眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

アヴェマリア

2020-01-24 | 
切ない曲が流れた
 僕は一瞬昔劇場で上映された映画を想い出した
  珈琲を買ったけれど映画が終わるまで手に取ることは無かった
   冷めた珈琲とホットドックを齧った
    ホットドックは冷めきってまるで粘土の様だった

     君は何時か僕を許せなくなるよ

      煙草に灯を点けて君は虚空を見つめている
       僕は無くなりそうなワインのボトルに口をつけた
        容赦ない寒さの中
         君と僕がそこに居た
          朝からお酒を煽っていた僕等は
           飽きもせずに煙草とアルコールを消費した
      
            天界が垣間見えない見捨てられた夜だった
             深夜に青い月が綺麗だった

              僕は君のこと嫌いになったりしないよ

              僕の応えに君はくすくす微笑んだ
      
              嫌いになるとかじゃあないんだ。許せなくなるんだよ。
             何時か君は僕を断罪する
            僕の存在、宗教観、思想、哲学
           其れ等全てに嫌気がさすんだよ
          君は二度と僕と楽器を弾かない
         それは決められた事なんだ
        どうしようもない事柄なんだ

       そんなことない。僕は何時だって何時までだって君の伴奏を弾くよ。約束する。

      君はシガレットに灯を点けた

    約束は守れらたためしが無いんだ
  この瞬間は今しか無い
不可逆の一回性のものなんだ
だから
 だから最後に歌うよ
  君の為に
   其れが最後だ

    君はアヴェマリアを歌った
     綺麗なカウンターテナーだった
      僕は楽器を弾く君の姿を呆然と見つめていた
       寒い夜だった

        坂の上の寮を卒業した僕は
         てくてくと坂道を下った
          やがて新入生がやってくるのだろう
           彼等の人生
            僕等の失敗を何ものかが断罪するのだ
             罪に塗れた僕等は

              僕等はきっと天上界には行けないね

               僕は朝、顔を洗って歯を磨く

                それから日常に埋没するのだ

                 あれから気が遠くなるほどの夢や希望に挫折した
                  深夜2時に決まって起きるのだ

                   僕が許せなかったのは君じゃない

                    僕自身の存在なんだ

                     レコードプレーヤーから歌声が流れだした

                      アヴェマリア

                     切なく哀しくなる曲


   

                  僕は僕を許せない




              僕は













































               




  
コメント
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