眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

浴槽に浮かんだ

2008-09-18 | 
浴槽に湯を張り
 ゆっくりと手足を浸し
  全身を沈める

  いつもはシャワーですませてしまうけれど
   
   たまには
    湯に浸かるのも良いよ

  誰かに聞いた
    三回
  つまんだ塩を湯に入れて
   ほんの30分でも
    のんびりとね

   体の悪い物が
  なんだか
 落ちたみたいにすぅーとしたのは
単なる気のせいなのだろうか

 浴槽の水を
  鼻にくっつけたり
   手ですくいあげてみたりする

    水
     というのは
      不思議だ
       形が無い
        よく云われる事の類だが

         「浮華」
  
         という詩をかいたひとがいた
          まだ会ったことの無い
          このひとの詩で
           曲を書いてみた

      「ハイビスカスを
        お風呂に浮かべて」

     今日の僕のお風呂に浮かぶのは
    一体何だろう?
   一日の疲れか
  孤独の濡れ衣か
 夢の名残りか
水面で遊び
 戯れる
  不思議な残像か
   子供の泥んこ遊び
    皆が帰ってしまって
     急に想い出したように
      帰り道を見失い
       戸惑ってしまうんだね


            
        浴槽に浮かんだ



         
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ひとりぼっち

2008-09-13 | 
清潔な空気は
 ほのかに消毒用アルコールの匂いがする
  安息を確約された空間で
   小さく切られた林檎を齧った

 中庭のベンチには
  誰もいない
   誰もいない
    僕自身すらも
     果たして同じ時空間に存在したのだと
      誰が保障してくれるのだろう?
       誰もいないのに

  陽気な楽団はパレードを始めたけれど
   それは外の暮らし
    僕は煙草をくわえてギターの弦を交換し
     一人きりの部屋で
      調弦に意識を集中する
       孤独とは
      たぶんそんなもんだろう
     からっぽの胃袋に
    薬と珈琲を流し込む
   咀嚼した食べ物の残骸は
  食道を酸味のある胃液と共に逆流した

 限りなくひとりぼっちな風景は
何故かいまだに憶えている
神経は過敏になり
 明るい昼間に怯えた
  寒いのでコートを羽織ったが
   ポケットの仲で握り締めた手のひらには
    優しさはついに存在しなかった

   群集から逃れ
    意識を磨耗させ
     罪悪から逃れようとした僕は
      一晩泊めてもらった知り合いのアパートで
       カップラーメンを食べた
      花火が上がった
     夜空に綺麗な光が散乱する
    僕は煙草に火をつけ
   それから部屋を出た
  ついに夜の朝も
 僕を逃がしてはくれなかったんだ

赤い月

  震える身体をほったらかしにした
   一つ所にはいられない
    何かに追われたように
     いそいでホットドックを齧り
      メロンソーダで流し込む

青の三日月

  奇妙に世界が歪んだ
   ポケットに30円しかなかった
    心がまるで
     壊れやすいガラスの様にヒビ割れた
      お願いだから

 暮らす日常がこんなにも曖昧だったことにきずいた
  いつかの断片的な風景の記憶は
   いつだって苦しい

    ひとりでいるのに慣れっこないよね

     かといって

    明日を祈る術も持たない


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運命線

2008-09-10 | 
連続された光景は夜光虫だろうか
 魂の色は何色だろう
  出来るなら
   哀しみの青
    もしくは
     虚構の灰色が好みなのさ

     薄暗くなる頃合
      一杯の酒を求めて街の界隈で路に迷い
       馬鹿げた話さ
        カーナビくらいつけとけよ
         そう云った君だって
          車の窓から吐いていたじゃないか
           波止場でサイドブレーキを引き
            赤いウィンストンに灯を点けた
             爺様が好きだった洋煙だ

      豪華客船は見事にライトアップされ
       買い込んだワインの瓶をらっぱ飲みした
        お前さ
         友人が呟く
          馬鹿じゃないの?
           なんで十六本も買うのさ、ワイン。
          だって
         誕生日割引15%だってソムリエが云ってたからさ。
        だからって、買いすぎだろう?
       僕はコルクを抜くのに少々手間取った
      だからって飲めないじゃん、こんなに。
     別に。
    別に今日全部空けなくてもいいだろ?
   友人は皮肉に微笑む
  明日、お前仕事ないんだろ?
 馬鹿はあんただ。
友人に毒ずいて3本目を空けた
 
  毛布あるか?寒いんだ。このまま寝たら凍死するぜ、確実に。
   一枚しか積んでないよ。
    友人は親指と人差し指で煙草をつまみながら
     携帯電話を取り出した
      誰にかけてんのさ?
       彼は微笑んだ
        メリー・ルーに、サ。
         誰だいそれ?
          知らないの?酔いがまわったら彼女に電話するんだ
           僕はコルクを窓から海に放り投げた。
          知らない。メリー・ルーなんて。会った事もない。
         実はさ。
        俺も初めてかけるんだ。
       ステレオからコシ・ミハルが歌っている。
  
     「そして 娘の手のひらには
       いくら探しても
        運命線が見つからない」

    友人は電話を悪戯している
   僕は自分の運命線を探しあぐねた

  ね、どれが運命線なのさ?

 知るわけないだろう、俺が。

メリー・ルーに繋がらない電話

  友人は軽く舌打ちした



      
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休日の映画館

2008-09-08 | 
映画館で映画を眺める
 生ビールを飲みながら
  ポップコーンを口に投げ入れる

 何を見たのかさえ憶えていない
  画面が流れる
   時折笑い声がこぼれる

  平日の昼間の映画館は
   客が少なくて
    たまには貸切の様になる
     ど真ん中のシートに身を埋め
      ビールを飲むのがやけに心地よい

    映画が始まる前なんて
     クラッシックのコンサート会場より静かだ
      誰かが控えめに咳をする

    上映時間にはささやかな精神の高揚を憶え
   そのあとは
  目をつむったりビールを飲んだり寝たりする
 煙草を吸えないのが難点だが
この静けさはもちろん捨てがたい

  目を開けると
   事件を解決しようとする大学教授と
    美人のヒロインが何故か犯人に追われている

     犯人はいったい誰なのだろう?

    犯人役の役者か
   この映画を作った監督か
  あるいは
 今この瞬間ビールを飲んでいる
  観客席の僕のようにも感じるのだ

    予定調和のハッピーエンドが退屈で好きだ
     彼等は笑いながら握手をして友情をかため
      男と女が再会いの告白を誓いキスをする
       事件は終わったのだ

      ブザーがなって終演を告げる
     僕は煙草を引っ張り出して火をつける
    そうして深く一服する

   事件は終わったのだ

  酔いが醒めたら解決した筈の
 僕の事件が上映される
大根役者の僕には
 この人生の監督の意図がよく理解しずらいのさ

   それでもフィルムは回り続けてゆくのだ


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約束事

2008-09-06 | 
抱えきれぬ想いを胸に
 今夜もひとしきり
  アルコールの匂いと戯れてみた

  戯言は道化師たちの化粧
   舞台に立つ
  踊り子たちの衣装の華やかさ
 群集の内に闇を眺む
  静寂が容易に思い出を喚起させ
   在りもしない空白の時間
    
    夢見た場所で会おう

   約束事は綺麗な玩具
  哀しきは
 憂いに満ちた捨てられた洋人形
フランス製のビロード
 鎖国された国の
  唯一開かれた街で見つけた筈だ

   ワルツが洒落ている
    気取ってさ
   ワイングラス片手に雨の夜
    包み込んだお土産の包装紙の匂いは
     何故かしら記憶の不意打ちを送るのだ

    仕事はね
   ぞっとする時があるね
  永遠に続くかと思うとさ
 あながち皮肉だけではないよね

  約束事を忘れそうになる
 雑多な事象に想いを忘れるんだ

  在った筈の事柄
 確かに在ったんだ
胸の痛みが苦しい
 夢みたいだ 不思議だ

    今度 結婚しようと思って
   先輩は元気ですか?
  
  最近僕の周りは結婚ずいている
 おめでとう
でもさ だいぶ待たされたね

  11年ですよ
 かつて少女だったあどけなさの苦笑で笑った

  先輩は・・・?

  相変わらず一人だよ
   ふーん、と頷く電話越しの声は
    人を傷つけない優しさを身に着けた大人の女性

    約束事をね
   探してるんだけどさ
  どうしても見当たらないんだ

  約束事は
   何時か少年の頃
    ポケットにしのばせた
     はっかのキャンディー
      
    青いビー玉

   

      綺麗だ



 
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ごめん。

2008-09-03 | 
君は人ごみが嫌いだった
人が大勢いると、こわい、といってふいに何処かにいなくなった
人ごみの中で わざとお酒をいっぱい飲んで
酔っ払っているふりをした
道に間違えたふりをして
ふらり と 帰ってきてごめん ごめん とわらった

誰と
どんな風に喋ればいいのかわからず
途方にくれて また 酒をつくった

みんな
君のとんちんかんな言葉に
わらった
もちろん 君も笑っていた
せいいっぱいの ひきつった 笑いを

みんな
君の その ひきつった笑いを 見て
さらに わらった
そのうち 飽きて 冷笑すらした

君はお酒を 滅茶苦茶に 飲んでいる
そして また いなくなる 
何処かに
ふらり と いなくなる
みんなは
けっして いじわるだった訳じゃない ただ
君のとんちんかんに
とってつけた ひきつった笑みに
突然 終わってしまう会話に
場がしらけただけの話だ
君の
ひとりよがりに

君が何かを云って
一瞬 みんなの顔が 立ち止まる
それから ひそひそ と笑いがおこる
君も わらっていた
泣きそうにみえた でも わらった
せいいっぱい みんなとうちとけているふりをして
僕は そんな君を なるべく見ないようにして
なにも云えなかった
動けなかったんだ


    こわかったんだね
    今なら 解る
    こわかったんだね 
    たまらなく

    君は
    かくれて お酒で薬を飲んでいた
    安っぽい酒場の裏口で
    何度も吐いていた
    
    どうしていいか解らなかったんだね
    今なら わかる

    君が
    苦しくって
    助けを求めていたとき
    僕は 見捨てていたんだ 君を

ごめん
今頃きずいても なんにもならないね

ごめん
こわかったでしょう 苦しかったでしょう
いまなら わかる

    君がほんとうに助けを必要としていた時
    なんにもしてあげれなかった

ごめんなさい

    許して とはけっして云えないけれど

       ごめんなさい




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邂逅

2008-09-02 | 
心が震えた
 それは甘美な妖しさ
  ストイックな背景
   地団太の孤独

  そうして
   幾ばくかの不安
    忘れていたはずの面影
     グラスをひっきりなしに
      置いたり手に取ってみたりする

   僕は言葉を失う
    在るとするなら
     ただ黙って楽器を取り出し
      一音を鳴らして
       耳を澄ませて精神の均衡を図るのだ

    つくろう笑顔もいらない
     場違いな会話も
      進みすぎる酒も
       気を使うそぶりも
        何もいらない

    ただ
     貴方の笑顔に迎え入れられたい
      ガラス細工の風鈴
   
      ちりん

     僕は君のようにはなれないね

    大人の顔をした明日は
   夢見がちな子供を
  興味深く解体す
 こころの行く末が
電磁波の影響で
 北か南かすら分からない
  
   教えておくれ

    他愛も無い笑いに同調するコツを
     僕のこころは
      決して唯の脳内パルスじゃない
       生きているのさ
        不可解でも
         ここに在る
    
     記憶の隙間に眠る
      古井戸を覗き込むが如く
       

      持てる限りの誠実さでもって

       ただ君に会いたい


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不眠の指数

2008-09-01 | 
言葉にすると
 伝わらない夜
  ただ無心に街を思った

   空虚だったのだろうか?
    配列に間違いはありはしなかったか?

   レモネードを口にする残暑の予告
    白紙に散乱されゆく言葉の羅列が
     怯え始めるそんな夜
   他愛もなく呆れ果てた深夜
  僕は街の夜に潜み
 怒号が聴こえた
辛辣なる現実が容赦なく僕をひれふさせようとする
僕は全身の勇気を振り絞り
 存在す
  街に埋もれ夢を夢見ている
   誰にも見えない場所を探して
    街灯の青に
     遠く
      遠く

     「鉛筆書きの落書きだよ」
      友達がそっと教えてくれた
       それは
      消しゴムで容易に消え去るということだった

    愛すべきものを守るという事
   出来るかい?
  全てを白紙にさらしても
 出来るかい?
自己の無知と無謀を認知すことを
 
                それは風のように
                螺旋は宙空を舞い
                やがて
                蝉の声が消え
                蜻蛉が夕暮れ時に飛び立つのだ
            
    子供の夢
   すこし汚れた眼鏡ごしに
  従順を理解すべきだったのだろうか?
   図らずも
    通った道順は忘却の彼方
     
                お前の車さ
                弁当箱みたいだよ
                ハンドルを握る君が
                思わず苦笑した
 
    僕は瓶ビールに口をつける
    素面じゃこわいのさ

    かといって

    仮面をかぶれるほど器用じゃないしね

    あきれ返るほど往生際の悪かった
    あの街の
    あの夜の僕

    怯えていた
    それだけだ

                それだけ


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