眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

美しいこと

2019-10-06 | 
美しいことは
 途方もない日常の連鎖から
  堕落するのではなく
   地上から青い空を眺めること
    ひとすじの涙が零れ
     やがて銀色のスプーンを満たす
      雲が流れ
       フィルムの中のジャニスジョップリンが
        満足げに煙草の白い煙を吐いた
         
         タップダンスを練習していた青い道化師が
          急に立ち止まり動かない
           雨が降り始め
            世界が夜の帳を迎える頃
             街灯の明かりの舞台で
              彼は静かに涙を流す
            
            どうして泣いているの?
           少女が不思議そうに尋ねた
          道化師は立ち尽くしたまま答えた
         世界が美しすぎるんだ
        こんな世界でも?
       こんな世界だからさ。
      たとえどんなに辛くても?
     そう。嬉しさも哀しみも憂いも不安も
    眠れない夜の続きや失った大切な記憶やら
   人影のない虚脱した雨降りの雨音や
  履きくたびれた惨めな革靴の足跡も
 やがて消え去る幾つかの灯りの暮らしも
上手くいかなくて握り締めた手のひらも
 煙草の吸殻に火をつけて吸った一服も
  淀んだ空気の工場で作られる偽造された人生も
   捏造された情報や湾曲された歌も
    決して飛ぶことのない翼の折れた複葉機や
     吐き気に襲われる孤独や
      独り言の多い休日も
 
       全てが美しすぎるんだ

        だから泣いているのね
         少女の茶色い瞳が柔らかに微笑む
      
          うん。だから泣いているんだよ。

           でも動けないのね。
            そう、動けないんだ。
             

             指先一本さえ動けば
              君を抱きしめられるのに
               君を失ってから
                どれほどの時間が流れたのだろう?

                 会いたい

                切なくて心が折れる
      
                 そんな世界
                 
                  
                  美しいこと








          
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