眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

朝顔

2007-05-27 | 
鏡に映る
 君の過去が笑った

 はしゃぎ
  揺らぎ
   消え去る
    純真無垢な精神構造

   時に壊れ物の取り扱いを受けたとしたって
    僕らは
    君の微かな微笑の名残を
    忘れてはならない
    決して
    決してだ

  君がいたこと
   君が泣いたこと
    君が笑ってくれたこと
     それら全てを
      誇りに想う

   抜歯した歯肉の部分が
    舌で軽くつつくと
     ざらざらとした空虚な感触
      今まであった
       肉体の一部が無くなるということは
        
    不特定多数の君を
     あえて君と呼び
      君の存在を了承し認知する
       記憶の忘却
        それすらも
       「憶えておいで。」
      祖母が縁側から一緒に覗き込む
     朝顔の花は
    君に手向けられたものだったんだね
   たぶん
  ブリキの手頃なじょうろで
 花に水をまく
君の専売特許だったね
 庭に水をまくことは
  同じくらい
   皆の心に優しい音楽を
    降り注いでくれたよ

   疲れた、と横になり
    煙草ばかり吹かす僕に
     君はただ微笑んだ
      僕はあくびをひとつ吐いた

   「好きな生物は?」
     問いかける僕に
      「あんた。」
     とじゃれついた
      朝顔の蔓の奇妙な絡まり具合
       正確に瞬間を捉える物なんて
        無いんだな
       この精密機械の時代に
      だから大切なのさ
     虫歯で抜歯する歯がさ
    まあ
   多少 血の味がしないでもないが
  そのうち止まるさ
 時間で圧迫止血してればね

「朝顔」
 
 今朝も誰かが夢見る
  そうして君が微笑する
   いつかと同じだ
    ほっと安堵し
     悪夢から眼を覚ます

   心配しないでいいよ

     君がいてくれたから

      僕は
       とぼけてみせられる

        安穏とした
         おおきなあくびをひとつ

        呆れて
       笑ってみせて
      
      絶対なんて在りはしないけれど
     憶えておくから
    努力するよ

   じようろで水をまく
  水滴の一粒一粒が
   その確固たる
    意思表示

          
       君が笑った

         僕は嬉しいんだ





    
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梅干

2007-05-16 | 
乱立した高層ビルの隙間で
 空が見たいと想った
  深夜のアパートの屋上から
   ギターの音色が密やかに鳴っていた
    男性が
     僕の気配に気付かず
      「カヴァティーナ」を弾いている
       それをつまみにウィスキーを飲んだ

  ポケットに手を突っ込んで
   東京タワーに上った
    展望台から街並みが見えた
     この街で
      友人は働き洗濯をし飯を食べていたんだ
       僕は彼の決して裕福な暮らしではない人生を想い
        自然に涙がでた
        此処で
       この街で一生懸命生きているんだ
      そう想った

    語った夢は
   思春期の熱病
  僕らは何にでも成れる筈だった
 月の光で空を飛べるはずだった
繊細で柔らかな神経が疲弊した
 僕らはやがて街を去る時間に気付けない
  ジョン・レノンの歌声がラジオから流れていた

    dreme is over

果たしてあの時間の流れは何だったのだろう?
    数枚の写真だけが手元に残り
     かつて友人だった
      仲間の顔を眺めている
       皆何処へ消えてしまったのだろう?
        疲れ果てた夢や
         失った記憶と共に

     朝ご飯に梅干を食べた

      程よい酸味は

     馬鹿らしいくらい暮らしを実感させる

     青空の洗濯物のシーツの白も





   
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