眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

落書き

2010-08-30 | 
壁の落書きは
 なかなか落ちることの無い夢の名残
  記憶の磨耗で落そうとしても
   真っ白な壁には戻れない
    そうして時が移ろった

    アイスキャンデーを食べた
     小豆の奴
      僕らはいつだってアイスキャンデーを食べていた
       記憶
        質の良い銀のスプーンの様に
         やたらと長持ちをする
          トマトスープを飲んだ

          あの頃の思い出は果てしなく遠く
         純粋に理性を批判する事なんて不可能だね
        イギリス生まれのアメリカ人の老夫婦が
       煙草を吹かす僕に軽く会釈した
      船のデッキの上で
     波の音を聴き星空を眺めたのだ
    この夜空は丸いはずの世界の全てに繋がっているのだろうか?
     そんなことばかりを無作為に想う深夜の出来事
      月が綺麗だ
       誰にも汚されてはいない
        月光が柔らかに世界を包み込み
         誰かの哀しみが
          音もなく海上に降り注ぐ
         
          今夜も眠れそうに無い

          壁の落書きを想い出し

          夢がすえた匂いで醗酵する



           
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友達

2010-08-08 | 
「友達いっぱいいたの?」
少女がいつものように、はっか煙草をくわえながら聞いてきた。友達ほしいの?と尋ねると、遠くを見ながら、別に、とつぶやいた。でも、「あなたの友達の話、面白いから。」
それで昔の記憶を辿って友達の話をすることになった。

J君はかなり面白い奴だった。
お酒を飲むと、よく宇宙人の話をした。僕らの話は宇宙人がはたして存在するのか?という所から始まるのだが、彼の場合、まず宇宙人は確実に存在するという視点から話が始まり「UFOの基地は火星のなんとかという衛星にある。」と断言する。自信満々に宇宙人の新情報を提供してくれるので、一時期僕らの話は宇宙空間とUFOの基地のありかについて、それをツマミにお酒を飲んだ。

J君は強烈な速弾きギタリストだった。
とにかく速い。だいたいその頃に流行ったギタリストのフレーズはすぐに完コピしていた。もちろんその驚異的な速弾きには驚きではあったが、ランディ・ローズとイングヴェイ・マルムスティーンをこよなく愛する彼の泣きのプレイも最高だった。骨の髄までへヴィメタルギタリストだった。

彼を、安い或るスタジオで煙草をふかしながら待っていた。時間ギリギリに訪れた彼はなんと手ぶらだった。
「J、ギターは?」
「重いから置いて来た。」
あたりまえのように云うので、僕らもそうか、と奇妙に納得した。
で、お前なにすんの?と尋ねると、歌う、という。そうか、じゃあ歌え、と僕らは練習を始めた。
歌詞どーする?と聞くと作るから大丈夫だという。
じゃあ、はじめるか~、と演奏は始まった。
ヴォーカルが入った瞬間、腰がぬけるかと思った。ハスキーで音圧があって高音も低音もかなり幅がある。かっちょいいのである。
即興でさけぶ詩もなんか趣がある。
「空から、うんこぽーん!」とか「あ~う~、おか~さーん!」とかあとは何語か見当もつかない言語、ほにゃらら、ほにゃらら~で叫びまくる。あんまり気持ちいいので歌詞はこのままでいこう、ということになった。
本番ではさすがにレスポール持ってきて、あやしい中近東風のフレーズを気の済むまで弾き続けた。

Jから、電話があった。
彼がどこかの会社に就職してから一年目のことだ。
仕事を辞めて、ハワイに行くらしい。ハワイでなにすんの、と聞くと、スカイダイビングのインストラクターになると云う。
一方的にそれだけをいってから、彼は電話を切った。

それで、少女が笑いながらたずねた。
「J君、ほんとにハワイにいったの?」
こっちが聞きたいくらいだ。
いつか連絡してくれ。

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微笑

2010-08-03 | 






永遠の嘘をついてくれ








君がそっと云った




      
     だから僕は














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