関とおるの鶴岡・山形県政通信

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山形県2018年度予算案、県議会2月定例会について

2018年04月05日 | 県政全般
 2018年度山形県当初予算案等が全会一致で可決・成立しました。山形県議会は「全員賛成の場合は討論を行うことができない」という不適切なルールとなっているのですが、同じ賛成であっても日本共産党県議団と自民党では考えは全く違います。
 そこで、日本共産党県議団としての2018年度山形県一般会計予算(当初予算)等について見解を、遅まきながら、私の思いも含めて記載します。
1)安倍晋三政権は、戦後最大の軍備拡大を進めながら改憲を狙い、社会保障は過去最大の自然増抑制の大方針によって、介護サービス利用者負担3割拡大、70歳以上の患者負担限度額の引き上げ、後期高齢者医療保険料の低所得者特例軽減の縮小、国民健康保険の都道府県化、生活保護の生活扶助引き下げ等に連動した施策を進めています。それらは、平和と県民の暮らしを大きく脅かすものです。
 農業分野では2018年度からコメの直接支払い交付金が廃止されることによって、37.7億円(2016年県分支払い実績)のお金が本県に入ってこなくなりますが、農家経営に与える影響は甚大であり、全国有数の農業県である本県経済にも重大な影響を及ぼすものです。
2)そのような国政の動向のもとで当初予算には、懸念される事業があります。
 教育分野では、過度な競争と教員の多忙化を助長する小中学校の全斉学力テストに加えて、県独自テストも引き続き実施されます。教育の民間活力の導入で高校施設整備にPFI手法の導入が検討されます。
 田川地区高校再編で、鶴岡南通信制と鶴岡工業定時制を廃止して余目にある庄内総合高校に集約・設置することは、鶴岡市を中心にした生徒に通学の困難をもたらし、温海・朝日地区などは入学を断念する人を生むことになると考えられます。なお、中学受験競争をもたらす鶴南・鶴北統合による中高一貫校設置が期限を定めない延期となったことは、関係者の反対意見が反映されたものとして歓迎します。完全に断念することを求めていきます。
 「起業家精神の基盤となるようなマインドを推進する」という子どもベンチャーマインド育成事業は、営利事業への意欲喚起だとすれば、人格の完成をめざす教育の本来の趣旨から逸脱するものとなります。
 豊かな人間性を育む上での基礎を担う施設の一つである、県立図書館の図書費の縮減も問題です。
 商工分野では、有機エレクトロニクス関連企業の県内進出に、国の地域総合整備資金を活用して企業に50億円の貸し付けを予定しています。企業誘致は多くの場合一定の意義を認めますが、有機エレクトロニクスバレー構想で県が当初試算した「地方税収7億~10億円、1400人の雇用」の実現の見通しが無い中で、多額の貸付・支援をおこなうことには疑問が拭えません。
 介護では、自立支援型地域ケア会議でサービス利用の縮小・打ち切りが促進される恐れがあります。昨年9月時点で要介護認定者の減少割合で山形県が大分県に次いで全国2位となっていることなどは、その重大な現れと見なければなりません。(昨年度から大分県の介護関係者を招聘した研修会等を展開してきました。)
 医療分野では、地域医療構想に基づいて県立中央病院50床、河北病院24床の病床削減が行なわれます。その理由として挙げられた「病床利用率の低下」は、国の政策に沿って平均在院日数短縮を進めたことによるものであり、そもそも、生活苦や患者負担増によって「病人が患者になれない」事態が進んでいることに目を向け、対策を講じなければなりません。
 奥羽・羽越新幹線整備事業では、並行在来線の存廃、既存交通インフラへの影響、建設費用と県負担、費用対効果、環境への影響など様々な課題について、県民に情報を提供しながら検討する必要があります。ただ「新幹線実現=山形創生」などという幻想を振りまくようなことがあってはなりません。
他に、税金等の未収金回収業務を民間委託することは、生活相談の機能が失われる懸念もあります。最上小国川流水型ダム・常勤の中国帰国者支援員削減には引き続き反対であり、議員を含む特別職の報酬引き上げには本会議で討論を行って反対しました。
3)一方、予算には県民生活を守るための事業が盛り込まれ、吉村県政の「子育て支援充実」「いのちと暮らしを守る」「貧困ストップ」など、「県民の暮らし最優先」の姿勢が具現化されています。その多くは、共産党県議団が県民運動と連携して粘り強く要求してきたものです。
 小中学校の少人数学級制(さんさんプラン)、住宅リフォーム助成、私立高等学校等授業料の軽減、非正規雇用労働者の賃金引き上げと正社員化支援奨励金、中小企業トータルサポート(小規模事業者への事業費助成が拡充)、学童保育利用料軽減支援など、これまでおこなわれてきた主要な先進的事業が継続され、一部は拡充されました。
 子どもの貧困の実態調査、ひきこもりなど若者等の実態調査の実施、医師修学資金の貸付の拡充、児童養護施設入所者等への私学入学金・車の免許費用の拡充、介護休業代替職員確保の支援(東北初・新規)、減反制度が廃止される中での中小稲作農家支援事業(県単新規)、子育て世代・高齢者の住宅要求に資するセーフティネット住宅供給促進事業(新規)、教員の多忙化に目を向けた学校に事務スタッフや部活動指導員の配置(新規)などは、各事業の拡充額は大きくはないものの県民の暮らし福祉・教育に資するものです。
 また、人手不足が深刻化するなか、「都市部と地方の所得格差の拡大が人口流出を招いている」として、県独自に最低賃金を一定額引き上げた小規模事業者への奨励金事業に着手すると同時に、国に対して最低賃金の「ランク制度の見直し」や「全国一律の適用」を小規模事業者支援と合わせ提案したことは特に意義深いものです。
4)以上のような、吉村県政の「県民の命と暮らしを守る」姿勢に沿った前向きの施策を評価し、総合的に判断して2018年度山形県一般会計予算に賛成しました。
5) 県議会の問題では、議員の海外行政視察が全国的に監査請求・裁判や住民の批判にさらされ、山形県議会も2010年から中止し、県議団としては議会に制度そのものの廃止を求めてきました。ところが、今議会で制度を一部改変しながら、再開することを決めてしまいました。
県議団としては、この事案を決める3月15日の議会運営委員会に出席し、異議を申し立てるため挙手して番外発言を求めましたが、それを認めず、再開を決めてしまったものです。次期改選後から「4年に1度、一人80万円以内」で実施されます。
県議団はそれには参加せず、引き続き廃止を求めていきます。
 副議長選挙が行われましたが、第2会派から選ばれることが適当と考え、県政クラブ:石黒覚議員に投票しました。
6)私自身の新年度の配置としては、2年間続けた厚生環境常任委員会と産業振興対策特別委員会から、商工労働観光常任委員会と未来を担う人材育成対策特別委員会に所属が替わりました。予算特別委員会での質問は9月定例会に決まりました。
 引き続き、県民の暮らし福祉優先、県民が主人公の県政を目指して、吉村県政の前向きな側面を更に伸ばしていく立場で、チェック機能と政策実現に全力を挙げる決意です。
                                     以上