関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

殺人を犯した少年を厳罰に処す前に・・

2016年09月07日 | 医療・介護・福祉など社会保障
少年犯罪の厳罰化について深く問いかける事件がありました。そのことについて、依存症、発達障害、ひきこもりなどの解決を図る事業をやっておられる田中さんという方がブログに書かれています。
 この方のことは存じ上げませんが、そこに書かれている内容は、子どもに関わるすべての大人に深く問いかけるものでした。  
 既に判決が確定したとのこと、胸がえぐられる思いがしました。
 短い文章ではありませんが、できるだけ多くの方に読んで頂きたいと心から思いました。リンクを張れば言い訳ですが、原文に勝手に青を加えて掲載させて頂きます。(田中さんのブログはこちらhttp://officerico.co.jp/blog/?p=4277です)
 
懲役15年の判決は妥当だったのか?公開日:2016/08/30
皆さん、昨日の読売新聞の特集をご覧になりましたでしょうか。
稲垣信さんという記者さんの渾身の記事、2014年 川口市で起きた、17歳少年による祖父母殺害事件です。
この事件、それほどマスコミが取り上げたわけでもないので、事件そのものをあまり記憶されていないかもしれません。
しかし、弁護団により、判決が最高裁まで争われた事件なのです。
事件のあらましは、
父母は就学前に別居して離婚。
少年を引き取った母親はホストクラブに通いづめとなる。
少年は毎晩のように家に来るホストに付き合わされ、小学4年生からは学校に通わなくなった。
母親はホストクラブに通って、1カ月も家に戻らない時があった。
母親は再婚して元ホストの義父と母親と3人で静岡で暮らすこととなり、2〜3カ月間は静岡の小学校に通う。
しかし、住民票を残したまま埼玉に引っ越し小学5年生からは学校に通わない日々となる。

日雇い仕事をしていた義父は、収入がある日は3人でラブホテルに宿泊。
仕事がない日は、ラブホテルの敷地内にテントを張ったり、公園で野宿をしていた。
14歳(中学二年生)のころには、横浜スタジアム周辺の公園などで生活していた。
義父に日常的に虐待を受けており、前歯が4本折れるほど殴られたこともある。

母親と義父の指示で、少年は親戚に金銭を無心させられていた。
裁判での父方の祖母の姉の証言では「約4年間で、借金して400万〜500万円を調達した」としている。
塗装会社に就職した義父は会社の寮で暮らしその後失踪。16歳の少年は代わりに働き、母親は給料の前借りを強要。
金が尽きた所で今回の事件となる。

母親は少年に、「祖父母を殺してでも金を借りて来い!」と指示。
少年は、祖父母に借金の申し出をするも断られると、母親の指示通り祖父母を殺害。
夫婦を殺害したことを聞くと、少年に再度アパートに戻らせて現金8万円やキャッシュカードを奪わせた。

これらのことから、公判では裁判長が検察側証人の被害者遺族である少年の母の姉に「決してあなたを非難しているわけではないが、周囲にこれだけ大人がそろっていて誰か少年を助けられなかったのか」と問うている。

というのがこれまでに報道されていた事件のあらましでした。

そして、昨日の読売新聞によると、夫婦と少年そして、義父と母の間に生まれた妹の4人は、野宿をしている際に、何度も職務質問をされており、
なおかつ一度は、横浜市で生活保護を受給し、市内の簡易宿泊所に移ったのですが、母親が窮屈な生活を嫌がり、無断で転居。そこで生活保護が打ち切られたとのことです。
さらに、日雇いとはいえ、義父が収入を得ていたにも関わらず、何故野宿生活を強いるほど困窮していたかと言えば、母親がパチンコなどで浪費を重ねていたとのことなのです。
そして、読売の記事によれば、静岡から埼玉に移る際に、学校側は転校先を把握できないまま、1年後に静岡の学校を除籍処分。住民票も抹消されました。埼玉県では元少年の存在が確認される術がなく、また妹は出生届すら提出されませんでした。
横浜市では、住民登録はしたものの再び消息不明となってしまいます。

そして私が最大のターニングポイントだと思うのは、横浜市が保護した際に、児相での一時保護を提案したにもかかわらず、母親が「子供と一緒に暮らしたい」と希望したため、保護が実行されなかったということなのです。
この児童を保護しなかったら、一体誰を保護する必要があるのでしょうか?
住民登録もせず、学校にも行かせず、野宿暮らしを子供たちに強いる親の元に、何故、このまま養育させようと、横浜市の職員は思ったのでしょうか?
さらに、裁判で弁護団は心理的・精神的に母親の指示に逆らうことは難しかったとして、教育をしなおすために医療少年院送致を求めたにも関わらず、判決は懲役15年。に対し、母親の判決は懲役7年です。

果たして、この少年を刑務所が更生させるなどということが、可能でしょうか?
刑務所にカウンセリングや、トラウマ治療、また学習支援など、必要なケアが整っているのか?
この判決を出した裁判官、そして少年たちの更生に関わっている、全ての関係者に問いたいです。

少年は、事件を起こした時には、まだたったの17歳でした。11歳の時から、学校にも行けず、日々転々と野宿して歩き、両親に殴られ、そして母親に、「祖父母を殺してでも金を持って来い」と指示されたのです。
15歳と16歳の母親である私は、17歳がいかにまだ子供か、よく分かります。この判決は妥当だったのでしょうか?

少年は、読売新聞の記者さんに、同じような境遇の子供たちに対し、手紙でこう綴っています。「本当の思いを大事にし、流れに逆らえ」
流れに逆らえるような社会を、私たち大人は作っていると言えるのでしょうか?「助けて」という子供達の叫びが届く社会でしょうか?
今年7月の時点での、厚生労働省の全国調査で、所在不明児童は全国で25名います。出生届が出されていない児童はもちろんここに含まれていません。」