、「分子量が16×2gなので」は間違い。分子量には単位がありません。また、「同温・同気圧の状態では、1モルの気体の体積はみな同じ」ならば正しいですが、これを「22.4リットル」と言ってしまうと、間違い。「0℃、1気圧の状態では」と限定すれば、22.4リットルになりますが、20℃なら膨張して24リットルになってしまいます(^o^)/

結論:斎藤孝センセイは、高校化学の初歩がかなり怪しいようです。さらに言えば、本書の編集担当者も同じく化学が苦手な人なのかも(^o^;)>poripori
まあ、化学が得意だという人は、そう多くはないでしょうし、「仰げば尊し」で「今こそ別れめ」を「今こそ別れ目」だと思っていた(*1)私が、他人のことをとやかく言えた義理ではないのですが(^o^;)>poripori

(*1):「仰げば尊し」の原曲が見つかった~「電網郊外散歩道」2011年2月
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