眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

肖像

2012-08-21 | 
不思議だ
 浅い眠りの中 琥珀色の夢ばかり見ている
  まるで映写機のように
   ジ・ジ・ジ・・・
    と音を立てながら僕の運命が辿られる
     貨物列車の荷台に寄りかかり
      黒いコートのポケットに両手を突っ込んで
       白い息を吐いている
        灰色の風景の上で記憶が座礁する
         金のジッポで煙草に灯をつけ
          白い太陽を見上げた

          線路は果てしなく続いていて
         時折二手に分かれていたりする
        そしてその先もまた同じ様に二手に分かれている
       線路に沿って歩く僕は
      路の分かれ目で立ち止まり
     真剣に悩み始める
    どうしてだろう?
   僕は想う
  何処に行けばいいのか皆目検討がつかない
 さっぱり分からない
さっぱりだ
 後ろを振り向くと
  まだ10代の頃の僕がうつむきながら立っている
   前を見ると
    そう先でもない僕の肖像が無作為に浮遊している
     皆 ふわふわと宙空を彷徨っている
      何人もの僕には根っこが無かった
       ふわふわ ふわふわ
        不安げに浮かんでいるのだ
         存在の根源的な意義を失った言葉達
          午前零時に生れ落ちる
           酔いどれの言葉

           やがて僕の意識は分解される
          用意周到に策略された計画に於いて
         僕の存在は
        いつでも変えの効く歯車の部品のひとつとなる
       世界を支え回す一個の蒸気機関の歯車
      僕らは笑いもせずに
     ただ空中を浮遊する
    愛していた貴女は午前三時の方角へ消え去ってしまうのだ
   僕は夕日の落ちる時刻に向かい
  バオバブの木の種に水をやる
 別の僕がくすくすと微笑んだ
やがて
僕は気がつく
 また貨物列車の荷台に寄りかかりながら
  煙草に灯をつけているのだ
   永遠の連鎖反応
    世界の触媒は僕らの微かな夢に拠る物なのだ
     だから
      だから僕らが夢を見る時
       世界が回り始める
        ぎ・ぎ・ぎ・・・
         全てが存在の一片すらも夢の鱗の一枚なのだ
          びっしょり汗をかいて飛び起きて
           僕は何が本当なのか考えてみる
            
            白いお日様の下で眠る僕

             蝉の声が止まない


 
     
コメント (2)
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