電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

相澤りょう『アグリ』を読む

2014年09月14日 06時04分07秒 | 読書
少し前に、地元紙「山形新聞」の書評欄で、たしか高校の司書の先生が取り上げて紹介していた文庫本、相澤りょう著『アグリ』を読みました。

TOブックスという文庫は初めてでしたが、地元の書店では平積みになって売られており、ゲームやアミューズメント系に特色を持つ出版社なのでしょうか。帯には「うんめぇ芋煮が食べたくなる!」青春農業エンタテインメント、目指せ「日本一の芋煮会フェスティバル」、「農家の未来は僕らにまかせろ!!」などのコピーが踊ります。手に取って裏表紙の紹介文を見ると、

山形県に暮らす、岡崎駿は高校二年生。幼い頃から郷土料理の芋煮鍋が大好きだった。美味しい里芋を育てたいと農業科に進学したものの、授業と実習に追われてばかり。そんなある日、課外研究で個性的な仲間達と出会い、笑い、時には涙しながら、最高の里芋作りに挑戦する。さらに、毎年20万人が来場する「日本一のいも煮フェスティバル」への参加を目指すが……。農業高校生たちの食と笑顔あふれる青春グラフィティ!


とあります。さっそく購入して読み始めたら、これがけっこうおもしろい。舞台が上山明新館高校という実在の学校で、しかも作者は自分の母校を使ったものらしい。農業実習や課外研究、茎頂培養でウィルスフリーの里芋苗を作る話、山形市長谷堂地区の頑固じいさんのキャラクターなど、実に生き生きとしています。高校生たちの感受性豊かなやりとりも、少々気恥ずかしい甘酸っぱさがあります。



どうでもいい豆知識を少々。

  • 里芋は英語では taro というのだそうです。マレー原産のいわゆるタロイモが縄文時代に日本に伝わり、山の芋に対して里の芋と呼ばれるようになったのだそうな。当方、関東在住の頃は、千葉県産の「セレベス」という品種に接することが多かったのですが、山形の「土垂れ」や真室川産の「甚五右衛門芋」などの、あのトロリとしたやわらかさを懐かしく思ったものでした。

  • 近年は、ドイツ連邦共和国デュッセルドルフ市内のライン川岸辺で「欧州一の芋煮会」が開催(*1)され、山形風芋煮が作られるのだとか。今年から開催日が敬老の日の前日の日曜日に変更になった「日本一の芋煮会」は、本日が開催日となりました。おそらく山形市内の馬見崎川周辺はたいへんな人出で賑わうことでしょう。あ~、芋煮が食べたい!と思ってしまう今日この頃です。



(*1):ライン川岸辺で「欧州一の芋煮会」を開催~Facebook
(*2):東北県人会がドイツで「欧州一の芋煮会」~山形新聞の記事(2014年9月11日付)

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